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双子王女との恋奏冒険記  作者: 雅國
第五章 精霊の誕生、そして
113/199

第113話 それぞれの過ごし方 2

「リシア、つき合ってくれてありがと」

「いえ、私も良い買い物が出来ましたから」

 アカネとリシアは昼食がてら、喫茶店のような場所で休憩をしていた。


 アカネの服は最初のと違い、少し長めのスカートになっており、落ち着いた雰囲気の服になっている。

 というのも、下着を穿かないので、短いスカートよりは良いとの判断で着替えたのだ。


「リシアも着替えれば良かったのに」

「いえ、私はこれで大丈夫ですから」

 リシアは着替えずにエルフの民族衣装のままだ。

 見た感じは軽装の冒険者に見えなくもないので、特に問題はない。


「そういえば、気になっていることがあるんだけど」

「なんですか?」

「買い物をするときもそうだったけどさ、なんでリシアは店員とあまり話さないの?」

 今日買い物をするに辺り、基本的にアカネが店員と応対をしていたのだ。

「それは私がエルフ族だからです」

「どういうこと?」

「アカネは今日1日を通して、男性に声を掛けられていないですよね?あの格好をしていたのに」

「まぁ、言われてみれば」


 アカネもリシアも美人といえる部類に入る。

 そんな二人が女二人で歩いているのに男性から一声も掛けられていないのだ。


「私は見た目も格好もエルフですからですよ」

「・・・だからどういうこと?」

「エルフは精霊魔法を使うことは有名です。精霊魔法は人間族からしたら畏怖される存在ってことです」

「でもリィナやレィナは国民に愛されているよね?」

「恐らく二人が使っている魔法については国民に伏せられているのでは?一部の冒険者の方々は知っているようですが」


 リシアが言ったのはフィルジアのことだ。

 リシアは冒険者登録をしているフィルジアがハーフエルフだと知っているし、耳もリシア同様に尖っている。

 それでもフィルジアは国民からある程度認められているのはカイの影響が大きいのではないかと見ている。


「でもリシアはいい娘だよ?」

「私と密に接していればそうなのでしょうが、知らない人からすると畏怖してしまうかと」


 リシアはカイ達と旅をしているときも、避けられていると感じたことがあったので、フィルジアに聞いたところ人間社会ではエルフ族はそういう風に見られていると教わったのだ。


「ふーん、なんか勿体ないね」

「何がです?」

「だってリシアはこんなにも可愛いのに」

「わ、私は兄さんに見てもらえるだけでいいんです!」

「わかってるって」

 アカネは少しムキになるリシアが可愛いと思うのだった。


「それにしてもリシアはどうしてシオン君に付いていこうと思ったの?前はカイさん達に付いていったって聞いたよ」

「精霊の里で兄さんと別れて、最初はただ兄さんに会いたいってだけだったんです。それでフィルジアさんに付いていったのが、私の旅の始まりですね」

 リシアが旅に出てからまだ一年も経っていないのに、やたら懐かしく感じた。

 それだけ濃密な時間を過ごしているのだろう。


「未開の森で兄さんと会えて、遺跡を探検してとかいろいろしている内に兄さんとリィナさん、レィナさんの仲の良さを目の当たりにしました」

 リシアは少しだけ悲しそうな顔をした。


「たぶん、兄さんが他の女の人と一緒にいるのが受けいられなかったんです。だから、一度距離を置きたかった。あのままあの場所にいたら、きっとただ苦しいだけだったから」

「リシア・・・」

 アカネはリシアもいろいろと苦悩を持っていると感じた。


「そして、この前の魔人との戦いでまた兄さんと会えた。リィナさん、レィナさんのお二人だけではなく、エリーちゃんも兄さんと一緒にいた。それを見たら私も兄さんの側にいていいんだと思えたんです」

