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大探偵『勝田 麟太郎』拝参!!~サウジアラビア編~

ワイの名前は、勝田(かつだ) 麟太郎(りんたろう)。

日本、いや世界に轟く大探偵...になることを夢見て、大阪の雑居ビルで今日も浮気調査とか迷い犬探しに奔走しとる探偵や。

孤高に生きるストイックな生活を続けて、早十数年。

実家戻っても、親から孫の顔見たいとか言われることがなくなってきた、中年の独身貴族や。


ワイは世話んなった師匠が顧問契約とっとる会社から依頼を受けて、大阪の大富豪が残した遺言に書かれた暗号を解いている旅をしとる。

そう、日本を離れ世界を飛び回ってるそんな探偵...やないんや。

世界を旅なんかしとうないわ。

もう日本離れて2か月近くになった。

まるるーとまりりん(通称、まるまり)、今どんな話の流れになっとんのやろ。

はよ、家帰ってアニメが見たい。

まるまりに会いたいのぅ。


「鱗太郎!」


うっ、ワイを呼ぶ声がする。

声のした方に顔を向けると、20歳くらいの若い女子がこちらを睨んでいた。

彼女は、多田 左衛門尉彩(タダ サエモンノウジョウアヤ)。

今回の依頼主で、件の大富豪「多田 和正」の9女にあたるお嬢様や。

本名で呼ぶと怒られるので、ワイは「サーヤはん」って呼んどる。


「サーヤはんか...、どうかしたんか?」

「どうしたもこうしたもないでしょ!何、回想に浸ってんのよ。さっさと暗号見つけるわよ。」


そう言って、ボディガードの元へ戻るサーヤ。


「暗号ね...。」


どこにあんねん、そんなもん。

何日も探してるがこれと言ったもんは見つかっていない。

ジャングルと違ってここは人工物だらけやからなぁ、そんな簡単には見つからんやろ。

それにここ、どこやと思ってんねん。


メッカやぞ!


メッカ...言わずと知れたイスラム教最大の聖地。

サウジアラビア西部にあり、イスラム教を創始した預言者ムハンマドが生誕した地。

イスラム教徒(ムスリム)以外が入ることは絶対に許されない、ガチの聖地や。

サーヤはんとこの会社が作っとるアプリ「歩数特定アプリ~地球の裏側まで行ってみ~」を使って位置を特定したら、まさかのメッカが含まれとった。

なら、行くしかないとサーヤはんが言い出した。

ワイらは慌てたわ。

ア、アホか、メッカなんてムスリムでもないワイらが入れる訳ないわ。

金を積むとかそういう問題やあらへん。

ボディガードを振り切って勝手に行ったサーヤはんを追いかけたら、見事に検問に引っかかってたわ。

サーヤはんはプリプリ怒っとった。

これぐらい融通利かせろと。

無理言うなや、日本やないんやで。

日本人には分からん感覚かもしれんけど、世界の宗教事情はややこしいんや。

日本人って、一応仏教徒という括りにはなっとるけど、正月は神社に初詣行くし、クリスマスやハロウィンとかまでイベントにする国民やぞ。

宗教観がグチャグチャになっとる。

そやから、いまいち分かりにくいんやろうけど、日本以外の国では宗教ってのはめっちゃ大事にされとるんや。

そんなとこにムスリムでもない、訳も分からん日本人がウロチョロできるわけないやろがい!

ヤバすぎるわ、色んな意味で。

さすがに、多田のおっさんもこんなとこに暗号残さんやろ。

...そもそも入れんしな。

とはいえ、このままやと無駄に時間がかかるだけや、何とか良い方法はないやろか。

そんなことを考えておったら、急にざわつき始めたサーヤはんたち。

な、なんや?なんかあったんか??


「説明しましょう。」


いきなり背後から男の囁き声が聞こえた。


ビクゥッッ!


