第112話 それぞれの過ごし方
アカネとリシアはカイ、フィルジア、ルシルと挨拶をした後、買い物へと出ていた。
シオンとリィナ、レィナがいなければ、街中で国民に追い回されることがないので、買い物は出来そうであった。
「リシア、あたしこっちの服ってやっぱり慣れないんだよね」
「でも、アカネが元々着ていた服ってこちらの国ではないのですよね」
二人は店を何件か回ったが、アカネが着ていたような服は見つからなかった。
「今のところあのワンピースっていうやつがいいかな」
「でもアカネが選ぶワンピースってロングのだから、旅や戦闘には不向きですよ?」
「確かに・・・そうかも。戦うんだもんね」
因みに今のアカネは以前レィナの服を切り込みを入れたのを着ている。
その為、アカネの大きな胸の下乳が見えているので先程から男達の目を奪っていた。
「リシアみたいな服の方がいいのかな?」
「え?私のですか?」
リシアは今、エルフの民族衣装を着ている。
色は緑色を主体としており、スカートは短めで腰の横の部分に深めのスリットが入っている。
このまま戦闘しても特に問題がないぐらい身軽な服装だ。
「アカネには結構きついと思いますよ?特に胸のあたりが」
「・・・嫌味の様に言うのやめて。怖いから」
リシアは外見はすらっとして美人なのだが、胸が控えめなので本人は気にしているのだ。
「アカネは下着もまだ慣れないのですよね?」
「うん、今もきついから脱いできたし」
「はい?」
アカネは膝上ぐらいのスカートだ。
それなのに下着を身に着けてないのは問題がある。
以前も突風でスカートが捲れてカイに見られているのだから。
「・・・アカネ、穿いた方がいいですよ」
「故郷では皆穿いてなかったよ?」
「ここはその故郷とは違いますから」
リシアはまずアカネの下着を付けない癖を直さないとダメなような気がした。
それに下着も嫌なら自然とスカート限定されてしまう。
「アカネから見て、周りの人の服でこれがいいとかありません?」
時刻は昼近くになり、結構な人が往来している。
これだけいればアカネが着てみたい服の方向性ぐらいはわかると考えたのだ。
「うーん・・・」
アカネは周りの人の服装を見ていく。
男性は冒険者のように軽鎧や動きやすい服、スーツのような服やスラックスや短パン等の服装をしている人が行き交っている。
女性は冒険者より一般人の方が遥かに多く、基本的にお洒落な服装の人が多い。
中には魔法使いのようなローブや軽鎧を着ている人もいる。
「どれかっていうならスカートは長めのやつとか、あのローブみたいのがいいなぁ」
アカネは普段下着を着けない分、長めのスカートを所望していた。
「長過ぎるのはあれですから・・・これぐらいの長さはどうです?」
リシアは膝下の辺りの長さのスカートを見せる。
「これぐらいなら」
アカネは了承してくれた。
「では、上の方は・・・」
リシアはアカネの大きな胸に目が行く。
「自分で選んで貰ってもいいですか?」
「だから怖いって!」
二人はわいわいと話をしながら、町の中へと消えていった。
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「ラケル殿、失礼します」
「失礼・・・します」
「おお、エルネスト王子殿下にエスカリーテ王女殿下。何か用でも?」
ラケルは部屋の中でいろいろな書物や骨董品を調べていた。
「いや、先程の荷物が気になってな」
エストはラケルが何をしようとしているのかが気になったのだ。
「なに、年寄りの暇潰しじゃよ」
ラケルはそう言いながら、古い本を見せてきた。
「でもこれって・・・精霊関連の本?」
エリーが覗き込み呟いた。
「おお、エスカリーテ王女殿下は聡明ですな。その通り、この本はかつていたと言われる四大精霊、そのことに関して調べた記録のようなものじゃ」
ラケルは嬉しそうに語り始める。
「アカネのサラマンダー、エスカリーテ王女殿下のノーム。そうなると残りの水の精霊ウンディーネと風の精霊シルフもいると考えていいじゃろう。少しでも儂なりに調べておこうと思ってな」
ラケルは旅に同行するのは難しい。
シオン達の許可を得てこの屋敷に居座ることはできるが、何もしないという選択肢だけは取りたくなかったのだ。
「ラケル殿はやはり昔のまんまなのですね」
エストは幼い頃からラケルのことを知っている。
何せラケルにはよく話し相手になってもらっていたからだ。
話し相手以外の時は基本研究や調べものをしている印象があった。
今もそれは変わらずに発揮しているのが妙に嬉しく感じた。
「エスカリーテ王女殿下、ちょっとお聞きしたいことが」
「・・・何でしょう?」
「地の精霊ノームと会話とかできないのじゃろうか?」
「えっと・・・前は出来ないって言ってました」
エリーは精霊魔法が使える者しか視認も声を聞こえないことはわかっている。
「今なら出来るよ」
「「「え?」」」
エスト、エリー、ラケルの声が重なる。
ノームは実体化してエストとラケルの目にも見えるようになった。
「え?どうして?」
「悪いことなんだけど、魔人王の四大精霊の封印が解かれてしまったみたいだ」
「封印って」
エリーが聞き返す。
「うん、残るは巫女様の封印のみになった。だからその封印で使っていた力がそれぞれの精霊に戻ったんだ」
「いつから?」
「数日前だよ」
「なんで言ってくれなかったの?」
「聞かれなかったからだけど・・・」
「「「・・・・・・」」」
その言葉を聞いて人ではないことを悟った。
「ノーム様、いつもエスカリーテ王女殿下をお守り頂きありがとうございます」
「ううん、友達を守るのは当然だからね」