 リシアは先程の悲しそうな顔はもうそこにはなかった。


「今はまだですけど、私も兄さんの隣に立つ人でありたい。そう考えたからこそ、私は兄さんに着いていくことにしたんです」

「リシアもいろいろ苦労があったんだね」

「ええ、でも最初カイさん達に付いていって良いこともありましたよ」

「え、そうなの?」

「はい!アカネに会えました」

 リシアは笑顔で言い切った。

 アカネはその直球過ぎる言葉に顔を赤くした。

「ま、まぁ、あてしもリシアと会えて良かったと思うよ」

「はい!」

 二人は絆を深めていった。



 --------------------------



「シオン、ちょっといいか?」

 シオンはリィナとレィナと庭のテラスで休憩をしているとエストに声を掛けられた。

「兄様、シオン様ではなくリィナさんとレィナさんに頼んだ方がいいのでは?」

「そうか。そうだったな」

 エストの後ろからエリーが歩み出てきて、シオンの近くに行く。

「「・・・・・」」

 リィナとレィナが無言でエリーの様子を見ていた。


「リィナとレィナ、ちょっと頼みがあるのだがいいだろうか?」

「私達に出来ることなら」

「身体は無理ですよ」

 レィナは冗談を言ったのだろうが少し怖い笑顔をしていた。

「そんなのは要求はしない。私がお願いしたいのは王城にある書物についてだ」

「「書物?」」

 リィナとレィナは首を傾げる。


「ああ、ラケル殿がここで衣食住をしてもらう代わりにいろいろ文献を集めて四大精霊等について調べ始めたのだ」

「エスト、朝のあの荷物はまさか」

「そうだ。古い書物に謎の像や箱やら色々怪しいのがあった」

「それで王城にある書物も見せてほしいと」

「そういうことだ」

 確かに王城にある書物は古いものもかなりあると聞いている。


「頼めないだろうか?」

「うーん、たぶん大丈夫なんじゃない?」

「でも一応父上に確認しないといけませんね」

 二人は大丈夫と踏んではいるが、流石に勝手にいいとは言えない。


「でも、外にはまだ人が何人もいるよ?」

 フィーが外から人がいる気配がしていることを言う。

『・・・・・・・』

「どうしようか?」「どうしましょう?」

 リィナとレィナはお互い同時に頭を悩ませた。


「変装すればいいのではないでしょうか?」

 セレンが案を出してきた。

「セレンさん、変装に何に変装するの?」

「私達、変装出来る服は持っていません」

 リィナとレィナは旅装束やドレスは持ってはいるが、変装するには心もとない服しかない。


「あら?いっぱいあるじゃないですか」

「「え?」」

 二人は首を傾げていた。



 数分後

「これって」

「いざ着ると少し恥ずかしいですね」

「私としてはレィナ様の下着におど」

「言わないで下さい!!」

 リィナとレィナはセレンに連れられて着替えに行ってきたのだ。

 今二人はメイド服を着ている。

 本来、王族が着るはずのない服なので新鮮さがある。


「二人とも、可愛いよ」

「「あ、ありがとう(ございます)」」

 二人はシオンに誉められ、頬を赤くした。


「・・・・・・」

「エリーも着てみたいのか?」

「え?そんなことは」

 エストはエリーが三人の様子を黙って見ていたので聞いてみたのだが、違うらしい。

「ああ、そうか。シオンに誉められたいのか」

「それは・・・うぅ」

 エリーは少し恥ずかしそうにして俯いた。


「ふむ・・・」

 エストはエリーを見る。

 エリーは基本的に裾の長めの簡易ドレスのようなものを常に着用しているので、メイド服を着せても大差ないように思える。ならいっそのこと、露出を増やした方がいいのではないかとエストは考えた。エストは赤の他人には見せられないが、シオンになら妹のそんな姿を見られてもいいと思った。