だ、だれや?あ、あぁ、ボディガードのあんちゃんか。

いきなり背後に立つなや、びっくりするやろうが。


「説明しましょう。」

「お、おぉ、悪いな。何があったんや?」

「実は、先ほど会社から連絡が入りまして、アプリの性能が大幅に上がったとのことでした。そのバージョンアップが今行われていました。」

「バージョンアップ?」


「三崎、そこからは私が説明するわ。」


サーヤはんがこちらに来てそう言いだした。


三崎?ふーん、このあんちゃん、三崎って言うんや。

1個目の指輪のときも説明してくれてたから、勝手に「説明くん」ってあだ名つけてたわ。


「アプリのバージョンアップがちょうど今終わったとこ。凄いわよ、これ。」


ワクワクした笑顔で熱く語るサーヤ。


「半径50メートルの場所まで絞ることができるようになったのよ!さすが、うちのチームだわ。これで勝てる!」


...半径50メートルやて!?

今までが半径1000メートルの誤差やったから、おいおいマジかよ。

性能2000%アップやと、マジかすげーな。

サーヤはんがキャッキャしてるのも、よう分かるわ。

...にしもマジでこのアプリ、何のために存在するんや?

まるでこの暗号を見つけるためだけにあるかのようや。

三年前にロールアウトって聞いたけど、ほんまか?

さすがに出来すぎやん。

ご都合主義ここに極まれりって感じやな。


「見つかったわ!ここよ!」


サーヤはんがアプリを使って暗号の隠し場所を特定したようだ。

どこや?メッカはさすがにないやろうけど。

そこはメッカに入る検問所から西へ1キロほど離れた場所だった。

ジェッダの辺りやな。

良かった、メッカやなくて...当たり前の話なんやけど、多田のおっさんやからなぁ、ちょっと警戒してた。

ほんで、大体この辺やろってとこに着いた。

着いたって言っても、人工物多いから結局人海戦術になる。

まぁ、半径50メートルくらいなら何とかなるやろ。

...なるよね?


今、一瞬怖いことを考えた。

あのモニュメント建ってないよな。

メッカじゃないとは言え、ここがイスラム教総本山みたいな場所であることに変わりはない。

そんなとこに、あんなけったいなモニュメントが建ってたら。

そこに行って暗号解く?

冗談やないで。

誰かに見つかったら、即通報案件や。

ワイは、心の底から祈った。

(頼む、お願いや、こんなとこに、あないなけったいなもん建てんといてくれ)


見つかった。

いや、モニュメントやないで。

真新しい三階建ての建造物があった。

良かった、モニュメントやない。

色々探した結果、後はここしかなかった。

ただ、ちょっと妙なんや。

入口が見つからない。

ぐるっと建物の周りを一周したんやが、それらしきもんがない。

どうやって入るんや、これ?


「エンゲージ!!」


突然、サーヤはんが左手を掲げながら叫び出した。

左手薬指に嵌められた指輪が、妖しく赤く輝き出す。

...って血が出てるやん!?

えっ、また針出てるの?あれ、一回切りやなかったんかい!


「説明しましょう。」


おぅふ。

いや、だからいつの間にワイの背後に立っとんねん。


「説明...。」

「おぉ、頼むわ、三崎くんだっけ?」

「はい。そういえば、自己紹介がまだでしたね。私はサーヤお嬢様に使える執事長の三崎小太郎と申します。」

執事長?ただのボディガードやなかったんか。

「多田家に伝わる血染めの指輪は、指輪を嵌めた者の大いなる言葉に反応して、針が飛び出しその指を真っ赤に染めます。」

「おぉ、何か前にそう言っとったな。」

「そして、大いなる言葉を叫ぶ度に針が飛び出し、指を血に染めるのです。」

叫ぶ度に針?こわっ、何でそんな仕様に。

「指輪が血の赤で染まると、指輪から認証データが表示され、そのデータが一致することで閉ざされた扉が開くのです。」

認証?扉?えっ、なんやそれ??


ゴゴゴゴゴ


建物が振動し始め、壁が左右に別れた。

マ、マジか...、すげーな、めっちゃ最新技術やん。

さすが金持ちのやることはレベルが違う。

素直に感心していたワイ。

するとサーヤはんが叫ぶ。


「鱗太郎、早く来なさい!扉が閉まるわよ!」

「へっ?」

サーヤはんの声がする方を見ると、扉が閉まろうとしていた。

慌てて駆け寄るワイ。

何とか滑り込めた。


「な、なんで、閉まるんや?」

「当たり前でしょ。セキュリティ的に開けっぱなしなんか、あるわけないじゃない。」


セキュリティ?そうか、ここ日本やなかったな。

それにしても、暗いな、ここ。

電気...なんかあるわけないな。

アマゾンには太陽光パネルがあったけど、さすがにこんなとこには...何かコードみたいなもんが見える。

いやいや、見てない、ワイは何も見てない。


「あったわ、これよ!」

サーヤが大声を上げている。


見つかったか、暗号。

ほな、ようやくワイの出番やっちゅうわけや。

ちょいとここまで全然活躍できんかったからな。

ずっとツッコミばっかしとったし。

そろそろ、ワイの力を見せんと。


そう、この天下の大探偵『勝田 麟太郎』の力をな!


