第45話「深淵」
午前6時。新宿区。
ボーダーライン・エクスプロレーション。雑居ビルの4階。装備室兼会議室。
5人の男女が、壁に貼られたダンジョンの断面図を囲んでいた。
御堂蓮司が、赤いペンで線を引いた。地下85メートルの位置に、今朝の到達点を記入する。6週間前は78メートルだった線が、少しずつ伸びている。
「今朝の報告から始める」
御堂が全員を見た。
「地下85メートル。エリート兵隊蟻2体を撃破。全員無事。滞在時間は2時間10分。装備の損耗は軽微。——以上が事実だ」
轟木鉄平が背もたれに体重を預けた。大柄な身体がパイプ椅子を軋ませる。
「2体同時に相手にして、余裕があった。先月の初交戦とは別物だ」
「2体同時に余裕が出たのは大きい」
九条凛が頷いた。
「先月、最初のエリートと戦った時は全員が必死だった。轟木の盾が2発目で保たないんじゃないかとか、御堂の木刀が外骨格に弾かれるんじゃないかとか。——今朝はそういう不安がなかった。御堂と轟木が前衛で抑えて、鶴見さんが側面から関節を突いて、私が散弾で触角を潰す。流れが出来上がってる」
「指数が上がった恩恵だ」
鶴見源蔵が缶コーヒーを開けながら言った。
「御堂が26。轟木が25。2人とも25を超えた。25を超えればエリートと正面から組める。——まだ力任せの殴り合いとは行かんが、パーティとしてなら安定して対処できる域に入っている」
氷室透がタブレットに記録しながら口を挟んだ。
「鶴見さんも23に到達しましたし、九条さんも24。私はようやく20ですが——索敵と撤退路確保に専念する分には問題ありません。当初の目標だった『全員20以上』は達成しました」
「一つの節目だな」
御堂が壁の断面図を見た。
「80メートル以深での活動が安定した。次の課題は——90メートルから100メートルだ。そこで、今日は先の話をしたい」
「まず、ギルドの通達について」
氷室がタブレットの画面を読み上げた。
「冒険者ギルド安全管理部門・緊急通達。——地下100メートル地点において、現在の冒険者の戦力では突破不可能な障壁が確認されたため、100メートル以深への単独・少人数での進入を強く制止する」
「門番の具体的な情報は書いてあるか」
「書いてありません。何がいるかは伏せられています。ただ、『ギルド直轄の深層調査チームによる複数回の偵察および実戦評価の結果に基づく』とあります。つまりギルドの1stチーム——指数25以上の5人組が何度も偵察した上で、戦って勝てないと判断した」
鶴見が缶コーヒーを一口飲んだ。
「ギルドの1stチームは、深層で最も練度の高い5人だ。1stだけで歯が立たないなら——通常の5人前後のパーティでは討伐不可能な敵がいるということだ」
「具体的にどの程度の戦力が必要かは不明か」
「通達にはありません。ただ、関連する情報が一つ」
氷室がタブレットを操作した。
「ギルドが1stチーム以外の深層チームの強化を加速しています。2ndチームのリーダー宗形のパーティが70メートル台に進出開始。3rdチームの神保のパーティが60メートル台での訓練を本格化。——さらに、外部から深層経験者のスカウトを進めているという話もあります」
「1stだけでは駄目だから、2ndと3rdを育てて合流させるつもりだ」
轟木が太い腕を組んだ。
「逆に言えば、ギルドは100メートルの壁を諦めてない。複数チームの合同で突破する構想がある」
「ギルドに限らず、100メートルの壁は深層を目指す全員の課題だ」
御堂が壁の断面図を指した。
「ここで一度、我々以外の競合を整理しておきたい。氷室、現時点で80メートル以深で活動している組織と個人をまとめてくれ」
氷室が準備していた資料を広げた。
「まず、組織単位で。ギルド直轄の深層調査チーム。1stチームが最も深く、100メートル到達。2ndが70メートル台。3rdが60メートル台。ギルドの中核戦力です」
