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双子王女との恋奏冒険記  作者: 雅國
第一章 太陽と月の双子王女~王都アルマブルク編~
22/199

第22話 模擬戦開始

 遂に冒険者の拠点ギルドの試験の日がやってきた。


 シオンとリィナとレィナは午前中ほ通常通りの授業を受け、昼食を取ってから練習場に向かっていた。

「やっぱり少し緊張するね」

 リィナが話し掛けてくる。

「そうですね。相手は王都を拠点としている冒険者との話ですが」

 レィナは相手が気になるようだ。

「下手に緊張し過ぎると体が固くなりやすいから、いつも通りを心掛けていた方がいいよ」

 シオンは緊張が解れるように言った。


 そして、そのまま歩いて行くと練習場が見えてきた。

 練習場の前にギルド長のウェルと見知らぬ顔が三人いた。

いや、シオンは一人見知った顔があった。


「あれ?もしかしてフィルジアさん?」

 シオンが長身の少し緑掛かった髪色をしていて、耳がエルフと同様に少し尖っている男性に声を掛けた。

「お?シオンか?こんな所で会うとはな」


 二人が知り合いだったことに皆は驚いているようだ。

「え?シオン君、知り合い?」

 とリィナが聞いてきた。

「里を三年くらい前に旅に出ていった、警備隊の先輩だった人だよ」

 シオンが説明する。

「そうだったんですね」

 レィナが納得する。


「お主らが知り合いとは驚いたが、とりあえず自己紹介かの。身分等はギルドに関係無いため、名前だけで良い」

 ウェルがそう促した。


「では最初は俺からな。俺はカイ。見ての通り剣士をやっている」

 フィルジアよりは背が低いがそれでも高い身長をしていて180㎝はある茶髪の剣士が紹介してきた。

「俺のことはシオンが言っていたが、フィルジアという」

 フィルジアが続き

「私はルシルっていいます」

 160㎝位の身長をした赤髪の女性が紹介してきた。


「僕はシオンといいます」

「私はリィナ」

「私はレィナです」

「「「よろしくお願いします」」」

 三人は簡単に自己紹介をする。

「ああ、こちらこそよろしくな」

 カイが代表して言ってきた。

(ん?普通の対応だな)

 シオンはリィナとレィナとのことをいろいろと聞かれるかと思っていたのだ。

(まぁ、聞かれない方が楽でいいけど)

 シオンは密かにそんなことを思った。


「では、練習場の中に入ろうか」

 ウェルがそう言い、全員練習場の中に入って行った。



「模擬戦による試験の説明をする」

 ウェルがルールの説明を始めた。

「当たり前じゃが、命のやり取りは禁止とするので、武器は木剣等、魔法も有りじゃが、殺傷性が高い魔法は禁ずる。試合形式は三対三のチーム戦、どちらかが全員戦闘不能か降参もしくは、15分経った際の残りの人数で勝敗を決定する。以上じゃ」

 試合の説明が終わると、それぞれのチームで集まり、所定の位置まで向かった。


「たぶんあのカイって人はかなりできると思うから、同じ剣同士の僕が相手にするよ」

「うん、わかった。なら私はフィルジアさんかな?」

「そうだね。フィルジアさんは弓術と短剣が得意だったはず。弓を持っていないとなると、短剣で戦うってくると思う。風属性の精霊魔法を織り混ぜて来ると思うから注意して」

 シオンがフィルジアについて、知っていることをリィナに教えた。


「それでは、私がルシルって人担当ですね」

 レィナがそう言ってくる。

「それなんだけど、ルシルさんは後衛の魔法使いだと思う。恐らくカイさんかフィルジアさんを援護してくると思うから、レィナは最初は相手に合わせて僕かリィナを援護して」

 シオンが見た感じの見通しを立てる。

「わかりました、やってみます」


 簡単に作戦会議をしていると

「では、そろそろ始めるぞい」

 そして、試合が始まった。



「それでは・・・・始め!!」


 ウェルの開始の言葉とほぼ同時に、シオンとカイが動く。

 その動きの速さにお互いに少し驚きつつ、同じ剣同士で衝突し合う。


 リィナがシオンとカイの戦う様子を見た後、打ち合わせ通りフィルジアの方に意識を向けると、ルシルから炎球が打ち出されていた。

 シュボ!!

 その炎球はリィナの目の前に張られた、水の壁に遮られた。

「リィナ!ぼーとしないで!」

 水の壁はレィナが出したようだ。

「ごめん!ありがとう」

 リィナはお礼を言いつつ、フィルジアの方に地面を蹴った。



 フィルジアはこちらに向かってくるリィナに向けて風の砲弾を何も身体を動かさずに放った。

 だが、リィナはマナの動きを見ていたため、砲弾に気付いていていた。

「っと」

 リィナは紙一重で風の砲弾を避けて、一気にフィルジアに近づく。

「おっと!」

 フィルジアは斬りかかってきたリィナの攻撃をかわす。

「よく避けたな、嬢ちゃん」

 リィナはそんな言葉も聞かないで接近戦で肉薄していた。

「だが、少し強引過ぎだな」

 フィルジアはそう言うと、リィナが左手で突き出してきた木短剣を横から右手を添えるようにして捌き、鳩尾あたりに打撃を入れようとした。しかし

「だって、誘っているんだもん」

 そう言ってリィナは空いていた右手を懐に入ってきているフィルジアに向け、マナを一気に炎に変え、掌底を放った。殺さないとイメージしているため、殺せるほどの威力は持たないが、直接受けると悶絶するぐらいの威力だ。

「っぐ!」

 フィルジアは咄嗟に防御し下がるだけで済んだが、後輩に一発いいのをもらって少し悔しそうにしていた。

(今のはやられたな・・・それにしても最後の炎・・・精霊魔法か?)