そう嘯きサーヤの元へ行く。

「お、いたいた、サーヤはん、暗号みつか...った...ん??」


そいつは、石でできたモニュメントやった。

高さ5メートルくらいで幅は3メートルくらいの。


...ってジャングルにあったのと同じやんけ!

油断してた、まさかこんな所で建てるなんて思ってなかった。

そのままで建てたらさすがにヤバいから、モニュメントが隠せる大きさの建造物の中に入れ込んだっちゅうことか、アホか。


「鱗太郎!」


サーヤの叫ぶ声がする。


「はいはい、大探偵さんのお通りですよっと。」

「で、なんでっしゃろ?どんな暗号でっか?」

「意味が分からないの。日本語だってのはもちろん分かるわ。でもこんなカタカナが多い表現知らない...。」


それは石板だった。

日本語で文章が書かれてある。

えーっと、何々?


下に書かれている日本語から導かれる言葉を唱えよ。


『アプリで知り合ったチャンネーとギロッポンでブーアソするソクヤ。

チャンネー来ねーから、ザギンでシャーノ、ナウ。』


...ズージャ語かい。

マニアックすぎんねん、おっさん。

サーヤはんたちが分からんと言うのもよう分かるわ。

確かに、一時期流行ったけどな、ほんま一時的なもんやったぞ。

しかも、東京でしか流行っとらんやろ、これ。

大阪でこんなもん知っとるっておっさん、やっぱ、只者やないわ、悪い意味で。

まぁ、ワイは知っとるけどな、今まで色々あったし。


「はぁ...まったく...。」


ため息をつくワイ。


「で、どうなの?解ける?」


心配そうにこちらの顔を伺うサーヤ。


「ふっ、全く問題あらへん。こんな暗号、この大探偵『勝田 麟太郎』に解けないわけないやろがい!」

そう宣言し、翻訳した。


『アプリで知り合ったチャンネーとギロッポンでブーアソするソクヤ。

チャンネー来ねーから、ザギンでシャーノ、ナウ。』

ってのは、要するに。

『マッチングアプリで知り合った、若い女の子と六本木で遊ぶ約束をしたんだけど、待ち合わせ時間になっても来ないから仕方なく、銀座に行って一人で寂しく酒飲んでるわ、今』ってこと。


「...何それ?」

「いや、何それって言われても、そういう意味なんやが。」

「...あぁ、そうか。思い出したわ。」

「何か分かったんか?」

「お父様が仕事で東京に行くことがあったんだけど、東京から帰ってきたらいつも機嫌が悪かったの。」

「よく『東京は肌に合わん!』とか言ってたわ。」

そう話すサーヤ。


肌に合わんのやなくて、相手にされてないだけやん。

よう言えるな、そんなもん。

しかも、娘の前で言うとか。


カチッ


何か音がした。


「へっ?」


扉が開いた。

えーっと、何で?

何がキーワードやったん??

ま、まさか『東京は肌に合わん!』とか?

いやいや、まさかそんなくだらん話...やりそうやな。


「三崎!準備を。」


サーヤの声がする。

うん?何や?準備?

ボディガードたちが準備に追われる。


「サーヤはん、指輪は見つかったんか?」


そう近づいたワイに向かってサーヤがこう答えた。


「まだよ、次の指示が書いてあったわ。その準備を今してるとこ。」


次の指示?暗号やないんか?


「どんな内容や、ちょっと見せてくれ。」


そう言ってサーヤが見ている文字を覗き込んで読んだ。


『わたしをたたえよ。』と。


たたえる?たたえるって何をするんや?

三崎たちがサーヤの元に戻ってきた。

準備が整ったようや。


「お嬢様、準備が整いました。いかが致しましょう。一度練習なさいますか?」

「そうね、久しぶりだし。それに鱗太郎もいるしね。やっとこうかしら。」


え...ワイ?