「次に、探索企業。我々ボーダーライン以外にも深層に手を伸ばしている企業がいくつかある。渋谷に拠点を置くダイブ・リミテッド、池袋のカシマ・エクスプローラー。どちらも従業員20名超で、中層以深を主戦場にしています。ただし80メートル以深の到達記録は確認できていません。少なくとも表には出ていない」
「それから、企業に属さない強豪パーティ。ダンジョン出現初期から潜り続けている古参のチームが複数います。掲示板で名前が出るのは——鉄火、元消防士の赤星チーム、それから新宿入口を根城にしている『残像』という4人組。鉄火は、リーダーである黒木という人物が行方不明になり、一時活動を休止していたみたいですが、新たに高指数のメンバーを加え、現在も80メートル以深の深層で活動中です」
御堂が口を挟んだ。
「黒木の消息は」
「不明です。限界突破に手を出した可能性がある、と掲示板で囁かれていますが、確認は取れていません」
「——成り果てた冒険者が80メートル以深にいることは、今朝確認した」
御堂が静かに言った。
「氷室が索敵で拾った反応だ。四つ足で、人間の走行速度を超えて移動する個体。エリートの縄張りの中で生き延びている。——元々の指数が20以上あった人間が、特濃に手を出した末路だろう」
沈黙が数秒続いた。
氷室が続けた。
「もぐりの個人や少人数チームも無視できません。ギルドに登録していない非管理入口から潜る冒険者の中に、80メートル以深で活動している者がいます。掲示板の匿名書き込みで、80メートル台のエリートを2人で倒したという報告が2件。真偽は不明ですが、指数25前後の個人が複数いることは間違いないでしょう」
「そして政府の特殊部隊」
鶴見が声を落とした。
「巖道征四郎が率いる鬼庭。9名。品川入口を早朝に使い、一般冒険者の活動時間帯を避けて訓練している。到達深度は——正確には分からんが、我々が地下65メートルで反応を捉えたのが6週間前。今頃は70メートル台から80メートル台に進出しているはずだ」
「鬼庭の目的はダンジョン攻略ではなく、六本木の吸血鬼への作戦準備だ。最深部は目指していない。だが——深層で訓練を積めば、いずれ100メートルにも手が届く。政府が100メートルの壁の向こうに興味を持たない保証はない」
「競合は多い」
御堂が全員を見た。
「だが、現時点で100メートルの壁を実際に突破できる可能性があるのは——ギルドの合同チームか、鬼庭か、我々か。その3つだ。もぐりの個人や小規模チームでは、5人パーティでも歯が立たない相手には勝てない」
轟木が口を開いた。
「100メートルを突破するのに何人いるか。ギルドの1stが5人で無理だったなら——10人か、12人か」
「分からない。何がいるか分からない以上、必要な人数も読めない。だが確実に言えることはある。中核5人だけでは足りない」
「一般隊員の状況を確認しよう」
御堂が議題を切り替えた。
氷室が資料を読み上げた。
「従業員32名のうち、中核5名を除く27名は中層以浅で活動中です。フェロモン指数の平均は17.2。半年前の16.0から1.2ポイント上昇」
「80メートル以深に参加できる候補は」
「現時点では——候補止まりですが。指数18以上が4名。木下の18.4、佐野の18.2、伊東の18.1、渡部の18.0。全員が中層の実戦経験を積んでいます。あと2ポイントから3ポイント上げれば、80メートル帯の支援要員として機能する可能性はあります」
「時間がかかるな」
「月2ポイントのペースで3ヶ月。——そこから80メートルでの実戦に慣れるまでさらに1ヶ月。最短4ヶ月です」
御堂が頷いた。
「急がせるつもりはない。中毒管理を疎かにして失う方が痛い。だが計画的に深度を拡大させていく。木下と佐野の班を60メートル台への定期進出に移行させる。伊東と渡部にも中層の実戦を増やす」
