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ういうい、昔に戻るの、だ。(殺人鬼決定戦其の六)

 今回全然話進んでません。

ポイントは稼いだ。


 後は出口まで進むだけ。


 

 全員敵。


 扉を開けて。


 そこにいるのは全て殺害対象。


「おい、お前ら、こっからは殺すだけ、だ」


 殺すというキーワードに、二人は僅かに反応した。


 こいつら、しょせん異常者。


 種は床を。


 叶夜は壁を。


 無表情で眺めているが。


「うくく、お前らそういうの好きだろう?」


 疼いているのが手に取るようにわかる。


 だって。


 私も。


「ど~しよっかなー、円ちゃんがそこまでいうなら考えてもいいけどー」


「たしかに面倒だよね。だけど、うん、まぁ・・・・・・」


 それは赤い宝石。


 空間を凝縮したように。


 ただただ、綺麗な赤い結晶。



 ゾディファミの中には手練れもいる。


 他の参加者もここまで生き残っているのなら油断できない。


 ミドガルドは言うまでもない。あそこは一人一人がやばい。不意打ちじゃなければ苦戦は必至。


 となれば。


 こっちもここらでスイッチを入れる必要がある。


〈円ちゃん、見せてあげなよぉ。教えてあげて、この私、ドールコレクターの後継者がどれほどのモノかを〉


 ただただ過去へと。


 深層まで落ちていく。

 

 ただただ、殺し、ただただ無邪気だった、あの頃に。


「お前ら、いくの、だ」


 扉に手をかける。


「・・・・・・ふ~ん」


「・・・・・・なるほどね」


 二人は一言呟いて。


 素直に私の後をついてきた。



 扉は開けられる。


 中には三人。


 もう誰だろうが、どうでもいい。


 すぐに・・・・・・。


「ひぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ」


 死体に変わる。


 

 疎い奴は感じない。


 あまりの狂気は、半端な者の視界を覆い隠す。


「う、嘘だろ、こいつは、あのミルキーウエイの撲殺魔で、少なくとも20人は殺してる凶悪殺人鬼だぞ・・・・・・」


 耳に入るのは、消えゆく息づかいと。


 刃物が肉に差し込まれる音だけ。


〈うふふ、円ちゃんは私達の国で一番人を殺してるレコード持ちのレベルブレイカーだよぉ。この子の前ではどんな殺人鬼も霞んで見える〉


 ナイフを抜くと。


 血が出てくる。


 刺せば、刺すほど。


 抜けば抜くほど。


 どんどん。


 どんどん。


 体が冷たくなる。


 見つめ合う目に光りが無くなっていく。


「円ちゃ~ん。私も混ぜてー」


「僕もやろうっかなー」


 伝染する。


 狂気は広がる、繋がる。


「うくく、ここを切れば、これが出てきて、ここを裂けば、あれが見える、の、だっ!」


 赤、青、黄色。


「オオカミのお腹をチョッキン、チョッキン、中もチョッキン、チョッキン」


「ほらさ、まだ寝るの早いよ、もっと反応してよ、ほら、もっと、もっと、なんだよ、ゲームじゃ最後の最後まで元気なのになー」


 色は混じり合い。


 濁り。


 そして黒へと。



 血を浴びて、次へ。


 血に染まって、次へ。


 血は重なり、次へ。


 

 誰でもいい。


 とりあえず、最初に目についた者の元へ。


 脇目を振らずにずんずん進み。


 足が止まるまでに。


 ナイフは目に。または首か。


 鳩尾でも、なんでも。


 髪を掴んで、首を掴んで。


 とにかく、刺せばいいの、だ。


 動いてたものが、動かなくなるのが。


 上がる声、消える声。


 跳ねる鼓動、押し出される血の色液。


「頬をチョッキン、ぱっくり開く、さらにチョッキン、歯が見えた~♪」


「ほら、殴るたび、顔が変わる、殴るたび、顔がへこむ、もう元には戻らない」


 ポイントは仲間がいれば共有される。


 つまり、皆殺しにするのはそういう意味でも都合がいい。


 本来、受け渡されるはずのポイントが、死ぬ事で失効するから。


 

 だから道が間違ってても構わない。


 ひたすら進んで、ひたすら殺して。


 流石に全員暴走ぎみとはいえ、誰かは冷静を保たねばならない。


 この場合、少なくとも種と叶夜はそう思っていたはず。    


 私はそんな器用な事はしない、のだ。いや、できない。


 スイッチが入ればもう止まらない。


 感情に支配され、欲望に溺れて。


 私が今、一〇〇%の状態で動けているのは。


 委ねているから。


 一番信頼できる人が傍にいて。


 私を見ている。


〈円ちゃんの好きなようにやっていいんだよぉ。なにがあっても私がなんとかしてあげる、助けてあげる、私が守ってあげる〉


 どんな状況でも状態でも。


 姉御の声だけは私の耳に入るから。


気分が高揚して、血流が早まって、目眩すら起こって。


 苦しい、苦しい、苦しい、苦しい。


 いくら息をすっても足りない。


 苦しい、苦しい、苦しい。


 相手の痛みが、苦しみがナイフを通して、私の中へ。


 苦しい、苦しい。


 木霊する、死ぬ間際の絶望が。

 

 欠乏する中で。


 苦しい


 思うは。


 気持ちが、い、い。


「あぎゃあああああはあああああ」

「ぎゃあえああええええええええ」


 人それぞれ声は違えど。


 一つ、一つが殺す度、重なり、奏でる。


 ディオ、二重奏。


「ふがかあ、あやめ、ああああああいたああああああああああ」


 トリオ、三重奏。


「もう、や、いし、しんしぃいいいいいいいいいいいいいいいい」


 四重奏はカルテット。


 クインテットは五重奏。


 セクステットが六重奏。


 七、八、九。


 セプテット、オクテット、ノネット。 

 

そして10人殺して十重奏。


 それはデクテット。


 鳴り響く。


 異なる楽器はどんどん増えて。


 これは正しい、あれは間違い。


 これは良い、あれは駄目。


 それを決めるのは、私。


 刹那的な感覚に支配されながら。


 やがて終点が見える。


 扉の先は光。


 私達は最高のコンディションで。


 最終ステージへと。

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