第15話 翼竜討伐
「怪我人はこっちに!」
一人の女性の人が叫ぶ。
翼竜と対峙して傷付いた人たちが100人はいるだろうか?市民区画の内側に設置され手当てを治癒魔法の部隊が手当てを行っていた。その中には魔法学校の制服を着た生徒たちも治癒魔法が使えるということで駆り出されていた。
その中の1人、ストレートロングの薄ピンク色をした髪をした少女。シオンとリィナとレィナの3人のクラスメイトのシンシア・フィリティスも混ざっていた。
シンシアは治癒魔法が得意で治癒の部隊を目指していた。そのかいがあってか生徒の中ではひときわ手際が良く、次々と怪我人の対応、必要あれば治癒魔法を使用していた。
「ふぅ・・・」
少し疲れたのか息を大きく吐いた。
(シオン君もそうだけどリィナ様もレィナ様もどうして学校来なかったのかなぁ?)
シンシアは朝、3人が登校しなかったことが心配だった。
(午後もいきなり翼竜の襲撃あるしい、意味がわからないよぅ)
「シンシアちゃん、疲れたなら今のうちに休憩行ってきな」
治癒の部隊の人に言われ、疲れていたので少し甘えさせてもらうことにした。
「ありがとうございます。少しだけ休憩行ってきますね」
そう言いシンシアは救護施設の場所から少し離れ、城壁と城門がある方角、翼竜と今も戦っている人たちの方を見た。
(早く終わるといいな)
シンシアは自分に戦う力が無いことが、少し悔しかった。
少しぼーっと城門のほうを見ていると
「え?」
ものすごいスピードで駆け抜けていく三人の姿が目に留まった。
(シオン君と・・・リィナ様とレィナ様?)
そう、3人は今朝姿を見せなかった人たちだった。
(あっちは・・・!)
シンシアは3人を追うように城門がある方へ走っていくのだった。
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少し時は遡り
シオンたち三人は草原を駆け抜けて東側の城門へ来ていた。
「「騎士さん!」」
リィナとレィナは同時に警戒をしていた騎士に声を掛けた。
「何があったの!」
「はやく説明しなさい!」
二人がすごい勢いで説明を求めた。
「お、王女様!」
「「早く!!」」
王女が目の前にいることに驚いた騎士は最初目を丸くしていた。
二人の言葉で我に返り
「は、はっ!南門の方の街道から翼竜が何頭かの襲撃がありました。自分はここで警戒を当たっております!」
翼竜の襲撃と聞き二人は
「「シオン君!」」
「わかっている。行こう!」
シオンを呼び、王都の中を通った方が早いと見て、市民区画を通って、南門の方へ走るのであった。
「お、王女様!危険です!お戻りください!」
騎士は慌てて止めようとするが三人はもうすでに聞こえない場所まで走っていたのであった。
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「ちっ!数が多すぎだろ!」
バルトルがそう叫んだ。
「私の方もそろそろ危ういですね・・・」
ジンも魔法の使いすぎでかなり疲弊していた。
翼竜は2頭まで数を減らしたが、この2頭を討伐する火力が足りなかった。
翼竜は竜種の下位種のはいえ、竜であることに変わりはない。生半可の攻撃は通じなかった。
翼竜がジンの方へ空から襲撃しようと飛び掛かってきた。
「っ!ファイアボール!」
ジンは残りの魔力で下位の魔法ファイアボールで迎撃しようするが、やはり火力不足だ。
翼竜にファイアボールが当たり炎を散らして突っ込んで来ようとしたが、散ったはずの炎が膨れ始めた。次の瞬間
ドゴーーン!!!
爆発が起こり翼竜を一撃で葬った。
「さすがだな!ジン!まだそんな余力を残してたか」
「・・・いや最初のは火は私の魔法だが、爆発は・・・・」
「なんだと?」
そこへ後ろから
「ジン殿!ご無事ですか?!」
シオンが間に入り込んできた。
「シオン君」
「今の何です?」
リィナとレィナが少し遅れシオンの横に並んだ。
「「リィナ様!レィナ様!!」」
団長二人が王女達の登場に驚いていた。
「今のはさっきの火球の火を風の膜で閉じ込めて、火を一気に増幅させただけだよ」
シオンの説明にバルトルもジンも意味が分からなくて、言葉が出ないようだった。
シオンは辺りを見渡すと、1頭の翼竜と騎士と魔法使いが7名ほどで戦っているのが見えた。
「後は・・・あの一体だけか?・・・いや」
シオンは南門を出た街道の方に何かがいることに気付いた。
「「あの翼竜は私たちがやってみる」」
そう言うリィナとレィナにシオンは
「わかった、あの普通の翼竜はお願い。僕はこっちに向かって来る魔物化した方をやるよ」
「シオン君、大丈夫?」
「さっき、傷治ったばかりでしょ?」
二人はさっきの傷を心配しているようだ。
服だけを見れば、シオンは右の脇腹辺りの服は破れ、赤く血で染まっていた。
「レィナが治してくれたから大丈夫だよ。ここまで走って来れたしね」
シオンは安心させるように優しく言った。
「街道のは魔物化しているみたいだから、周りに被害が出ないように街道で戦うよ。二人は翼竜の尾と飛び掛かりに気を付けて、それと半端な攻撃は通じないと思っていい」
二人に翼竜の戦いに置いての注意を教えた。
「「わかった。シオン君も気を付けて」」
「うん、じゃあまた後で」
そして二手に分かれるのであった。
その場に取り残された団長二人は
「・・・なぁ、ジン」
「なんだ?」
「王女様たちを護衛した方がよくないか?」
「・・・シオン殿の言い方だと討伐できそうであったが・・・」
「私は王女様たちを援護してくる」
「私は魔力が切れたので下がるよ。他のやつらを指揮しておこう」
団長二人もそうして別れ、それぞれの仕事をするのであった。
翼竜の頭部を狙っての炎球が飛んでいく。翼竜は頭をずらし避けた。そこへ騎士の一人が足に切り込む。しかし
ガキン!