「・・・何か用意するか」

「兄様?」

「いや、何でもない」

「ん?」

 エストはその内にエリーの服を用意しようと決めた。



 --------------------------



 シオンはメイド姿のリィナとレィナを連れて屋敷を出てみた。


 屋敷の前で待ち構えていた町の人は十数人といったところだ。

 一瞬、シオンの方を見てすぐ違う方を見た。


 シオンはそのまま二人を連れて王城へ繋がる道へと出る。


「バレなかったね」

「一瞬見られたときはドキっとしましたが」

 リィナとレィナはなんだか楽しそうだった。


「さすがに王女がメイド服を着るなんて想像できなかったのかもね」

「確かに」「そうですね」

 三人は顔を見合わせて笑うのだった。



 そしてそのまま王城まで出向いた。


「シオン様、今日は御一人なのですか?」

 もう見慣れた王城の門番の兵士がシオンに気付いて聞いてきた。

「ちゃんといるよ」

「ふふふ」

「え!?」

 後ろのメイドが王女だと気付き、兵士は目を丸くしていた。


「まぁ、あまり見なかったことにしてもらってもいいですか?」

「は、はぁ」

 兵士は曖昧な返事をしていたが、シオン達は城の中へと入っていった。



「おお、お前達」

 アルバルトは謁見の間ではなく私室の方にいた。

 シオンはアルバルトの私室に入るのは初めてで少し部屋を見渡した。

 部屋の中は意外と片付いており、武器とかが多く並んでいた。


「リィナ、レィナ。シオンの従者になったのか?」

 アルバルトはいきなりそんなことを言ってきた。メイド服を着ているからだろうが。

「まぁ、それはそれで面白そうだけど」

「シオン君の妻の方が憧れですね」

 二人は恥ずかしがらずに堂々と宣言をした。


「はっはっは!シオン!愛されているではないか」

 アルバルトは嬉しそうに笑った。


「それよりここまで来るということは何か用があったのではないか?」

「そうでした。実は・・・」

 シオンはエストからお願いされたことを説明する。



「ラケルというのはあのオヤジのことか?」

「父上・・・」

「オヤジって・・・」

 アルバルトのラケルに対する呼び方に呆れていた。


「いや、あれは我が旅してバレスに赴いた時に思いっきり頭をぶん殴られた記憶しかないのでな」

「なにしたんですか・・・」

 あのラケルが思いっきりぶん殴るなんてシオン達には考えられなかった。


「いや、そこらへんに散らばっていた石を蹴って暇潰していたらいきなりだぞ!!」

「「「・・・・・・」」」

 シオン達三人は一瞬黙って考える。

「父上、その石って」

「ラケルさんの研究資料だったんじゃ」

「・・・そうなのか?」

 リィナとシオンの言葉にアルバルトが首を傾げる。

「ラケルさんがそこまで怒るとなるとそれぐらいしか思いつかないです」

「・・・・・・」

 レィナの言葉にアルバルトは固まった。


「それは・・・悪いことをしたな」

 アルバルトは反省をしていた。



「それより王城にある資料については大丈夫だ。一応そのオヤジ・・・じゃなかった。ラケル殿の王城への入城許可は出そう。門番にこれを見せれば入れてもらえるようにする」

 アルバルトは机の引き出しから許可証の様な物を出して渡してきた。


「では、これはラケルさんに届けておきますね」

「ああ、頼む。それともし訪れた時は謁見の間で我を訪ねるように頼んではくれぬか?」

「いいですけど・・・」

 シオンは一応頷くがどうしてだろうと疑問に思っていると

「いや、まぁ。謝っておこうかと」

 アルバルトはかつての行いのことを謝ろうとしているようだ。

「わかりました。伝えておきます」

「すまぬな」


 シオン達は王城での用事が済んだので帰路に着いた。


「シオン君、せっかく外へ出たんだからお茶していかない?」

「いいよ。どこへ行こうか」

「そうですね。とりあえず大通りの方へ行ってみませんか?」

 三人はこのままデートへ赴くことになったのだった。

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