表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/183

第53話:周りが変わり始めた

朝のホームルーム。


担任が教壇に立ち、いつものように出席を取る。


だが、今日は少しだけ様子が違った。


「昨日の作文、全体的に良かったな」


その一言で、教室がざわつく。


「特に――」


名前がいくつか挙がる。


いつもは呼ばれないメンバー。


「構成がちゃんとしてる」


「無駄が少ない」


「読みやすい」


その評価が、明確に変わっている。


(……来たな)


恒一はノートを開きながら思う。


これはただの偶然じゃない。


明確に、変化が出ている。


「どうした急に」


後ろの席のやつが小声で言う。


「知らね」


別のやつが答える。


だが、その顔はわかっている。


原因がどこにあるか。


昼休み。


窓際に行く前に、別の場所で止まる。


教室の中央。


何人かが集まっている。


「ここ、削ったら一発で通った」


「マジでそれ」


「前は何回も直されてたのに」


会話の内容が変わっている。


やり方ではない。


“結果の共有”。


(……いい流れだ)


そう思う。


個人の話ではなくなっている。


全体の話になっている。


窓際に移動する。


すでに人がいる。


だが、今日は違う。


「これ、もう見てもらった」


「俺も」


「俺も終わった」


回転が速い。


集まる時間が短い。


つまり――


“ここで詰まっていない”。


(……完成したな)


そう感じる。


一人が紙を持ってくる。


「これ、見てくれ」


見る。


短い。

無駄がない。

迷いがない。


「いい」


即答。


「マジで?」


「そのまま出せ」


それで終わり。


数秒。


別のやつ。


「これも」


見る。


少しだけ長い。


「ここ削れ」


一箇所だけ。


「だけ?」


「それでいい」


数秒後。


「……あ、通るわこれ」


(……速い)


そう思う。


処理が速い。


判断が速い。


修正が最小。


すべてが噛み合っている。


そのとき、少し離れたところで声が上がる。


「おい、これ見てみろ」


別のグループ。


呼ばれているのは、恒一ではない。


クラスの別のやつ。


「どれ?」


「ここ迷った」


「それ、短くしろ」


「これで?」


「いい」


(……回ってるな)


完全に。


自分がいなくても成立している。


それが一番大きい。


午後。


授業中。


先生が一枚の紙を持っている。


「これ、ちょっと見てくれ」


配られる。


誰かの作文。


だが、いつもと違う。


「これ、いい例だ」


・最初に結論

・無駄がない

・最後にまとめている


その説明を聞きながら、教室の何人かが目を合わせる。


(……使われたな)


そう思う。


個人の提出物。


それが“例”になる。


つまり――


基準になり始めている。


授業が終わる。


ざわつきが広がる。


「さっきのやつ、完全に同じだろ」


「だよな」


「もうこれでいいじゃん」


その言葉。


半分正解で、半分違う。


(……固定されるな)


そう思う。


ここで止まると、ただのテンプレになる。


それは弱い。


放課後。


帰り道。


同じクラスのやつが隣に並ぶ。


「なあ」


「ん?」


「これさ、もう完成じゃね?」


(……来たな)


その問い。


一番危ないやつだ。


「違う」


即答する。


「え?」


「完成したら止まる」


それだけ。


相手は少し黙る。


「……どういうこと?」


「ズレるから直す。直すから強くなる」


シンプルに言う。


「止めたら、そこで終わる」


それだけ。


相手はゆっくり頷く。


「……なるほどな」


完全には理解していない。


だが、引っかかっている。


それでいい。


家に帰る。


机に向かう。


ノートを開く。


今日は迷いがない。


書くことがはっきりしている。


・評価が変わる

・結果が揃う

・基準になる


「……周りが変わったな」


小さく呟く。


自分が変わったのではない。


周りが変わった。


それが一番大きい。


原稿用紙を出す。


今日のテーマは決まっている。


“周りが変わる”


やり方を変えると、何が起きるか。


書き始める。


一人が変わる。

二人が変わる。

全体が変わる。


その流れ。


最後に一文。


「変わるのは自分だけじゃない」


そこに絞る。


書き終える。


「……これは効くな」


そう思う。


これまでより、さらにわかりやすい。


結果が見えている。


封筒に入れる。


今回は確信がある。


(……これは拾われるな)


そう思う。


外に出る。


ポストの前。


迷いはない。


投函する。


音がする。


家に戻る。


布団に入る。


目を閉じる。


今日の光景が浮かぶ。


褒められる。

通る。

真似される。

広がる。


すべてが繋がっている。


「……影響か」


小さく呟く。


やり方が変わると、結果が変わる。


結果が変わると、評価が変わる。


評価が変わると――


流れが変わる。


「……次は」


さらに一歩。


広がりでも、速度でもない。


“価値”か。


それがどこまで通用するか。


その段階に、確実に入っていた。

私の2作目

「神様転生したはずが赤ん坊の自分に転生していた件」

は修正のために一時的に更新を停止しました

代わりとして新作を投稿します

「遊びで山をいじったら、日本が変わり始めた。」

感想や評価をお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