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双子王女との恋奏冒険記  作者: 雅國
第二章 港に蠢く影(アルマポールト編)
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第30話 妖精とグリフォン

 シオン達は情報を仕入れるべく港を訪れていた。

 魚船は朝の内に漁を終えたのか、ほとんどの漁船は停泊していた。

 動いているのは他の大陸との貿易している貿易船だけのようだ。


「大きな船だね」

 リィナは貿易船を見て感想を言っている。

「あの帆でしたっけ?あれで風を受けて進むのですね」

 レィナも授業で習った内容を思い出しつつ貿易船を見上げている。

「僕は海自体が初めてだからかなり新鮮な感じがするよ」

 リィナとレィナは小さい頃にアルマポールトに連れられてきたことがあったらしいが。

「私達も小さい頃に一回だけですから初めて来たようなものですよ」

「だね。全然覚えていないもん」



 そして、少し手が空いてそうな船乗りを探そうと辺りを見渡している時

「逃げろーーー!!」

 誰かの切羽詰まった声が響いた。

 船乗り含めシオン達もその声がした方向を向くと

「あれは!」

「「シオン君!」」

「うん!行こう!」

 その先には遠くの倉庫の方からグリフォンが飛んできている姿だった。




 港にいた人たちはグリフォンの姿を見るや、我先にと逃げ出そうとする。

 他の人達が逃げ出す方向に逆走する三人、シオン達に向かって船乗りの一人が声をかけて来た。

「おい!お前たちも逃げなさい!」

 船乗りの人はシオン達がまだ子供だから心配してくれたようだった。

「僕たちは大丈夫です」

「貴方の方こそ逃げてください」

 シオンとレィナは船乗りに言う。

「子供のお前たちに何が出来る!!」

 船乗りは少し怒り口調でそう言ってきた。

「これでも私たちは冒険者だから大丈夫だよ」

 リィナがそう言うとシオン達三人は船乗りを置いてグリフォンの方へ駆けて行った。


「・・・ぼうけんしゃ・・」

 船乗りは一時思考が停止していた。

「はっ!そうだ!冒険者の拠点ギルドに行って助けを!」

 そして船乗りは冒険者の拠点ギルドに向けて走っていった。



--------------------------



 『キュオァーーーー!』


 グリフォンは妖精を追いかけていた。

「ふぇ~、なんで追いかけてくるのー!」

 グリフォンは光物に目がないため妖精の飛んだ跡に出る軌跡に反応しているのだ。

「あっ!」

 そして妖精は飛んでいく先に、三人の人影が見えた。


 本来なら妖精は人前に出ることなんてしない。妖精は人の心や思考がなんとなく感じ取れてしまうため、良くないことを考えやすい人間族には近づかないようにしているのだ。


 でも

「っ助けて!」

 その妖精はシオン達三人の姿を捕えるや助けを求めて飛んでいくのであった。

 あまりにも温かい心を感じたシオン達に。



--------------------------



 シオンは走りながら異空間袋から三人の武器を取り出していた。

「ねぇ!シオン君!あれ何!?」

「あれはグリフォンだね」

「違う!その前を飛んでるものだよ!」

 リィナはグリフォンが飛ぶ先に何か光る物が飛んでいるのが見えた。

「あれは・・・妖精!!」

 シオンは精霊の里にいる時に妖精と会ったことがあったのですぐに分かった。

「あれが妖精ですか!?」

 リィナもレィナは初めて見る妖精に目を見開いた。



「っ助けて!」

 本当に小さい声だがシオン達には聞こえた。

「「シオン君!!」」

「わかってる!」

 シオン達は身体強化を施し一気に妖精との距離を縮めた。

