第24話 冒険者の拠点 ギルド
シオンとリィナとレィナはギルド長のウェルと冒険者であるカイ、フィルジア、ルシルと共に王都アルマブルクの冒険者の拠点に向かっていた。
「冒険者の拠点についてはどういうものか知っておるのか」
冒険者の拠点への道中にウェルが聞いてきた。
「はい、国や商人等から討伐や採取の依頼を受け、それを冒険者達が達成する。それらの管理をまとめている場所だと聞いています」
シオンはレィナから聞いた知識を簡単にまとめて言った。
「うむ、その通りじゃ。主に国からは討伐、商人からは採取の依頼が多いかの」
ウェルがそんなことを教えてくれた。
「それにしてもシオン達三人、なんか遠目で見られていないか?」
フィルジアが周りの視線に気付いたようだ。
「まぁ・・・これは」
「いつものことだよ」
「そうですね、いつものことです」
「ん?そうなのか?」
フィルジアは納得いかなかったようだ。
今、シオン達三人は腕を組んでいないから、逆に何か言われているのかと考えていた。
「見た目は酒場みたいだが・・・まぁ、酒場としても利用されてはいるが、成人していなくとも、冒険者なら入って大丈夫じゃから安心してくれ」
ウェルはそう言いながら、冒険者の拠点の中に入って行った。他の人達もそれに続く。
中に入ると右手側に酒場があった。昼過ぎだというのにお酒を飲んでいる人が何人かいる。
左手の方はいくつかカウンターと掲示板が並んでいた。
「とりあえず、先に登録手続きをやってしまおうかの」
ウェルはそう言いつつ、入り口側のカウンターに入って行く。
「あ!ギルド長、お帰りなさい」
見た目は二十歳くらいに見える女性がカウンターの奥から出てきた。
「ギルド長はよせと言っておるのに・・・。ほれ、登録書を出さんかい。ミリア」
女性はミリアというらしい。
「え~と~・・・。こちらの三名様ですか?」
ミリアはシオン達三人の方に視線を向けて尋ねた。
「そうじゃ」
「でも、三人共けっこう若そうに見えますが」
ミリアはシオン達が若いから戸惑っているようだった。
「まぁ、そうじゃの。年は今は15歳か?」
「そうですね、冬の終わり頃が誕生日になります」
「「あれ?」」
リィナとレィナが、首を傾げた。
「私たちも冬の終わり頃が誕生日だよ」
「すごい偶然ですね」
「そうだったんだ」
三人は誕生日が近かったらしい。
「でも、15歳で登録ってことは」
「ふむ。試験に合格じゃ」
ウェルが肯定すると
「そうなんですね。おめでとうございます」
「「「ありがとうございます」」」
ミリアは祝ってくれた。
「今、登録用紙を用意しますので、少々お待ち下さいね」
そう言いつつ、カウンターの奥に入って行った。
「リィナ様とレィナ様じゃないですか」
酒場にいた冒険者の一人がこちらに気付いた。
「「えーと・・・」」
二人は少し言い淀んだ。
「お!シオン様もいるじゃねぇか」
シオンも気付かれた。
「どうも・・・」
シオンも気まずくなった。
この冒険者達は恐らく以前あった翼竜の討伐の際に見た気がした人たちだった。
「おい、シオン。何でお前らは様付けで呼ばれているんだ?」
フィルジアが聞いてきた。
「なんだ、お前さん達知らないのか?」
「なにをだよ?」
カイも興味が出てきたようだ。
「リィナ様とレィナ様はこの国の王女様だよ」
「「「王女様!!」」」
カイ、フィルジア、ルシルの三人は声を上げて驚いた。
「で、シオン様は二人の婚約者だよ」
「「「婚約者!!」」」
またしても声を上げて驚いた。
「そうさ、ここ最近で一番大きな出来事っていったらこの婚約者騒動だな。それに翼竜を討伐したという噂もあるし」
「そういえばあんたら遠征に行っていたんだっけな」
「それじゃあ知らないのも無理はねぇか」
冒険者たちがそんな話をしていると
「おい!シオン!どういうことだ!」
フィルジアが詰め寄ってきた。
「え~と・・・いいのかな?」
シオンが助けを求めるようにリィナとレィナを見る。
「まぁ、一応婚約のことは始業式で言ったんだからいいんじゃない?」
リィナが言う。
「私たちはシオン君と婚約しているのは事実だからいいかと」
レィナも同じ意見のようだ。
「マジかよ・・・」
カイは呆然としている。
「それでここまで来る時も周りの人が見てきていたのね」
ルシルはここに来る時のあの視線の数に納得がいった。
「あの、二人はそれでいいんですか?」
ルシルがリィナとレィナに聞く。
「私はシオン君ともレィナとも一緒にいれるから嬉しいよ」
「私もシオン君とリィナといつまでもいられるのは嬉しいです」
二人は少し頬を赤く染めて言った。
「うゎ・・・」
聞いてきたルシルも二人の言葉で頬が赤く染まっていた。
「で、シオン様達は何かギルドに用があるのか?」
冒険者の人がそう聞いてきた。
そこへ
「お待たせしました。登録用紙取ってきましたよ」
ミリアが登録用紙を三枚持ってやって来た。
『・・・え?』
次は冒険者達が固まった。
「え?それってシオン様達三人が登録するってことか?」
冒険者の一人がシオン達に聞いてきた。
「はい」
実際に登録するのだから、普通に答える。
