表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/177

うん、眼鏡は外さないほうがいいですね。

こんにちは、シストです。


 本日、うちのメンバーの一人が動きます。


 ターゲットは通称レディーワーストという殺人犯。


 女性をとことん利用し、侮慢、金、金、暴力、金、金、価値が無くなった場合や、気分しだいで殺害します。


 こちらで調べたところ、レディーワーストの犯行と思われる被害者は数十人。

 その中には次の日、結婚式を控えた女性もいた。


 こいつは僕達に関わってきた男の仲間。


 まだ他にも仲間がいるかもしれない。


 色々聞く必要がある。


 なので、こちらから一人、刺客を送り出す。


 担うのは。


「シストさん、奏ちゃん一人で大丈夫っすかね。やっぱり私も一緒に・・・・・・」


 心配そうに僕へ進言するのは、同じ殺人鬼連合の紅 紅子。


 彼女達は歳も近く仲がいい、だからだろう。


 しかし、紅子が心配する必要はない。


「大丈夫だよ、紅子。たしかに奏は普段は気弱でとても心優しい。この殺人鬼連合の中でもっとも慈悲深く、およそ人殺しには無縁の存在」


 でも、それはあくまで普段の奏。


「彼女は限定的にとてつもない狂気を見せる。それはこの狂人だらけの殺人鬼連合の中において1、2を争うほど」


 奏の限定的な狂気。


 そう、それは相手が男であった場合。



 某日、アダムキラー奏、行動開始。


 ターゲット捕捉。


 ターゲット接触。


 時刻は午前一時、場所はレディーワーストが最近よく通うバー。


 奴はここで獲物を物色していた。


 しかし、今日はめぼしい者が見つからない。


 時間が過ぎるにつれてどんどん人も少なくなる。


 この日は諦めて飲むだけにしようかと思っていた。


 どれくらい飲んだだろうか。


 レディーワーストがふと周囲を見ると、客がまるでいなくなっていた。


 閉店時間も近づいたとはいえラストまでいる客は多い。


 今は客どころかバーテンすら姿を消していて。


 なにかがおかしい。


 そう思ったのも束の間。


 店内には一人だけ残っていた。


 その者の違和感。


 深夜の酒場に関わらず立っていたのはブレザー姿の少女。


 抱いた違和感はそのためだけではない。


 少女から感じるは自分と同じもの。


 だが、それはとても細く弱く小さい。


「お嬢ちゃん、こんな時間に何してるんだい? ここはまだ君には・・・・・・」


 見たところ女子高生。


レディーワーストは考える。


 これはこれで金になる。


 女は薄暗い店内でも分かるほどには端正な顔立ち。


 こういう地味な感じを好む顧客は案外いる。


なら、こいつにしよう。


 これはいい商品になる。



  ◇


 こんばんは、奏です。


 殺人鬼連合所属、第四殺(紅子調べ)らしいです。


 今、私は本来なら足を踏み入れる事のない場所にいます。


 ここは盛り場の一角。


 ある時間から貸し切りにしました。


 現在、この場にいるのは、私・・・・・・。


 そして。


 レディーワースト。


 私達の標的です。


「お嬢ちゃん、こんな時間になにしてるんだい? ここはまだ君には・・・・・・」


 声がかかる。


 耳が腐り墜ちる。


 視線が上から下へ。


 嫌悪、嫌悪、嫌悪、嫌悪、吐き気、嫌悪、嫌悪、こみ上げる、嫌悪。


 嫌だ、嫌だ、嫌、いやいややいやああいあやああああああ。


殺そう、そうだ、早く。


 汚い、気持ち悪い、耳障り、鼓動が変な動きを始める。


 この空間に、男と二人きり。


 地獄、全身が焼かれるように、痛い、熱い、業火、溶ける、ああぁああああぁぁああああ。


 私が死ぬ、殺さなきゃ、私はこい、つに無茶苦茶、にされる。


 されてしまう。衣服をはぎ取られ、罵声を浴びせられながら、こいつは私を犯すのだ。


 獣のように蹂躙される、この肌を、この髪を、この耳、口。


 アアアア、喉に食い込むほど強く。


 殺す、逃げる、殺す、この痛み、堪えきれない、この苦しみが。


 呪いの文字が私の体、螺旋を描きながら、絡みついてくる、上から、下、腕、太股に、つま先が、頭を輪の、縄、きつく、縛る、痛い、苦しい。


ナイフを取り出す。


「ん? なんだ、お嬢ちゃん、どういうつもりだ?」


 聞こえない。なにか口が動いたような、でも直視できないから。


 エコーのかかったように、ノイズが、変換するなにもかも。


 微睡む世界。


 男は、テーブルにあったビンを叩き付け武器にした。


 相手も臨戦態勢。


 でも、私はまだ小さい。


 出さなきゃ。