「了解です」
「次。装備の話をしよう」
御堂が4階の壁面に並んだアーティファクトと装備品を見た。
「今朝のエリート戦で改めて確認したが、品質スコア50台の武器では、エリートの外骨格を1撃で断てない。轟木の骨断包丁はスコア52だが、エリートの関節に2撃必要だった。俺の木刀はスコア67で、関節なら1撃で入る。——つまり、80メートル以深で安定して戦うにはスコア65以上の武器が最低でもあと2本は必要だ」
「問題はスコア65以上のアーティファクトの入手経路が限られていることです」
氷室が補足した。
「ギルドの市場に出品される品質スコア65以上の武器は月に数点。価格は1,000万円を超えます。自分たちで80メートル台の宝箱から引くのが現実的ですが、それでも1回の潜行で高品質武器に当たる確率は低い」
「高品質のアーティファクトだけに頼る必要はない」
鶴見が壁のラックを指した。
「あれを使え」
ラックの一角に、黒っぽい素材で形成された防具が並んでいた。アームガード、脛当て、胸部プレート。表面にざらついた光沢がある。
「エリート兵隊蟻の外骨格だ。80メートル以深の個体から剥いだものを、職人に加工してもらっている。アーティファクトほどの効果はないが、素材としての強度はアーティファクトの鉄壁の盾に迫る。しかも軽い」
「外骨格の加工は深層を潜る冒険者の間で広まりつつあります」
氷室が補足した。
「ギルドの調査チームも外骨格製の防具を使っているという情報がある。掲示板でも加工業者の情報が出始めています」
「我々も本格的に取り入れよう。エリートを倒すたびに外骨格を持ち帰り、加工に回す。アーティファクトの武器にエリート外骨格の防具を組み合わせれば、装備の底上げになる。全員分の高品質アーティファクトが揃うまでの繋ぎとしても有効だ」
御堂が頷いた。
「鶴見さんに外骨格加工のルート確保を任せる。——加えて、アーティファクトの棚卸しを」
氷室がタブレットを操作した。
「保有アーティファクトの現状です。瞑想のアメジストは7個。最高がスコア62で、40台が中心。中核5名に5個を配分、予備が2個。守護の護符が17個。内、高品質のものが6個。高品質な護符は中核メンバー以外の上から指数が高い順で渡しています。安らぎの香はスコア40以上を37本。一般隊員用を含めて在庫は安定しています。課題は武器類で、スコア65以上の武器が御堂の鋼鉄の木刀しかない。轟木の骨断包丁はスコア52で、エリート相手にはやや力不足です」
「潜行頻度の確認もしておきたい」
御堂が全員を見た。
「中核チームは現在、週4回で80メートル以深に潜っている。潜行時間は1回あたり2時間が上限。アメジストの効果のピークが2時間で落ち始めるからだ。——これを週3回に落とすことを提案する」
「減らすのか」
「身体への蓄積疲労を考慮する。今朝の戦闘は余裕があったが、中毒の慢性症状が全員に出ている。俺は就寝時の渇望が強くなってきた。鶴見さんも——」
「安らぎの香なしでは眠れんな。指数が23に上がった代償だ」
「週3回に減らし、1回の潜行の質を上げる。エリートとの交戦は必要な時だけに限定して、宝箱の回収と地図の作成を優先する。90メートルから100メートルまでの通路構造を把握することが次の段階の鍵だ」
「最後に、他の探索企業の動向について」
氷室が新しいページを開いた。
「先ほど名前を挙げたダイブ・リミテッドとカシマ・エクスプローラー以外にも、ここ数ヶ月で探索企業の設立が相次いでいます。ダンジョン関連市場が月間1,000億円に迫る規模になり、企業としてアーティファクトの回収に乗り出す動きが加速している。その中で——1社、気になる企業があります」
「シルバーゲート・エクスプロレーション」
