2.登校しちゃった
朝起きるといろいろな身支度はメイドの人がやってくれた。そして、高そうな車で学校まで送ってもらえるとのことだ。マジでお嬢様なんだなーと感じる。
黒い車から降りると白くてきれいなでっかい学校が目の前に現れた。校舎へと向かって歩くが、自分のクラスと席が分かんないことに気づく。
困っていたところに赤髪ツインテールのかわいい子が話しかけてきた。
「フィアナさんなんでこんなところで止まってるのかしら? 一緒に教室行きましょう」
「いやちょっと考え事してた。一緒に行こっか」
どうやら友達っぽい子が話しかけてくれたので助かった。赤髪ツインテールの子に付いて行き教室まではなんとかたどり着いた。
授業ではこの国の歴史や語学について内容だったけど、全然興味がないし意味もわからなかった。
ぼけーっと今日のご飯のことを考えているうちに午前の授業は終わった。
お昼は赤髪ツインテールの子と一緒にご飯を食べる流れになった。この子の名前はベローチ・ルクレシアと言うらしい。教師や周りの子が呼んでいたのを必死に覚えるのは大変だった。とりあえず今はこの子くらいしか頼れる人がいないから仲良くしないと。
ベローチちゃんとカフェテリアでなんだかよく分からないけど美味しいパンを食べていると、遠くから金髪のイケメンがこっちを見ていた。
「レオク様がこちらを見ているわ。いつみても素敵よね」
「うん、すっごいイケメンだよね」
日本で暮らしてたらまず会うことのない西洋のイケメンなんだから少し見とれてしまった。
「痛っ!」
「どうかされましたフィアナさん?」
急な頭痛に襲われた。猛烈な頭の痛みに襲われ、意識が途絶えた。
目を覚ますとアタシはベッドの上に寝ていた。
「フィアナさん、目を覚ましたようね。急に倒れたところをご友人が介抱してくれたのよ」
(申し訳ございません、ご迷惑おかけしてしまいまして)
頭の中でアタシじゃない誰かの声が聞こえる。
状況は分からないけど、話しかけてきてる女の人に返事をしなきゃ。
「なんか、急に頭痛くなっちゃって倒れちゃったみたいです。もう大丈夫なんで教室戻りますね」
「わかりました。身体には気をつけてくださいね。」
おそらく保健室から外へ出た。すると自分の頭からまた声がする。
(あなたは誰ですか? どうして私の身体を動かしているのでしょう?)
(あー、もしかしてアンタこの身体の持ち主?)
(ええ、私はフィアナ・ルクレシアです。あなたこそ一体どこの誰なのでしょうか?)
(アタシは西園寺ミリム。こことは別の世界で死んじゃってなんか知らないけどアンタの身体に入り込んじゃったんだよね)
(全然何をおっしゃっているのかわかりません)
(そりゃあ、アタシだって分かんないんだけどさ、現に今アタシとアンタが一緒にこの身体に入ってるわけじゃん)
(そうですわ、早く私の身体から出ていってくれませんか)
(出れるなら出てあげたいとこだけど出れないんだわ。まぁでも本人と会話できるんなら動きやすくはなったかも。教室の戻り方教えてよ)
(はぁ⋯⋯、本当に困りました)
この身体の持ち主の意識が戻ったみたいだった。
持ち主の声に従って教室に戻ると、既に授業は終わっていて、室内には数人しか残っていなかった。
(どうやって家帰ったらいいの?)
(電話をかけて家の者に迎えを頼むのです)
(ふーん、この世界にも電話はあるんだ)
鞄の中をあさると丸型の携帯電話が見つかったので、家にかけて来てもらうようお願いした。待ち合わせをしている正門の方へ移動していると、廊下で昼休みの時に見た金髪のイケメンと遭遇した。
「フィアナ、お昼は急に倒れていたけど大丈夫だった?」
「えっ、まぁ大丈夫だったよ」
(このイケメンと知り合いなのアンタ?)