「ちょ、ちょっと待ってください。ワイも何かするんでっか?たたえるって言われても意味が分からんのですが?」

「そんな難しいことじゃないわ。あんた、マイムマイムって知ってる?」

「マイムマイムって、あのフォークダンスでお馴染みのやつでっか?」

「そう、そのマイムマイムよ。今から踊るわよ。」

「へっ?」


え、どういうことや?マイムマイムを踊る?

ここで、なんで?なんのために??


聞き覚えのある音楽が流れだした。

おいおい、マジか、マジで踊るんかい。


「ちょ、ちょっと待てって。そもそも何でマイムマイムをなんで?わたしをたたえるとかなんとか書いてません?」

「そうよ、書いてあるわよ。だから踊るの。」


いや、だからそれが意味分かんねーんだよ。


「お父様はね、マイムマイムが好きだったの。」


突然、サーヤが語り始めた。


「お父様の生誕祭には、家族はもちろん財界や芸能界の著名人が集まったわ。大体10000人はいたわね。そして、会の終わりには、必ずマイムマイムを踊ったの。」


10000人規模の生誕祭?さすが、多田財閥。桁が違うな。


「まずは、お父様を囲んで、私たち子どもたちが踊るの。兄弟姉妹25人全員でね。私たちに囲まれてお父様は幸せそうに微笑んで。最高のダンスよ。」


なんか、えらく牧歌的というか。金持ちの業突く張りで若い女好きの好色親父と思っていたけど、そんな一面もあるんか...。


「そして、私たちのマイムマイムが終わったら、その場の全員で踊り狂うのよ。そう、10000人で一斉にお父様を囲いながら踊る...夜が明けるまでずーっとね。その間、お父様はずっとニコニコしてたわ。」


こわっ。牧歌的やないやん。滅茶苦茶怖いわ。夜が明けるまでマイムマイムを踊り狂うとか。

しかも自分の周りで踊っている姿を、夜明けまで徹夜でずーっと笑顔で眺めるとか、どういう神経しとんねん。


「だから、マイムマイムは私たち多田家の者にとっては、ただのフォークダンスではないの。お父様を称える儀式的ダンスなのよ!」


...はぁ、分かった、よう分かった。

やっぱ、こいつら頭のネジが何本か吹っ飛んどるわ。

金持ちってみんなこんな感じか?

これやったら、ワイ金持ちなんてなりとうないわ。

生活に困らん程度お金稼げて、大好きなアニメを見ることができる、そんな生活が出来たらワイは、それでええわ。


「鱗太郎、そろそろいい?踊るわよ。」

「ちょ、まだ心の準備が...。」

「マイムマイムくらい踊るのに、心の準備なんていらないでしょ。三崎、少し音が小さいわね。もっと大きくして。そうよ、もっと盛大に。お父様を称えるのよ。」


ボリュームが大きくなり、建物に響き渡る。

...って、アホかぁっっ!

ここ、どこか忘れたんか!

日本やないんやぞ、イスラム教の総本山!

想像してみ!


けったいなモニュメントを囲んで、大音量でマイムマイム踊ってる集団。

怪しさ満点のカルト教団の出来上がりや!


こんな大音量流して外に漏れたらどうすんねん。

ガチで即通報案件や、頭がトリップしとるサーヤはんはまだしも、ボディガードたちまで話合わせたらあかんやろがい!

ワイは、すぐ音量を下げるよう指示し、サーヤはんを怒鳴りつけた。


「アホか!こんなとこ見つかって通報されたら、マジモンの国際問題になるわ。そうなったら遺産相続とか後継者とか言っとられんわ。ええ加減にせぃ!」


グッと言葉が詰まるサーヤ。


「踊るんはええよ、しゃあねえわ。やけど、ボリュームは下げろ。分かったな!」

「分かったわよ、そんなに怒鳴らなくてもいいじゃない...。」


ようやく、静かになった。

そして、音楽が流れ始める。

モニュメントの周りを輪になって、ワイらは踊った。


...................。


...はっ!

わ、ワイは何やってた...。

こ、ここはどこや?

なぜか体がバキバキになっとる。

ワイ、今まで何やっとったっけ。

アレ?どこからか陽気な音楽が聞こえて...って思い出したわ。

そうや、マイムマイム!