音を響かせ弾かれてしまう。
「やっぱりだめか!」
後退しながら騎士は呟いた。
「誰か火力がある魔法使いはいないのか!」
魔法使いは障壁を騎士の前に張り守りながら叫んだ。
そう、ここにいる魔法使いはせいぜい中級クラスの魔法しか使えない。翼竜に対してはただの中級クラスの魔法では太刀打ちが難しいのだ。
ゴゥ!
翼竜が体を回し、尾で攻撃をしてきた。
「うわぁ!」
魔力が切れてきているのか、障壁が破られてしまった。
騎士も魔法使いも逃げ腰になり、足が震えてしまっている。
翼竜も敵の怯えに気付いたのか飛び掛かってこようとする。
もはやここまでか、と諦めそうになった時
「させないよ!」
翼竜の顔に先ほど放った魔法の炎球と同じくらいの大きさの炎球が飛んできた。翼竜は先程お同じ様に避けようとする。
ドォン!
突如、顔の横で炎球が爆発した。しかし翼竜は咄嗟に後退して威力を相殺したようだ。
「うーん・・・シオン君みたいな威力は出せないか・・・」
「それはそうですよ。この魔法はシオン君の方が使っている時間が長いのですから」
そう言いながら二人の見たことがあう少女が前に出てきた。
『・・・・・王女様!?』
その場にいるはずがない人が目の前にいて、そこにいる人たちは驚愕していた。
「皆さん、下がっててくださいね」
「そうだよ、私たちがやっつけるから」
騎士達は王女二人の言葉を理解出来なかった。
まだ思考が戻っていないのかその場で呆然としていると
「そうだ、お前らは下がれ!」
団長バルトルのこえが響いた。その声に我を返し
「しかし、バルトル様・・・」
「言いたいことは判るが、今は下がれ」
そう言い切ると騎士達は下がり始めた。
「一応援護できそうならするからな」
リィナとレィナにそう言ってきた。
「「わかりました」」
二人はそう答えるのだった。
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シオンは王都の南の城門から500mほど走ったところで、魔物化した翼竜と衝突することになった。
魔物化した翼竜は10m近くはあると見られる。
「さすがに大きいな」
シオンは見上げるような形で翼竜を見ていた。
「瘴魔でないなら思いっきりやらせてもらうぞ!」
そう言った時には翼竜の両脇から5mはある巨大な炎球が迫ってきていた。
翼竜はそれに気付き、ものすごい風を起こしながら上昇する。
「甘いよ」
そう呟くと、翼竜がいた場所に炎球同士が衝突すると、翼竜を追うように炎の竜巻となり追っていく。
翼竜は翼をより大きく羽ばたかせ、炎の竜巻に向かって放ち、霧散させた。
そして風を起こして風の刃をシオンに向けて放った。
シオンは風の精霊魔法が得意だけあって何とか感知し避けることに成功する。
「さすがに翼竜の魔物化は一筋縄ではいかないか・・・」
シオンは次の手をかんがえるのであった。
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リィナは尾に注意しながら、炎球を放っているがダメージが通るほどの炎を出せない。
隙を見ては斬りかかるが
「やっぱり堅いよ~」
弾かれてしまう。
レィナは風の砲弾や水球等を放っているがダメージは通っていない。水球をぶつけて凍結させようとしても、表面だけが凍結するだけで、鱗の防御をなかなか破れないでいた。
「精霊魔法はイメージ・・・想像力・・・。あの時みたいにマナをもっと捻り出せないと・・・」
レィナはぶつぶつと、魔法の威力を上げようと模索していた。
「リィナは太陽だから火属性?でもマナは全属性に・・・。それに私は水属性ばっかり?・・・だけど・・・。得意属性が反対なの?でもそれなら太陽にはもう・・・一つ・・・!!」
レィナは太陽と月のマナに至るまで思考していた。二人は練習で全属性の中級クラスの魔法の威力までは出来た。なのに戦闘では偏った使い方をしている。マナの特性から無意識にリィナは火属性、レィナは水属性を使っていたことに気付いた。そして、太陽にはもう1つ強い力があることに気付いた。
「リィナ!光!」
その一言でリィナは気付いたようだ。
「やってみる!」
リィナはマナを翼竜の頭上に意識をした。翼竜にはレィナが放った水球が当たっては凍らせを繰り返し、徐々に周りを冷やしていく。そしてやっとのことで足を凍らせ少しバランスを崩すまで至った。
