第101話 再集結!
「ここまでくれば大丈夫だろう」
フィルジアがそう言うと皆は各々休み始めた。
「ここは城から一番遠い地下室だ。魔人達も気付かないと思う」
「エストだったか?助かった」
「いや、私達も助けられたからな」
エスト達とフィルジア達はお互いに自己紹介を始める。
「ねぇ、兄さん。その子は?」
「えっとこの子はエリーっていって、エストの妹で・・・」
「うぅ・・・怖い」
エリーがシオンの心配をして話しかけていたら、リシアが凄い良い笑顔で割り込んで来たのだ。
その迫力にエリーはシオンの服を握りしめて、シオンの後ろに隠れている。
「兄さんはモテますね。妹として鼻が高いですよ」
「・・・エストの妹だからね」
シオンはそこを強調した。
「まぁまぁ、エリーちゃんはノームと契約してるからシオン君が中心になって精霊魔法を教えているんだよ」
「・・・それがノームなのですか?」
エリーの頭の上には小人が乗っていた。
「そっちの・・・あれはトカゲですか?」
「えっと・・・サラマンダーだよ」
レィナはアカネの傍を飛んでいるサラマンダーを指して言った。
(ノーム、久しぶりなのかな?)
(うん、またこうして会えるなんてね)
ノームとサラマンダーは精霊同士で会話をしていた。
「えっとあたしはアカネ、精霊サラマンダーと契約してるからエリーちゃんと同じ境遇なのかな?精霊魔法はリシアとフィルジアさんに教えてもらっている最中だよ」
アカネはサラマンダーのことも紹介した。
「アカネも兄さんに精霊魔法を教えてもらったらどうです?」
「あたしは今まで通りリシアでいいけど」
「たぶん、兄さんの方が精霊魔法を教えるのは上手いですよ」
リシアがシオンを師匠にと進めてくる。
「私達もだけど、今だってエリーちゃんに教えてますからね」
「シオン君を取らなければ平気だよ」
「取るって・・・」
アカネはシオンを見た。
確かに格好いい方ではある。
それに、精霊魔法を教えられるということはリシアと同じぐらい強いということだ。
そう思ったら悪くはないと思うアカネだった。
「・・・何か変なこと考えてませんでした」
「いえ!考えてません!」
「それなら構いません」
レィナが放つ気迫にアカネは慌てて拒否をした。
「相変わらずですね、レィナさん」
その様子を見てリシアは少し懐かしさを覚えていた。
「それにしてもエリーちゃんはあまり話さないんだね」
アカネはエリーを見て言った。
「うぅ」
エリーは注目を浴びたことでよりシオンの後ろに隠れてしまう。
「エリーは人見知りだから緊張しているんだと思うよ」
シオンが説明する。
「人見知りするのに兄さんには甘えるのですね」
「シオンさま~」
相変わらずリシアはエリーに対し厳しく当たっていた。
「リシア、僕が精霊魔法を教えているわけだから頼られるのは当たり前だろう?」
「それはまぁ、そうですが。・・・ちょっと羨ましいだけですよ、兄さんのばか」
リシアは途中から声を潜め呟いた。
シオンにはその言葉が聞こえていない。
「素直になればいいのに」
そんなリシアにアカネは声をかけた。
「今はこれでいいんです!」
(ねぇ、ちょっといいかな?)
そこへノームが話しかけてきた。
今話していた皆はノームの声が聞こえるので、皆はノームの方を向いた。
(巫女様、初めまして。火の精霊サラマンダーです。アカネと契約してくれないかな?)
「えっと火の精霊ということはまた私だよね?」
リィナは自分を指差しながら言った。
「それってエリーちゃんの時と同じ方法なのかな?」
(そうだよ、アカネと接吻してもらえれば)
「だから、それは嫌なんだって!!」
リィナは叫んだ。
「サラマンダーさんはそれ以外の契約方法をご存知ないのですか?」
レィナが尋ねる。
(うーん・・・、わからないな)
「そう・・・ですよね」
レィナはがっかりしていた。
いずれは己もやる可能性があるからだろう。
「・・・ねぇ、精霊の二人に聞きたいことがあるんだけどいい?」
シオンが精霊達に尋ねた。
ノームとサラマンダーは頷いた。
「過去がどうなっていたかはわからないけど、君達四代精霊は火、水、地、風のそれぞれ精霊として存在している。太陽と月の精霊は存在していなかったの?」
(ん?太陽と月の精霊は巫女様達だよ?)