踊ってたわ、ワイ。

多田のおっさんを称えるとか何とか言って。

で、最終的に体の限界が来て倒れたんやったわ。

倒れる前に、サーヤはんから「この程度で倒れるとか、情けないわね」って言う言葉が聞こえてきたことを思い出した。

アホ抜かせ!こっちは普通のおっさんやぞ。

お前らと違って、夜明けまでマイムマイムなんか踊ったことなんてないねん。

っていうか、そんな奴お前ら以外見たことねーよ。

あれ?見たことないけど、ワイが知らんだけで世の中の連中は徹夜でマイムマイム踊るのが常識だったりするんかな...。

ま、まぁ、そんなことはどうでもええわ。

それより、結果はどうなったんや?

まだ、音楽流れとるみたいやけど、行ってみるか。


...嘘やん。

まだ踊ってるやん。

えっと、何時間くらい踊っとるんや、こいつら。

でもって、何でこんなに楽しそうなんや。

どいつもこいつも笑いながら楽しく踊っとる。

ゾーンにでも入っとんのか?

くっ、いつまで踊るんや、こいつら。

っていうか、いつまで踊らなあかんねん、これ?


ゴゴゴゴゴゴ


おっ、何か扉が開くような音がしたぞ。

やっとか、やっと終わるんやな。

扉が開き、中から宝石箱が出てきた。

また、宝石箱や。

どうせ、指輪が入っとんのやろ。

でもって、サーヤはんがそれを身に着けて叫ぶんやろな。


「エンゲージ!!」


サーヤの叫び声が聞こえる。


おうおう、赤く染まっとるなぁ、指。

針が出るんやっけ...あれ、いつもより量多くないか?


「説明しましょう。」


おぅふ。


お前、マジでどっから湧いてくるんだよ。

さっきまでいなかったよな、瞬間移動か?


「...説明してくれ。」

「はい。今サーヤお嬢様が見つけ指に嵌めた指輪は、人差し指用の指輪です。薬指用と同様、大いなる言葉により針が出て指を傷つけます。血が多く出ているのは気のせいではありません。2つの指輪から針が出ているので当然です。」


えー...っと。確か、指輪は合計5個あるんだよな。

サーヤはんも大変やなぁ。

マジで呪いの指輪にしか見えなくなってきたわ。

ま、ええわ。

とにかく、2個めの指輪が見つかったということやし、さっさと次いこ、次。

どうせ、その箱の中に次の行き先書いた紙でも入ってるんやろ?

ちゃっちゃと行って終わらせようぜ。


『مطار الملك عبدالعزيز الدولي』(King Abdulaziz International Airport)


はぁ、やっと空港か。

長かったなぁ、今回の旅も。

で、次はどこ行くんや?

うん?疲れたやろうから寝てろって?

...そのパターンでここに連れてこられたからなぁ、ちょっと嫌な感じ。

いや、今回はそんなややこしい話やない?

ま、まぁ、ええか、素直に寝とくか。


...................。


ふぅ、よう寝たわ。

起きたらまだ飛行機の中。

着陸アナウンスも流れていない。

窓の外は真っ暗で、何も見えない。

今、どこ飛んどるんや?

まぁ、ええか、着いたら分かるやろ。

暇やな、もうちょい寝るか。


コペンハーゲンに着いた。

次は、デンマークか。

って思ってたら、乗り換え便だった。

直通がないとのこと。

直通がない?

何か嫌な予感がするな。

まぁ、いい、どこでも行ったるわい。


『MITTARFIK KANGERLUSSUAQ』


えーっと、どこやここ?

グリーンランド?

なんでこないなとこ。

暗号ね。

そりゃそうか。

グリーンランドか。正直な話、馴染みがないな。

どういう場所なんや?

ややこしい場所やなかったら、もうなんでもええけどな。


まぁ、どこであろうが。

この、大探偵『勝田 麟太郎』に不可能はない。

大船に乗ったつもりで任せんかい。


はよ、終わらせて帰らなあかん。

もう冗談抜きで浦島太郎状態や。

ネットも繋がらんし。

はぁ...これから3個目探すんか。

後、何か月かかるんやろか、これ。


『まるまり』


早く会いたいわ、ワイを癒してくれ。


-----


彼が再び日本の地を踏めることになるのは一体いつの日だろうか。

まだ、当分帰れない。

悲しいことに。

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