(レオク様とは知り合いというかたまに会話をする程度の関係ですわ。とても私ごときが仲良くしていい相手ではありませんのですが)
(すごい人なの?)
(レオク様はこの国の王家であるゼルヴィス家の第一王子なのです。あなたのその品のない話し方で話しかけて良い相手ではありません)
(へー、王子様ってわけね。イケメンの王子とか最強じゃん)
「フィアナ、もしよかったら今度お昼一緒に食事しないか?」
(お、王子から誘われてるじゃん。これは脈あるんじゃね?)
(脈? 何をおっしゃっているのかはよくわかりませんが、この誘いは断ってください。私ごときがお昼をともにするなど恐れ多いことです)
(この王子のこと嫌いなの?)
(嫌いなはずがありませんわ。こんな私にも優しく声をかけてくださりますし、会話も楽しくさせていただいております。けれども、身分が違うのです)
(身分ねぇ⋯⋯、でもわざわざアンタに話しかけてきたってことは向こうは確実にアンタに興味を持ってるってことじゃん。ちょっとアタシに任せてみてよ)
「レオク様、ぜひぜひお昼ご飯一緒に食べましょう! アタシはいつでも大丈夫ですよ!」
「そうか、良かった。良かったんだけど、フィアナ⋯⋯、君は本当にフィアナかい?」
「何言ってるんですか、アタシはフィアナですよ。急にどうしたんですかレオク様―」
「君はフィアナじゃない。フィアナはそんな話し方じゃないし、なにもかもが違う。お前はフィアナの身体に取り憑いた悪霊だな」
めちゃくちゃ王子に疑われてしまった。
(どうしよ、めっちゃ疑われてるわ)
(それはそうでしょう。私らしさがまったくありませんもの)
(んー、とりあえず確認したいんだけどアンタはこの王子のこと好きなんだよね)
(す、好きなんてそんなこと口が裂けても言えません。そもそも私には婚約者が既におりますし、レオク様にも決められた人がいるはずです)
(アンタの婚約者ってあのつまんない男でしょ。この王子のことが好きならちゃんと気持ち伝えたほうがいいって)
「レオクさんだっけ、アンタ勘がいいね。アタシはこの身体の持ち主であるフィアナ・ルクレシアじゃないよ。でも、悪霊でもない。アタシは別の世界の人間で西園寺ミリムって言うの、よろしくね」
「別の世界? 西園寺ミリム? 何を言っているんだ君は」
「理解しろって言っても難しそうだから、とりあえず悪霊じゃないってことだけは分かってほしいかな」
「よく喋る悪霊のようだな。エクソシストを呼んで早めに退治してもらわないといけないようだ」
「わかった、じゃあさっき言ってた昼一緒にご飯食べる時にもっと話そうよ。そこでアタシが悪霊かどうか判断して」
「悪霊と私が一緒に昼食を取るだって? 私はフィアナと話をしたいだけで君と話す気はまったくない」
「アンタはフィアナのこと好きなわけ?」
「なっ⋯⋯、何を言い出すんだ急に。私は友人としてフィアナと話をしたいだけだ」
「王子なのにはっきりしないなんてちょっとかっこ悪いかも。ちなみにこの身体の中にフィアナはいて、アタシと会話できるからね。アンタの声はフィアナにちゃんと届いてるよ」
「なんだって! それならフィアナを早く出したまえ」
「フィアナの声を届けることはできるけど、身体はアタシが主導権持っちゃってるみたいなんだよね」
「やっぱり悪霊じゃないか。早く追い出してやるぞ」
「まぁまぁ落ち着いてくださいよ。迎えの人も来てるっぽいしまた今度ゆっくりはなしましょ」
そう言って、王子から離れこっちを見ているおじいさんの元へ駆け寄った。
そして、そのまま行きと同じ黒い車へと乗り込んだ。