(だから、僕達の精霊の契約者とも契約ができたんだ)
ノームとサラマンダーはそう答えてきた。
「昔はそうだったかもしれない。でも、今この二人は精霊ではない。立派な人間だ。ただ太陽と月のマナを宿しているだけの存在で精霊ではないはずだ」
((・・・・・・・・))
シオンの言葉に精霊達は黙ってシオンの話に耳を傾ける。
「もし、契約が出来たとしても、二人のマナは大丈夫なのか?話を聞いた限りだと、精霊の契約と内容は同じように聞こえる。例えば、契約してエリーやアカネが巫女のマナを使って戦うとしよう。その時の巫女のマナはどうなる?昔の巫女は精霊だというならマナの回復力は間に合っていたかもしれない。でも、二人のマナの回復力は僕達とそうは変わらなかった」
マナは自然に回復させるしか基本的に方法はない。
戦いが続けば、マナは枯渇して一時的に精霊魔法が使えなくなってしまう。
シオンは今まで二人と旅をしてきて見ているが、マナの回復力は普通だった。
そこに契約者の使用する分も引かれるとなると、すぐに枯渇してしまうと思ったのだ。
(確かに・・・。このまま契約するのは得策ではないね)
(・・・・・・・)
サラマンダーは納得していたが、ノームはそんなシオンのことをずっと見ているのだった。
「シオン君」
「ありがとうございます」
リィナとレィナは突然両側こらシオンに抱き付いた。
「私達のこと心配してくれたんだよね?」
「その気持ちがとっても嬉しいです」
二人は更に抱き付く力を強めた。
「・・・二人とも、今は皆いるから」
シオンは居たたまれない気持ちになってしまった。
「相変わらず仲が良いのですね」
「うぅ・・・いいなぁ」
「あははは・・・」
リシア、エリー、アカネはそんなシオン達の様子を複雑な気持ちで見ているのだった。
「シオン、この後はどうする。魔人の一人は倒したようだが」
「まだベッフェルという魔人が残ってます」
「後、ベッフェルといた女の魔人もだよ」
「グールを作った魔人も残っています」
「・・・まだ結構いるのだな」
質問したフィルジアだが、シオン達から予想以上の魔人の数が出てきて驚いていた。
「それよりあの黒龍はどうする。あいつは放っておくとマジぃぞ」
「だが、あれは再生が早すぎる。現状俺達では倒せん」
カイとフィルジアがグールとなった黒龍について話しだす。
「魔人はリィナさんとレィナさんのお二人でしか倒せないのですよね?」
「そうだね。瘴魔ぐらいならあれをやれば僕でも倒せるけど」
「瘴魔なら指輪を持っている俺やリシアでも倒せるしな」
「そうなると魔人はリィナとレィナ、瘴魔や瘴気に対抗できるのはシオンとリシア、フィルジアさんになるわけか」
最後にエストが整理して現状の戦力をまとめた。
「オレ達はその他を担当すればいいってことだな」
カイは自分の役割を確認した。
「まぁ、私達が後出来るとしたらフォローぐらいだな」
エストがどうやって戦うか考えていると
「エスト、こんな時に聞くのもあれかもしれんがいいか?」
フィルジアが改めてエストの方へ向き、問いかけてきた。
「・・・なんだ?」
「お前はバレスの王族だろう?何か魔人の目的とかは分からないのか?」
「・・・なぜ王族だと思う?」
「以前俺達は黒龍退治でここバレスに雇われた。その時にエスカーン王の隣にお前がいたのでな」
「あの時か・・・」
エストも気付いたらしい。
「悪いが魔人の目的は私にもわからない。だが、父上は最後にこの剣とエリーが持っている剣を託してきた」
「その剣は?」
「かつて魔人を封印した精霊ノームが宿っている剣だ。そのノームはそこにいるらしいがな」
エストはエリーの方を見る。
エリーはノームと何かをやっているのか虚空に向かって話していた。