鶴見が先に名前を出した。
「俺も気になっていた」
「ええ。シルバーゲートです」
氷室がタブレットに情報を並べた。
「設立は2ヶ月ほど前。法人登記は港区。代表者は松田隆行という人物ですが、経歴を辿ると——元大手商社の中間管理職。ダンジョンの経験はない。冒険者としてのギルド登録もなし。いわゆるスーツ組です」
「スーツ組が探索企業を立てること自体は珍しくないだろう」
轟木が言った。金がある人間がダンジョンに投資するのは、今や日常の風景だ。
「珍しくありません。問題は、シルバーゲートの運営方針です」
氷室が指を立てた。
「まず給与体系。冒険者への月給が50万円。これは業界平均の1.5倍から2倍です。しかも深層——60メートル以深で活動する冒険者には、さらに倍近い上乗せがある。推定で月給80万から100万円。中層以浅の冒険者でも50万、深層なら100万。これだけでかなりの人材を引き寄せている」
「そんなに出して採算が取れるのか」
「取れます。アーティファクトの売却益から考えれば。——ただし、ここが2つ目のポイントです。シルバーゲートに所属する冒険者がダンジョンで見つけたアーティファクトは、原則として会社の所有物になる。冒険者は発見ボーナスを受け取るだけで、額は市場価格の5パーセントから10パーセント程度と聞いています」
「冒険者の側は不満じゃないのか」
「不満があれば辞めるでしょう。ですが——辞めていない。理由は待遇の総合力です。装備は会社から貸与されるので、自前で高額なアーティファクトを揃える必要がない。保険も手厚い。ダンジョン内での負傷は全額補償。死亡見舞金は1,000万円。どうしても欲しいアーティファクトがあれば、会社から買い取る形で個人所有に移すこともできる。フリーの冒険者が自前で装備を揃え、保険に入り、単独で深層に挑むリスクを考えれば——月給100万円プラス装備貸与プラス保険は、悪い条件じゃない。実際、腕のいい冒険者の所属が増え続けていると聞きます」
御堂が壁の地図を見た。
「アーティファクトを会社が吸い上げる。——つまり、シルバーゲートの目的はアーティファクトそのものの収集だ。売却益で稼ぐだけなら、もっと市場に流すはずだが」
「そこが3つ目のポイントです。シルバーゲートがギルドの市場でアーティファクトを売却した記録が——ほとんどない。回収したアーティファクトの大半が社内に留まっています」
鶴見が缶コーヒーを置いた。
「売らずに溜め込んでいる」
「はい。特に護符系と防具系のアーティファクトの回収を重視しているようです。戦闘用の武器よりも、守護の護符や守護のヘルメットといった防護系を優先的に確保している」
「護符を集めてどうする。転売か」
「転売なら市場に出回ります。出回っていないということは、どこかに流している。——もう一つ。シルバーゲートの資本構成を調べましたが、設立時の資本金は5,000万円。国内の個人投資家が表向きの出資者ですが、資金の流れを追うと——海外から入っている形跡があります。具体的にどの国かまでは特定できていません」
「外資か」
「断定はできませんが、可能性は高い。——海外の人間がアーティファクトを収集する目的で立てた企業、というのが現時点での推察です。似たような動きをする企業は他にも複数あります。中国系、韓国系、アメリカ系、それぞれにアーティファクトの海外流出を目的とした企業や個人の動きがある。日本政府もアーティファクト流出規制法案を検討中ですが、まだ成立していない。——その中で、シルバーゲートは最近特に勢いが強い。冒険者の数を急速に増やし、回収量を伸ばしている」
「我々に直接の影響は」
「2つあります。1つ目は人材の競合。月給100万を出されると、腕のいいフリーの冒険者がシルバーゲートに流れる。我々が深層要員をスカウトしようとした時に、候補がいなくなるリスクがある」