「え?でも、シオン様とリィナ様達は同い年だから・・・」
「15歳・・・だよな?」
「まぁ、もう少ししたら16歳になりますが」
シオンの言葉に
「まさか!試験を受けたのか!?」
そしてまた違う冒険者が騒ぎだす。
ギルドでは成人を迎えていない者が登録するには、厳しい試験があると有名なのだ。
「ええ、先程合格を貰ってきたところです」
「ちょっと待て。カイ達がここに一緒に来たということは・・・」
「カイ達三人が相手だったのか?」
この言い方だと、どうやら試験は模擬戦が多いようだ。
「そうですよ」
シオンが肯定すると
「・・・勝ったのか?」
恐る恐る聞いてくる。
「オレが負けるわけねーだろ」
カイが口を挟んできた。
「こっちはやられたがな」
「見事にやられてしまいましたね」
フィルジアとルシルがそう言うと
「え?シオン様にやられたのか?」
この三人はかなりの実力者なので、一人でも負ける姿が想像できなかったのだ。もし負けるとしたらシオンにだと考えていた。
「いや、そちらの王女さん達にだ」
『・・・は?』
また冒険者達は固まった。
「王女様達って、そんなに強いのか」
冒険者の一人が聞くと
「予想以上に強かったのは、確かだな」
「そうですね」
フィルジアとルシルは王女達は強いと肯定した。
「でも、フィルジアさんは弓で戦っていなかったではないですか」
レィナがそう言うと
「知っていたのか・・・いや、シオンに聞いたのだな?」
「はい」
「まぁ、確かに弓の方が得意だがな。それでも俺に勝ったのだから少しは誇れ」
フィルジアはそう言ってくれた。
「あの~・・・この用紙に記入お願いしてもいいですか?」
ミリアは忘れ去られていた。
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「はい、確かに登録しました」
ミリアに記入をした用紙を渡し、登録が終わった。
「では、この冒険者の拠点のバッジをお渡ししますね」
ミリアは剣と羽をモチーフにしたバッジをシオン達に渡した。
「これは?」
シオンが聞くと
「そのバッジは着けなくてもいいですが、冒険者の拠点の利用時に掲示してください。バッジには管理番号のようなものが術式になっているので、それで個人番号がわかる仕組みになっています」
ミリアが慣れたように説明をしてくれた。
「わかりました」
「なんか少しわくわくするね」
「あまりはしゃぎ過ぎないでくださいね」
そんな感じに話していると
「おい!助けてくれ!!」
男が助けてくれとギルドに駆け込んできた。
「おい、どうしたんだ?」
カイが聞くと
「翼竜が近くの村に出やがったんだ!」
男が息を切らせながら説明をした。
「どこの村だ」
カイが手短に聞く
「王都から少し南東に言った村だ!俺がここに向かうまでにも村が半壊していた!数十人単位で近くの冒険者が集まってくれて、今応戦しているがいつまでもつか分からねぇ!」
男が必死に説明している。
「翼竜に数十人も冒険者がいるのなら討伐できねぇのか?」
一般的な冒険者の強さは騎士団や魔道師団の人達と同じぐらいと言われている。まぁその中でも団長達の様に強い人もいるが。
翼竜は群れを成すので数は分からないが数十人いれば倒せるようなものらしいが
「ただの翼竜じゃねぇ!魔物化してんだ!」
「何だと!」
流石にただ事じゃないとカイも思ったようだ。
「それにあの翼竜はなんだ?リーダーらしき翼竜のでかさが半端ない。魔法も無効化しやがるし」
「無効化だと?」
「「「っ!!」」」
カイはなんだそれ?という顔をしているが、その話にシオンとリィナとレィナは敏感に反応した。
「ねぇ、シオン君、それって」
「瘴魔・・・ですよね?」
リィナとレィナがシオンに聞いてきた。
「たぶん・・・ね」
「シオン、何か心当たりがあるのか?」
そのやり取りを見ていたフィルジアが聞いてきた。
「実際に見てみないと確信は持てないですが、今の話だと恐らくは・・・」
そこまで言って、その先を言ってもいいものなのか言い淀んでしまった。
「おい!お前ら!行くぞ!」
カイはもう準備ができたらしい。
シオンも異空間袋から三人分の武器を取り出す。
「お前らも行くのか?」
カイがシオン達が武器を取るのを見て聞いてきた。
「はい、行きます」
「・・・・・・」
カイは翼竜討伐に向かわせていいか、少し迷っているようだ。恐らく、王女様だと知ったからだろう。
「シオン様達なら大丈夫じゃねぇか?」
冒険者の一人が言ってきた。
「だな。リィナ様とレィナ様も通常の翼竜は討伐できていたしな」
そんな言葉を聞いて
「わかった、一緒に行くぞ!場所はここから馬車で南東に一時間程の場所らしいから、身体強化ですっ飛ばせば30分も掛からないだろ」
カイはそう言うと冒険者の拠点から出ていった。
「頑張ろうな、シオン」
フィルジアが言ってきた。
「里での警備隊以来ですね」
「そうだな」
シオンもフィルジアとの共闘に少し懐かしく感じた。
そして、シオンとリィナ、レィナとカイ達三人の六人で王都から南東の村に急いで向かうのだった。