 本当の私を。


 じゃなきゃ、飲まれる、このまま、どこまでも。


 男の狂気が勝る。


 私は羊。


 相手はオオカミ。


 気持ち悪い、怖いの、吐き気を抑えて。


 私は眼鏡に手をかけ。


 それを地面に落とした。


 それがスイッチ。


 私、殺人鬼連合、アダムキラー奏が顔を出す。



          ◇


「奏は、極度の男性恐怖症。いつも怯えて萎縮してる」


「なら、やっぱり、今回のは人選ミスなんじゃないんすか? 奏ちゃん、相手が男だと我を失って滅多刺しにするだけっすよ。でも、今回は相手もそれなりに修羅場潜ってますから、そう簡単には・・・・・・」


「はは、大丈夫だよ。奏はうちの正式なメンバー。そんじゃそこらの殺人鬼に遅れを取ることはない。奏は視力がとても悪い。眼鏡をとればほとんど見えないんじゃないかな? でも、それで解放されるんだ」   


「解放すっか?」


「そう、それによりアダムキラーの狂気が爆発する」



        ◇


 世界が広がる。


 黒から青に、青から灰色に。


「あ、あれ、お、お嬢ちゃん、あれ? なんだ、お前・・・・・・」


 靄だけ。


 煙みたいなのがね。


 とても嫌なものの集合体。


 感じる視線が解けた。


 なにかいるの。前に、私の前にね。


 とても嫌なもの。


 振り払わないと。


 でも、近づくのは嫌。


「ふぎゃあああああああああああああああああああああああ」


 ああ、声かな?


 叫ぶ声。


 私のナイフが靄に向かって飛んだ。


「目がああ、ふぁぁ、なんだ、それ、ス、スペツナズナ、イフ?」


 そう、これ刀身が飛ぶの。


 強力なバネで刃を射出する事ができる。


 だから、近づかなくていい。


 この場で殺せる。


「ナイフまだありますよ? 後、何本いりますか?」


 ブレザーを開く、中から何本も同じナイフが姿を見せる。


 殺すなって言ってた。


 だから。


 どうしようか?





 こんにちは、シストです。


 奏がレディーワーストを仕留めました。


 といっても、まだ生きてますが。


 むしろここからが本番です。


「今から、色々聞くからよぉー、早めに喋れな?」


「その方が、いいよー、じゃなきゃ死んじゃうよぉー」


 狭い小部屋、連れてこられたレディーワースト。


「なん、なんでも、話すっ! あ、話ますからぁああああああああ」


 木製のチェアに座らされた男。


 拘束は縄などではない。


 腕、足に直接、釘を打ち付けて固定していた。


「じゃあ、まず、仲間」


「早く、はい、後2秒」


 中にはタシイ、目黒さん、紅子、そして奏。


「あひゃああああああああああああああああああああ」


 目黒さんの千枚通しが頬を貫く。


「2秒って言ってるじゃ~ん」


「はい、次は1秒ね」


「はっ、ひゃいっ! ええええええっと」


 はい、1。


「ふがやあああああああああああああああ」


 タシイのバールが男の甲を潰す。


「な、か、ま。早く、急いでよ」


「ひゃい、か、ま、どうま!」


「あぁ? カマドウマ?」


「ひゃ、がひゃい! 鎌道魔っていう、ひゃい、殺人鬼、れすっ!」


「目黒ちゃん知ってる~?」


「いやー、聞いた事もない」


 僕もないなぁ。


「ま、いいや。後は?」


「あ、あ、あと、は知りま、せんっ! ほ、本当で、れすっ!」


 こいつもか。


 仲間といいながら誰も全てを把握していない。


 やっぱりなにか引っかかるなぁ。


 他に情報を得たのは靴狩りか。


 レアなスニーカーを片方、それも足首ごと奪っていく凶悪犯。


 被害者には、次のオリンピックに選出された選手もいた事で注目を集めたね。


 ん、そういえば、この前、切り裂きが僕からレアなスニーカーを借りていった。


「・・・・・・・・・・・・」


「おネニー様、多分、こいつからもう情報でないよ。どうする?」


「ん? あぁ、そうだね。じゃあ、もういらないよ」


「・・・・・・は~い」


 開いてた小部屋のドアが閉まる。


「こっからは男子禁制~」


「タシイさん、目黒さん、私もやっていいっすか!?」


「いいけど、最後は奏に残せよー」


「そうそう、仕事は最後までだよ」


 いままで散々、女性を持て遊んできたんだ。


 こんな最後もいいだろう。


 今更だけど。


 うちの女性陣は。


 少々怖い、いや、狂いすぎてる。   


まだまだ死ねないから色々諦めた方がいいね。

 一日遅れの葵の誕生日&命日記念回、近いうち更新できたらしたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