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第52話:外に出た瞬間、加速した

朝、教室に入る前の廊下で、恒一は足を止めた。


聞き慣れない声。


「それ、どこでやった?」


「隣のクラスのやつが教えてくれた」


「マジで?」


(……廊下まで来たか)


小さく息を吐く。


もう教室の中だけではない。


完全に“外”に出ている。


教室に入る。


いつもより早い段階で声がかかる。


「おい、恒一」


振り向く。


別のクラスのやつ。


昨日、話しかけてきたやつだ。


「これさ」


紙を差し出してくる。


見る。


基準。


だが、少し違う。


自分が書いたものをベースにしているが、手が入っている。


「……どこで作った」


「うちのクラス」


「誰が?」


「何人かで」


(……いいな)


そう思う。


一人ではない。


複数で回している。


しかも――


「これ、悪くない」


そう言う。


「マジ?」


「こことここは残せる」


二箇所だけ指す。


「他は削れ」


それだけ。


相手はすぐに頷く。


「了解」


(……早いな)


判断が通る。


説明がいらない。


基準が共有されているからだ。


昼休み。


窓際。


いつもよりさらに人が多い。


だが、今日は違う。


「俺、別のクラスでやってる」


「俺も」


「うちも始めた」


そんな声が混ざる。


(……完全に拡散したな)


そう思う。


しかも、ただ広がっているだけではない。


“再現されている”。


それが大きい。


一人が言う。


「これさ、先生にも見せた」


「なんて?」


「なんでこんなまとまってるんだって」


少し笑う。


(……来るよな)


大人の目。


そこに引っかかり始めている。


別の子が続ける。


「なんか、参考にするって言ってた」


(……使われるか)


そう思う。


生徒だけではない。


教師側にも入り始めている。


「どうする?」


誰かが聞く。


何を、とは言わない。


だが、意味はわかる。


広げるか。

止めるか。


「そのままでいい」


短く答える。


「止めない」


それだけ。


(……止める理由がない)


むしろ、今が一番伸びる。


流れを切るほうがリスクだ。


午後の授業。


恒一はノートを取りながら、別のことを考えていた。


(……規模、変わったな)


教室単位ではない。


学年単位に近い。


しかも、横に広がっている。


クラスA→B→Cではない。


A→B、A→C、B→D。


ネットワークになっている。


(……これ、面白いな)


そう思う。


前世で見てきたものと同じ。


だが、規模が違うだけだ。


帰り道。


校門を出たところで、また声をかけられる。


今度は知らない顔。


「なあ」


少し年上。


「これ、お前のやつ?」


紙を見せてくる。


見る。


完全に別バージョン。


だが、構造は同じ。


「そう」


短く答える。


相手は少し笑う。


「これ、塾でも回ってるぞ」


(……塾か)


学校の外。


「誰が?」


「友達が持ってきた」


「……そうか」


それだけ。


だが、頭の中では一気に繋がる。


学校→個人→塾。


外部ネットワーク。


(……速いな)


想定より速い。


だが、問題はない。


むしろいい。


「これさ」


相手が続ける。


「なんでこんなに使えるの?」


同じ質問。


だが、今度は少し違う。


(……外の目だな)


「削ってるから」


そう答える。


「え?」


「余計なものを全部削ってる」


それだけ。


相手は少し黙る。


「……それだけ?」


「それだけ」


少し考えてから、笑う。


「それができねえんだよな」


(……同じ反応か)


そう思う。


内でも外でも同じ。


差はそこにある。


家に帰る。


机に向かう。


ノートを開く。


今日は、書く前に整理する。


・教室内で回る

・クラスを超える

・教師に届く

・外に出る


「……一気に来たな」


小さく呟く。


ここまで来ると、もう小さい話ではない。


完全に“外部”に影響を与えている。


だが――


「……まだ小さいな」


そう続ける。


前世の感覚で見れば、まだ小さい。


だが、構造は同じ。


なら、どこまででも行ける。


原稿用紙を出す。


今日のテーマは決まっている。


“外に出る”


内で回るものが、外に出たとき。


何が起きるか。


書き始める。


広がる。

再現される。

さらに広がる。


その流れ。


最後に一文。


「外に出ると加速する」


そこに絞る。


書き終える。


「……これは強いな」


そう思う。


これまでより、スケールが一段上がっている。


封筒に入れる。


今回は、少しだけ違う感覚がある。


(……もう見逃されないな)


そう確信する。


外に出る。


ポストの前。


迷いはない。


投函する。


音がする。


家に戻る。


布団に入る。


目を閉じる。


今日の流れが浮かぶ。


教室。

廊下。

別クラス。

塾。


すべてが繋がっている。


「……外か」


小さく呟く。


内で完成したものは、外で試される。


そして――


通用すれば、止まらない。


「……次は」


さらに一歩。


広がりではない。


“影響”か。


どこまで変えられるか。


その段階に、確実に入っていた。

私の2作目

「神様転生したはずが赤ん坊の自分に転生していた件」

は修正のために一時的に更新を停止しました

代わりとして新作を投稿します

「遊びで山をいじったら、日本が変わり始めた。」

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