「助けて下さい!」

 妖精はシオンの目の前に行き、助けを求めてきた。

「わかった。グリフォンをやっつければいいんだよね?」

 グリフォンはシオン達が放つマナの力を見て少し襲うのを躊躇しているようだ。


「そうだけど!女の人からもなの!」

「女の・・・人?」

 シオンは少し女の人という言葉に引っかかったが

「シオン君!」

「来ます!」

 二人の言葉を聞き、シオンはグリフォンに対峙する。


「先にあれをどうにかするから、この子の傍にいてもらってもいいかな?」

 シオンはそう言い後衛のレィナの傍にいるように言う。

「大丈夫ですよ。妖精さん。私があなたを守りますから」

 レィナは妖精が怖がらないように優しく言う。

「・・・うん。わかった」

 妖精はそう言うとシオンから離れてレィナの傍に飛んでいく。


「レィナ!私も後で妖精さんと話させてね!」

 いまだに妖精と話していないリィナが叫んだ。

「わかりましたから、やりますよ!」

 そう言って、三人は妖精を守るためにグリフォンと対峙するのであった。



「ねぇ、シオン君。思いっきりやらない方がいいよね?」

「そうだね。街中ってのもあるけど、ここにグリフォンがいるってことは」

「誰かしらの商品である可能性が高いってことですね」

「そういうこと」


 そう、ここにグリフォンなんているはずがないのだ。

 グリフォンはここから南西に行った別の大陸に生存している幻獣とされているのだ。


「となれば!」

 傷を付けないようになのか、リィナは風の精霊魔法で風の砲弾で攻撃する。

 レィナは水の砲弾だ。

 しかし、グリフォンに当たる手前で何かに弾かれてしまう。


「「え?」」

 二人は困惑しているようだ。

「やっぱり本当だったのか」

「何か知ってるの?」

「グリフォンは常に風の障壁を前方に展開してるんだ」

「ということは、それを破る威力の攻撃か、前方以外からの攻撃ということですか」

「正解」

 シオンの説明に三人は一瞬顔を見合わせる。

「前者は難しいよね」

「そうだね。だったら僕が障壁に気を付けて接近しながら後ろに回るよ」

「それなら、私はレィナを守るようにこの辺りで攻撃するね」

 シオンとリィナはすぐに行動を開始する。

「妖精さんは私につかまっていてください。攻撃が来たら避ける可能性もありますので」

「はいです」

 妖精はレィナの肩に座り、しっかりと服を掴んだ。



 グリフォンは後ろに回さないようにシオンを追いかける。

 すると

 ドン!

 リィナから風の砲弾が飛んできて、背中に当たる。

 グリフォンは風の砲弾が飛んできた方に顔を向けると、シオンが一気に接近してグリフォンに跨がろうとする。

 グリフォンもシオンに気付き、翼を大きく動かし寄せ付けないようにして高度を上げた。

 シオンは翼の羽ばたきで来た風に吹き飛ばされそうになるが、上手く乗り着地することに成功した。



 グリフォンは高い場所から勢いをつけて突っ込んできた。

 シオンはぎりぎりの所でそれを避けて、胴体を殴りつける。


『キュオ!?』


 グリフォンが苦痛の声を上げる。

 そこにリィナがシオンとは反対方向から接近し、短剣の柄の部分で殴りつける。

 風の精霊魔法も使ったようで、グリフォンはゼロ距離から風の砲弾を受ける。



 グリフォンは二人から距離を取ろうと空高く舞い上がった。

 グリフォンはかなり高い場所に高度をあげた。

「あそこはさすがに追えないか」

 あまりの高さに三人は見上げるだけだった。



「っ!リィナ!レィナ!障壁!」

 シオンは咄嗟に障壁を張るように、二人に指示した。

 シオンがも二人の障壁に干渉しないように障壁を張る。

 すると


 ゴォオオオゥゥゥ!!