一部分だが内側まで凍結させることに成功したのだ。
そしてリィナが初の精霊魔法の試みる。
「くらえー!」
その言葉を発した瞬間、翼竜の頭上から眩しすぎるほどの光線が翼竜を貫いた。
『キュァアアーーー!!』
強い光は相当な熱量を持っているため、翼竜が苦しみ、悲鳴のような声を上げた。
光はほんの数秒しか持たず消えてしまったが、それでも翼竜は鱗がはがれ落ち、ダメージを負っていた。
「これなら!」
レィナはどこにも逃がさないように水球を鱗がはがれ落ちた場所を狙って、凍結させていく。そして、内側が凍結し始めたことで動かなくなり氷像となっていく。
「止め!」
そう言いながら短剣に炎を密集させて、動かなくなった頭に突き立て、刺さった場所から炎のマナを破裂させ、爆発させる。リィナは爆発を風の精霊魔法で散らしながら、爆発の反動で後退した。
爆発した場所では翼竜の下半身だけが残っているのであった。
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「え?・・・リィナ様とレィナ様が戦って勝ったの?」
リィナとレィナが翼竜と戦い始める時から、遠目でその様子を見ていたシンシアは絶句していた。
「え?どうして?」
そのまま思考が追い付かづに呆然としているのであった。
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シオンは飛び続けてこちらの機会を伺っている翼竜に向かって、水の柱をマナで無理やり作り出し、翼竜に向けて放つ、翼竜はそれを避け、水の柱は翼竜の脇を超え上に抜けていく。
「落ちろ」
シオンがそう言うと、上へ抜けて行った水が塊となって翼竜の頭上から落ちてきたのだ。水圧に耐えきれずに地に落ちた翼竜。そこに
ドゴン!
水に濡れ鱗の隙間から水が入り電気を通りやすくなっていた体に、雷が落ちてきた。
もちろん、シオンの仕業だ。
最初、リィナとレィナとアルバルトさんを助ける時も使った雷の精霊魔法。シオンは雷を見たことがあるが、電気を知っているわけではない。いつの日だったか、雷が落ちるのを見て、雷のマナを真似ようとした結果、出来てしまった精霊魔法である。シオンがこの精霊魔法を使えるようになってから少し実験をし、水の精霊魔法と風の精霊魔法を併用すれば、ある程度操作することができたのを確認していた。今回の戦法はその実験から思いついたものであった。
そして、雷に打たれた翼竜はショック死をしていた。
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シオンが戦った場所から少し離れた場所に、空中に浮かぶ黒いローブの男の姿があった。
「竜種では下位といっても翼竜は竜種だけあって耐性は強いようですね。追い詰められても瘴化に至ることはなかったですか・・」
その男がなにかぶつぶつと言っていた。
「まぁ、まだ実験は始まったばっかりですし、ゆっくりとやりましょうか・・・。いい素材も入ったことですし、あの者たちの存在も確認できましたし」
そう言って南の方へ飛んでいくのであった。
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「「シオン君、大丈夫?」
シオンが王都の城門に着くとリィナとレィナが出迎えてくれ、両脇から抱き付いてきた。
「こっちは大丈夫だよ。二人は?」
「大丈夫」「大丈夫です」
3人で無事を確認し合っていると、3人同時によろけた。お互いが無事だとわかって気が抜けてしまったのだ。
「「「・・・・」」」
3人は無言で見つめ合い
「あはは」「「ふふ」」
3人同時に笑い合うのであった。周りから見れば奇妙だったが、3人の笑い声で回りもすこし明るくなっていくのであった。
笑い合っていると、そこにバルトルとジンの二人がやって来た。
「シオン殿、リィナ様、レィナ様、少しよろしいでしょうか?」
「何でしょうか?」
バルトルの言葉にシオンが答える。
「実は見て頂きたいことがあるのです」
「見て欲しい物・・・」
「ですか・・・」
リィナとレィナも気になって来たようだ。
「ご案内します」
バルトルにそう言われ、三人はバルトルとジンに付いて行くのだった。




