第131話
当然そんな状況では曲作りもできないので、放課後に沢里家のスタジオを使わせてもらっている。
私たちはライブ前と変わらず二人で音楽浸けの毎日を送っていた。
「あ、これ見て。美奈が新しい私たちのロゴ考えてくれたんだ」
「意外な才能」
美奈とはあれから仲よくしている。手芸やデザインが得意な美奈は、自分の作ったグッズやイラストを見せてくれるようになった。
「土井ちゃんのサイトで紹介してくれるらしいよ」
「土井に関してはもはやなにも言うことないな」
そんな土井ちゃんはサワソニ後にすぐ【linK & haru.】のファンクラブを作り、会長として日々ファンクラブサイトの運営で忙しくしている。
本人いわく、「にわかには任せられない!」とのことだ。私たちも文句はないので公認している。
「私たちも負けてられないね! ネットライブも控えてるし」
「そうだな。しかし親父もいきなりぶっこんできて、悪かったな」
sawaさんは前回サワソニのネット中継の反響を見て、新たにインターネットライブを開催しようと奔走している。
全国各地のアーティストがネット中継で参加できるライブを目指しているらしく、元々ネットで活動している私たちも声をかけてもらった。
「君たちにはインターネットライブの顔になってもらうよ!」
そんな宣言をされてしまい、その結果新曲作りに日々追われることになったのだ。
「またライブに出たいと思ってたからありがたいよ」
「ああ、そうだな」
ネットシンガーとしての活動も続けながら、私たちはあの日味わったライブの楽しさを忘れられないでいる。会場の熱気、昂揚、終わった後の達成感。それらが痛いくらいに胸に刺さって抜けないのだ。
「【モルフォ】も出るから楽しみなんだ」
「そういえば、メジャーデビュー決まったんだよな。おめでとう!」
サワソニでMVPをとった柾輝くんたち【モルフォ】はそのままの勢いでメジャーデビューが決定した。柾輝くんから連絡をもらい、義父と二人で狂喜乱舞して足の小指をぶつけたのがまだ痛い。
お盆に家族全員集まれることになったので、そこで盛大に祝う予定だ。
柾輝くんに負けていられない。いい曲を作りたい。