 グリフォンから、シオン達目掛けて風のブレスが放たれた。

 シオン達は障壁を張っているので被害はなかったが、辺りは一時的に暴風が吹き荒れた。


 風が収まり、グリフォンが飛んでいた方向を見てみると、遠くに飛んでいく影だけが見えた。

「完全に逃げられましたね」

 レィナが風で乱れた髪を整えながら言った。

「ほんとだよ。最後に髪にダメージを与えていくなんて」

「いや、障壁が無かったら僕達生きてないからね」

 リィナのズレた感想にシオンが注意する。


「あ!妖精さん無事ですか?!」

 レィナは思い出したように自分の肩の辺りを見る。

「・・・なんとか」

 妖精はレィナの首の後ろに捕まっていたらしい。

「ん?」

 シオンはグリフォンが、飛んできた方向。倉庫の方をを見て、風の精霊魔法で真空の刃を飛ばした。


(何もないか)


「シオン君、どうしたの?」

 リィナが聞いてきた。

「いや、何でもないよ」

 シオンが話しに戻っていこうとすると


「大丈夫か!」

 町の方から冒険者らしき人達が走ってきた。

「え、ええ。特に怪我とかもしてないです」

 シオンは無事だということを伝える。

 気付くと妖精はレィナの首の後ろの髪の中に隠れていた。

「そ、そうか。良かった。船乗りの奴が子供三人がグリフォンに向かったと聞いてな」

 どうやら、船乗りの誰かがギルドに助けを求めに行ったようだ。


「はい、グリフォンと応戦はしましたが、途中ブレスを放った後、逃げられてしまいました」

 シオンが先程のことを言うと


『は?』


 冒険者の人達は固まった。

「え~と・・・どうしました?」

 シオンが固まってしまった冒険者に聞くと

「グリフォンと戦ったのか?」

「はい、僕達三人で少しですが応戦しましたが」

「そ、そうか」

 冒険者の人達はシオン達みたいな子供が応戦したのが信じられなかったようだ。


「おい!これは何の騒ぎだ!」

 野太い声で喚き散らしながら、一人の偉そうな男がやって来た。



--------------------------



 場所変わって倉庫の中


「何なの?あの子供は」

 アミラは先程のシオン達とグリフォンが戦っているのを遠くから見ていたのだ。

「グリフォンを追い払える実力もありながら、私に攻撃して来るなんて」


 アミラは幻術で姿を消して空から戦いを見ていたのだ。グリフォンが逃げる方向を見ていたら、寒気がしてその場から動いた。すると、元にいた場所に真空の刃が飛んできたのだ。お陰でローブが、少し切られてしまった。



「おや?この有り様はどうしたのです?」

 アミラにとって最悪のタイミングでベッフェルがやって来た。

「べ、ベッフェル様」

 ベッフェルは倉庫の壁が破壊されているのと空になった大きな檻を見ていた。

「何かに逃げられたのですね」

「は、はい。グリフォンに逃げられてしまいました」

 アミラは誤魔化すことなく伝えた。

「・・・逃げた方向は分かっているのですか?」

「は、はい!この目で方向は確認しております」

「わかりました。今ここにいる生物達は私が運んでおきます。貴方は逃げたグリフォンを捕獲してきなさい」

「わ、わかりました!」

 アミラは急ぎ足でグリフォンが逃げた方向、東の海岸沿いに飛んで行った。


「ふぅ、では運び出すとしますか」

 ベッフェルは慣れた手付きで檻を町の反対側の崖の方に運び出す。そこには黒龍が佇んでいた。

「む、これは?」

 ベッフェルは台の側に鳥籠が落ちているのを見つけた。

「このサイズの生物はいましたっけ・・・」

 ベッフェルは少し考えたが、欲しいものがありすぎて思い付かなかった。


「まぁ、いいでしょう。その内思い出すでしょうし」

 そう言い、ベッフェルへ黒龍の下に吊るしてある大きな篭に生物を入れていくのであった。

「さぁ、いつものように低空飛行で人気のない場所まで飛んでください」

 そして、ベッフェルは黒龍を従えて、東の山間部にある研究所を目指すのであった。

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