「2つ目は——情報です。シルバーゲートの冒険者が深層に進出してくれば、我々の活動と接触する可能性が出てくる。今のところシルバーゲートの活動は中層が中心ですが、冒険者の指数が上がれば自然に深度も上がる」
「監視対象に加えておけ。シルバーゲートの動向は引き続き追う」
御堂が言った。
「ただし、深入りはしない。我々の目的は100メートルの壁の向こうだ。シルバーゲートが何を集めていようと、最深部を目指す我々とは方向が違う。——競合するとすれば、ギルドの合同チームか、鬼庭だ」
会議が一段落し、九条がコーヒーを淹れた。
全員がカップを手にしながら、壁の断面図を見ていた。
「整理しよう」
御堂が立ち上がった。
「当面の方針。80メートル以深での活動を週3回に調整。目的は装備の強化、指数の底上げ、90メートルから100メートルの地図作成の3つ。中核メンバーの目標指数は全員25以上。俺は限界値の28を目指す。100メートルの壁に挑む時、28が必要になるかもしれない」
「一般隊員は、木下と佐野の班を70メートル台に進出させる。伊東、渡部は60メートル台への到達を目標に。——4ヶ月後に、中核5名プラス支援6名の11名体制で100メートルに臨めるようにする」
「装備面。エリートの外骨格加工品で防具を揃え、高品質アーティファクトの入手を並行する。鶴見さんに加工ルートの確保を任せる」
「それと、100メートルの壁を突破するために特濃フェロモン結晶の使用は——」
氷室が確認するように言った。
「使わない」
御堂が即答した。
「今朝、80メートル以深で成り果てた冒険者の気配を感じた。四つ足で這い回る、元人間の何か。——あれが特濃の末路だ。門の向こうに何があるか分かるまで、特濃には手を出さない」
鶴見が窓を見た。早朝の光が差し込み始めている。
「100メートルの壁。ギルドが5人で歯が立たなかった相手。我々がそこに辿り着くのは——最短で3ヶ月から4ヶ月後だ。それまでに壁の向こうの情報を集め、装備を整え、人を育てる」
「時間はある」
御堂が言った。
「門はすぐには閉じない。ダンジョンは拡大を続けている。門は——待っていてくれる」
轟木が缶コーヒーを飲み干した。
「お前がそう言うなら、そうなんだろう」
「根拠はない」
「根拠があったことなんて、一度もないだろう」
轟木が笑った。火傷の痕が引きつれた。
九条が椅子から立った。
「私は限界値25まであと1。——特濃を使わずに、通常の方法で限界値に到達した後のことも考えておかないと」
「九条の限界値到達後は——深層の蟻を倒しても指数が上がらなくなる。戦闘力の天井だ」
「分かってる。だから24のうちに、指数で補えない部分を鍛えておく。技術と判断力。蟻の動きを読む目。——フェロモンが上げてくれないものを、自分で上げる」
御堂が全員を見た。
「門を開けるのは力だけじゃない。——全員、今日は休め。次の潜行は明後日の早朝だ」
5人が装備室を出た。
同日夜。新宿御苑の近くのバー。
御堂が一人でカウンターに座っていた。いつもの席。いつものウイスキー。ほとんど手をつけていない。
壁の世界地図を見ていた。ダンジョンの入口を示す赤いピンは67箇所。六本木の青いピン。そして——今日新しく刺した黄色のピンが1つ。墨田区向島。
世界樹。
ニュースで見た。銀色に光る巨木。伐採しようとしたら超常生物に阻まれた。根がダンジョンの方向に伸びている。周辺からフェロモンに似た物質が検出されている。
ダンジョン、吸血鬼、世界樹。3つの超常が東京に同居している。
御堂はその3つの点を、心の中で線で結んだ。
すべてが繋がっている。根拠はない。だが戦場で磨かれた直感は——御堂にとって最も信頼できる羅針盤だ。
グラスのウイスキーを一口だけ含んだ。
門は、近い。
そんな気がした。