 人間であるはずの娘が精霊魔法を使えるのに驚きも大きかった。



--------------------------



 レィナは最初にルシルの魔法を防いでからというもの、ルシルと魔法合戦をさせられていた。

「なかなかやりますね。お嬢さん」

 ルシルは中級クラスの魔法を連続で放っていた。

「・・・・・・・・」

 レィナもルシルに合わせて、ルシルの魔法と同じような精霊魔法を放ち、相殺し続けていた。


(ここまで中級クラスとはいえ、魔法の発動速度で私についてくるなんて・・・)

 ルシルは魔法の発動スピードがかなり速い方なのだ。それなのに年下の子が同じスピードでついてくるのが信じられなかった。


 一方レィナは

(このままではマナの無駄使いになりますか・・・。だったらあの属性が来た時に)

 レィナはこの膠着状態の打破するために作戦を練っていた。



--------------------------



 シオンとカイは木剣での応酬を繰り返していた。

「やるじゃねぇか!シオン!」

「それはっ!どうもっ!」

 最初の頃と比べると、二人の動きが早くなっていた。

「ここまで出来る奴は久々だぜ」

 カイは嬉しそうに話しかけてくる。

 二人は剣の応酬をしている最中も、お互い徐々に身体強化の密度を上げているのだ。

 だが、先にシオンが押され気味になってきた。

(今の僕じゃこれ以上の身体強化はきつい!)

 今だに身体強化の密度を上げているカイに対してシオンは限界に近くなっていた。

(このままだと押される。身体強化は魔力やマナで内側から強化する。その内側が限界ならば!)

 シオンは体の外に風を纏い、足りない身体強化を補助し始めた。



--------------------------



 フィルジアは風の精霊魔法でシオンのように加速してきた。

「行くぜ!嬢ちゃん!」

 今度はフィルジアがリィナに向かって切り込んできた。

「わわっ」

 リィナは何とか捌き切っているが少し押され始めていた。

「おら!」

 フィルジアの気合の声と一緒に瞬間的に暴風が吹き荒れた。

「きゃっ」

 リィナは暴風を直に受け、吹き飛ばされてしまった。

 何とか着地はできたものの、膝を付いてしまった。先ほどの連撃の応酬と最後の暴風によるダメージでかなりきつくなってきていた。

(強い。王都の冒険者のトップクラスの人はこんなに強いんだ)

 リィナはそう考えていると、フィルジアは風の砲弾を放ってきた。

 リィナはマナの可視化で砲弾は見えているが今の状態では避けきれない。さすがにここまでかと諦めかけたその時

 バシャン!

 リィナの目の前に水の壁が降ってきた。



--------------------------



 レィナは中級クラスの魔法を真似るように打ち続けていた。

 そして待っていた火の中級魔法の巨大な炎球を放ってきた。

(今!!)

 レィナは巨大な水球を炎球に向けて放つ。

 シュボン!

 巨大な火と水の球がぶつかった瞬間、水蒸気が当たり一面を真っ白に染め上げた。

 レィナはすぐにあることをして、水蒸気の中をルシルの横に向かって走った。



(ここで目暗まし!?ということは!)

 ルシルは魔法の発生するときの揺らぎをなんとなく感じることができる。その揺らぎを感じる方向に風の中級魔法エアロボールを放つ。

 エアロボールの不可視の風の砲弾は水蒸気を巻き込みながら、火の魔法を発動していた影に当たり、魔法が消える所をルシルは見た。

(勝った)

 そう思った瞬間

「っかは!」

 ルシルの鳩尾にレィナがマナの籠った掌底をくらわせていた。

「私の勝ちですね」

 レィナがそう言うと

「・・なん・・で・・」

 ルシルは気を失った。


 レィナは水蒸気が出た瞬間に、自分のすぐ後ろに自分と同じぐらいの大きさの氷像を作り、マナで火種を氷像の前に置いてから、走り出したのだった。

 結果、ルシルは氷像に向かってエアロボールを放ち、火の魔法が消えたことで油断した。そこに近くに来ていたレィナに一撃をもらってダウンしてしまったというわけだ。


 レィナは周りを見渡すとリィナが暴風で吹っ飛ばされたところだった。

 風の砲弾も見えたので、リィナの前に水で壁を作り相殺した。

「なに!?」

 フィルジアは突然の援護に驚いたようだ。

「リィナ!」

 レィナはリィナの名前を呼んだ。

 それだけでリィナは目の前の水の壁に手を添えて

「いっけー!」

 水が突然沸騰し始めた。そんな状態のまま、壁から棒が急激に伸びるようにフィルジアに吸い込まれる。

「ぐっ!」

 フィルジアは障壁で相殺はしたものの、すべては殺しきれずに軽い火傷とかなりのダメージを負った。

「・・・はは。まさか複合魔法を使うとはな」

 そう言って仰向けに倒れた。

「わかった。俺の降参だ」


 こうしてリィナとレィナはフィルジアとルシルという強敵に打ち勝ったのであった。

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