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ういうい、いきなり遭遇なのだ(殺人鬼決定戦其の二)

 ういうい、円なのだ。


 元葵シスターズが一人、シード・ザ・プラント、雨宮種。


 殺人鬼連合、キラープリンスこと叶夜。


 この二人を仲間・・・・・・いや。


「ほら、こいよっ、もっと、もっとだっ!」


「あっはぁあああああ、出しちゃえ、出しちゃえっ」


 叶夜は、すでに戦意を失ってる相手をボコボコに。

 殴り、蹴りつけ、顔は血と腫れでもう識別不可能。


 種は切り開いた胸、その心臓にハサミを突き刺しながら、その度ピュッピュッと噴き出す血を見ながら悦に入っていた。


「・・・・・・・・・・・・」


 合流してから部屋の移動オア待機はすでに3巡目。


 その都度ここに入ってくる参加者はこうして二人の玩具に成り下がるの、だ。


 私が最初に配置されたこの部屋。

 床と壁には血が飛び散り、死体がどんどん増えていく。


「う~ん、二人とも、そろそろどうするか、決めるの、だ」


 私はいい加減そう進言するが。


「おい、ほら、もっと声出せよっ! う、う、う、だけじゃなくてさぁああ」


「グリグリグリグリグリグリグリグリグリグリグラグリグリグラグリグラ」


 叶夜は片手で相手の首を絞めながらひたすら顔を殴っていて。

 

 種は、閉じたハサミを色んな所に刺しながらグリグリ回していた。


 そんなわけで私の話など耳に入っていない。


 二人は血を見るとますます興奮しているご様子。


「お~い、お二人さん、そろそろ・・・・・・」


 あれからゾディアックファミリー、そしてミドガルドシュランゲのメンバーは入ってきていない。

 これは、あっちもある程度部屋の位置を特定して合流を優先していると想定される。

 

 ならば、このままだと、人数の増えたあいつらとぶつかる事になる。


「時間です。施錠が外れます」


 そうこうしている内に、また時間が来たのだ。


 ここで、恐れていた事態が起こった。


「・・・・・・ニルヴァーナ」


 この部屋にぞろぞろを入って来たのは。


 青と黄色の外套。


 ゾディアックファミリー。


 それも3方向その全てから。


 右が三人、左も三人、そして正面が四人、計10人。


「お前らが、随分のんびりしてるから、早々にラスボスの一人がお出ましなの、だ」


 ニルヴァーナが入ってきた事で、さすがの二人も手を止め立ち上がった。


「・・・・・・あ、うちのお姉ちゃんにちょっかいだしてる人だ」


「ふ~ん、間近で見ると・・・・・・うん、かなりいい線行ってるけどそれでもまだ姉様ほどじゃないね」


 この二人は流石といいべきか、ニルヴァーナを含むゾディアックファミリーと対峙しても全く臆していない。


 それよりも。


「ん、誰かな、君達、僕のお目当てはそこの嘘つきだけだ。関係ないなら見逃してあげるからそこで見ててよ」


 人の皮で作ったマスク、素顔は見えないが、どうも笑っているように見える。


 その余裕、その微笑みが崩れるのもあっという間だったの、だ。


 特に示し合わせたわけでもない。


 ただ三人が三人とも独自に動いただけ。


 皆、知っていたのだ。


 不意打ち、先手必勝、最初の行動が一番重要ということが。


 ハサミが跳ぶ、喉に突き刺さり、さらに飛び込み、また左、ハサミ、喉、シュッと、飛び散る血、人の皮は薄く、すんなり刃は肉へ到達、届く臓器、損傷、それは重大。


 刻むように、リズムを、音楽に合わせて、ステップ、ステップ、距離は一瞬で、脳をシェイクする一撃、プリンのように弾む弾む、黒は白に瞳は上へ、半回転、裏の拳が顔面を揺らす、さらに反転、回り、回る、体が回る、足が、拳が、撃ち込まれ、撃ち落とされる。