ラケルはノームと実際に会話が出来てかなり喜んでいる。
「お兄さんも僕と一緒にエリーを守ったもんね」
「あ、ああ。そうだな」
突然話し掛けられたエストは少し同様したが、すぐに頷いた。
「ノームは私のことも助けてくれた。本当にありがとう」
「お兄さんも僕の力を使いこなしてくれているからだよ」
エストはノームの対の剣を使って戦っている。
ノームの自我がそこに宿っているわけではないがノームの一部であることは間違いない。
「ねぇ、ノーム」
「なんだい?」
「今ノームがこうしているってことはサラマンダーさんも実体化できるの?」
「多分出来るんじゃないかな?」
エリーはサラマンダーにも後で聞いてみようと考えた。
「ノーム様、少しお話しいいかの?」
「うん、いいよ」
その後、ラケルはノームに質問攻めをするのであった。
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「シオン君、こっちは終わったよ」
リィナが服を片付けて戻ってきた。
「お疲れ様」
シオンは作業しながら返事をする。
「何しているの?」
「ん~、異空間袋の状態とかを詳しく調べてる最中かな」
シオンは異空間袋に細かく書き込んだマナの流れを一つ一つ確認していた。
強い瘴気に触れてしまったため、一部の書き込みがめちゃくちゃになっているのが、不調の原因だとわかった。
しかし、これを直すには相当な時間と根性がいる。
いっそのこと新たに作ろうと考えたが、そんな時間もないし、材料も多くはない。
だから、もっと詳しく調べてどうにかする方法がないかを模索中だった。
「前から思ったんだけど、これって精霊魔法の要領で特殊な糸に描き込みながら編んで袋にしたんだよね?それだったらそのイメージとかを精霊魔法で創れないのかな?」
「・・・その手もありか?」
リィナはこういったことに詳しくはないが、突拍子もないことを言って、今みたいにヒントになったりすることがある。
「リィナの方が早く終わっていたのですね」
そこへレィナがやって来る。
「シオン君、これを見てください」
そう言ってきたレィナはシオンの目の前に一つの布を差し出した。
「それは有りだと思いますか?」
レィナは何が有りなのかを言わずに質問してきた。
シオンはその布を受け取り広げてみる。
それは女性物の下着だった。しかも、ほとんど紐の。
「え!?これレィナの!?」
「いえ、リィナが以前シオン君を落とすための勝負下着だとか言って買ったものです」
「ちょっと!?人の下着持ってこないで!!レィナも透けている下着買ってたよね!」
リィナは顔を赤くしてシオンから下着を奪い取る。
「なんでそれを僕に見せたの?」
シオンはまずそこが疑問だった。
「このような下着は逆に引く殿方もいるとお聞きしたので」
「えっと・・・誰に?」
「セレンさんです」
「・・・・・・」
あのメイドはどういった経緯でそんな話をレィナにしたのだろう。
「で、有りですか?」
確かに男からすれば有りと言えば有りなのだが
「・・・二人にはもう少し大人しめの可愛い下着の方が似合うと思うよ」
シオンは正直に答えた。
「・・・そうですか」
なぜかしょんぼりするレィナ。
「レィナ、ごめんね」
「っ!?」
「っぶ!?」
リィナはレィナの後ろに回り込み、スカートをたくし上げた。
レィナは直ぐにスカートを手で押さえたが、シオンにはレィナの足の付け根部分が下着を履いた上から一瞬見えてしまった。
「り、リィナ!?」
「ごめん!本当に履いてると思わなくて!!」
「あ!シオン君。私はいつもこんなのは穿かないですからね!物は試しってことで穿いただけですから!!」
レィナは顔を真っ赤にしてシオンに誤解されないように慌てて弁明する。
「う、うん。わかってるって」
シオンは今見た物を忘れようとしながら答える。
「うぅー、恥ずかしかったです」
「だからごめんって」
レィナは顔を赤くしたまま椅子に座って休んでいた。
リィナも隣に座り、謝り続けていた。
「出来る限り忘れるようにするから」
「それって忘れられないってことじゃないのですか?」
シオンが言ってもなかなか落ち着かないレィナだった。
今三人は庭に設置してあるテラスでお茶を飲んでいる最中だ。
外へ出掛けたいのだが、また騒ぎになると厄介なので、仕方がなくここでお茶を飲んでいる。
「しかし、レィナ様。リィナ様も含め、旅の途中でシオン様には裸を見られたのではないのですか?」
「「思い出させないで(下さい)!」」
二人の声が重なった。
「これは失礼しました」
「・・・・・・」
シオンはセレンが二人をからかって遊んでいるように思えた。
「もう、セレンさんは昔からお世話になっているけど」
「お茶目なところが結構ありますよね」
二人は皮肉を言ったのだろう。
「ありがとうございます」
「「誉めてない(ません)!」」
またもや二人の声が重なる。
「三人共、仲が良いよね」
シオンは端から見てそう思った。
「それはまぁ」
「結構長く一緒にいますし」
リィナとレィナは少し照れながら話した。
「シオン様にそう言って頂き嬉しく思います。リィナ様、レィナ様、シオン様をお裾分けしてもらうわけには」
「「ダメ(です)!!」
「うふふふ」
今日のセレンは絶好調のようだった。
恐らく魔人討伐という大業に向かい、無事に帰って来てくれたのが本当に嬉しいのだろう。
「・・・・・・」
シオンは目の前で騒ぐ三人を見てそう思うのだった。
「シオンは入らないの?」
シオンの肩の上で静観していてフィーが問いかけてきた。
「うん、なんか入りづらいからいいかな」
三人の様子をシオンとフィーは眺めているのだった。