「・・・傍から見るとやはり怖いな」
「そうか、エストは精霊が見えないのだな」
フィルジアにはエリーがノームと話している様子が見えていた。
「それなら魔人はその剣、もしくは精霊を狙っていると考えたほうがいいのかもしれんな」
「確かにその線は濃いな」
フィルジアの意見にエストも頷いた。
「二人の話が合っているのならサラマンダーの方も狙われないかな?」
リィナも意見を言った。
「リィナの言う通り、カイさんの大剣も狙われる可能性は高いですね。もしかしたら契約者も狙われる可能性もあるかもしれない」
シオンも意見を言う。
「確かにシオンの言う通りかもしれんな」
「そうだとすると守るのはこの剣含め三本とエリーとアカネってことになるか」
「守るものが少し多いですね」
レィナが守る対象を見渡して言った。
「でも、エリーとアカネさんも戦えるし、剣を持っているのもエストやカイさん、エリーだからそこまで意識しないでいいと思う。もし、狙われるようだったら守ればいいんじゃないかな」
「それもそうですね」
シオンの意見にレィナは納得した。
皆も頷いているので、異議はないようだ。
「後の問題は魔人がどこにいるかってことだな」
「・・・城じゃないかな?」
「シオン、どうしてそう思う」
「私も城にいると思う」
「私もです」
シオンに続きリィナとレィナも同じ意見を言った。
「なんていうか・・・城の方から嫌な感じがするんだ」
「だよね。私もそうなんだ」
「最初は町の向こうの方でしたが、今は城ですね」
「そうそう」
『・・・・・・・』
三人は何かを感じ取っているかは分からないが、三人が同じ意見なので皆は唖然としていた。
「魔人と実際にやり合ったから何かわかるんじゃねぇか?」
「・・・そういうことにしておこう」
カイの意見を尊重することにした。
実際は太陽と月のマナが反応しており、シオンのマナも抱き付かれた影響で二人のマナに変質していたのだ。
一行はそのことに気付かないでシオンとリィナとレィナの言葉を信じることにした。
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「さっそく使いましたか」
「お!ベッフェルか!おかげでいいのができたぜ」
ベッフェルは瘴玉の反応を感じイマーゴの元へ訪れていた。
「・・・相変わらず気に食わない顔ですね。こいつのおかげで・・・」
「そんなこと言うなよな!俺が創った作品なんだから今は味方だぜ」
イマーゴは今創ったばかりのグールを前に出す。
「・・・よくあの状態からここまで修復しましたね」
「いや、元の能力が高いからなのか、魂を呼び戻したらこうなったぜ」
「そこはさすがの一言ですね」
ベッフェルはもう一度グールの出来具合を見る。
「・・・やはり気に食わない顔ですね」
「それはそうとベッフェル、お前さんが探していた精霊具って剣か?」
「確かそのはずですが」
「その剣、俺が創ったグールと戦っていたガキがそれらしき剣を持ってたぜ」
「本当ですか!?」
「あ、ああ」
「そうか。ならその子供を探せば・・・。その子供はどこに行ったかわかります?」
「・・・向こうの方に逃げていったはずだが」
「そうですか。ならその子供を探すとしましょう。特徴とかはあります?」
「一人は金髪の兄ちゃんだったな、もう一人は剣を抜いてはいなかったが金髪の女のガキだ」
「そうですか・・・。金髪」
そう言って今目の前にいるグールを見る。
「そうか。そういうことでしたか」
ベッフェルはグールを見て何かに気が付いた。
「イマーゴ、このグールの目の前でその子供を壊してもいいですか?」
ベッフェルの瞳は狂気に満ちていた。
「・・・わかった。少し付き合ってやる」
そう言って三人はその場を後にした。