 二刀のナイフが右へ左へ、それはまるで指揮者のように。影すら追いつくか、それ程の速さ、消える体、留まる残像、斬線、振られるナイフは、痛みより熱を、認識より早く、刻む、刻む、切って、裂く、何度も切り裂く。


 十の青と黄色は一瞬で一に。


 難問、難関、自分以外が崖から崩れ落ちていく感覚。


 残ったのは、ニルヴァーナ一人だけ。

 

 一人は寂しい、一人は孤独、そう、だから求める、お前は求める。

 抱き合い、肌に振れ、鼓動を感じ、涙が自然と流れるような、そんな温もり。

 

「・・・・・・・・・君達、本当に誰?」


 ニルヴァーナにすればノーマーク。

 だが、参加者の中でも指折り。


「それは意味がない、言う意味がないの、姉様は意味が無いことを、無駄な事が嫌いだった。だから言わない、内緒なの、だって、貴方、死ぬじゃんぁう?」


 種の顔がとろけ出す。相変わらず気持ち悪い。


「待ってよ、そいつは、うちのお姉ちゃんにたかる蠅だ、そういうのを排除するのが僕の役目だよ、お姉ちゃんが困る、悲しむ、それは自分の事と同じ、お姉ちゃんの心は僕と一緒、共有、いつも、ずっと、死ぬまで、だからさ、お前、死ね」


 二人とも、どんだけ姉? 好きなの、だ。


 ま、私も人の事を言えないのだ。


「さぁ、どうする、お前一人になった、ぞ?」


 私の問いかけも、思考している、だから、無言。


「言葉から察するに、そっちの白黒くんは、シストくんの仲間かな?」


「ん~~、違うよー、だって僕とお姉ちゃんの心は絡まっているから、仲間じゃない、もう一心同体、同じなんだよ、僕とお姉ちゃんは同じ」


 意味がわからんのだ。


「・・・・・・まぁ、いいや。あの子は、僕の中のうち一人を退けたんだ。女王をね。僕の魂は6つあってね。そう、僕は最後、まずはどれか一つを潰してごらん?」


 そういうと、ニルヴァーナの体が波打つ。


 纏わり付いていた感覚が変化する。


 姿形は同じなのに、いつの間にかそこには。


 別の誰かが、いたの、だ。


「ふう、やっと出してくれたー。キングはあの人にあってからかなりおかしい。それは中にいてもわかるほど。世界が埋まっててね、息苦しいんだ、どんどん想いが浸食していく」


 こいつは、ニルヴァーナ、クィーンを除く4人の内の誰か。


「あー、僕はポーン、歳は10歳。ゲームが大好きなんだ」


 声が幼い。仕草にも子供っぽさが表れている。


「ふ~ん、僕も好きだよ、ゲーム。特に人がバッタバッタ死んでく奴」


「おっ! お兄ちゃん、いいね、僕と気が合いそうっ!」


 変な所で、叶夜とポーンが意気投合したようだった。


「あ~、じゃあ、お兄ちゃん、僕とゲームで勝負しようよ。ジャンルはなんでもいいよ、僕なんでも得意だから」


「いいよ。僕もなんでもいけるけど、そうだね、じゃあ格ゲーでどう?」


「オーケー、なら・・・・・・」


 ここで、二人とも、ポケットから携帯ゲーム機をさっと取り出した。


 なんだ、こいつら。


「そこのモニターに繋げられるかも、線持ってたりする?」


「あー、一応持ってるよ」


 持ってるんかーい、なのだ。

 こいつここに何しに来たの、だ。


「じゃあさ、じゃあさ、ゲロ6で勝負しよう。僕が負けたらもう出てこないよ、そんでお兄ちゃんが負けたら・・・・・・首かっ切って死んでよね」


「了解。なら、三本勝負だ。いくぞ」


 こうして、なんだか分からない内に叶夜とポーンによるゲーム対決が始まったの、だ。


 後々なにかで利用するのか、この部屋には天井隅にモニターが備え付けてあった。

 多分、他の部屋にもあるはず。


 そこに無理矢理繋いで、ゲーム画面が私達にも見えるようになった。


 私もゲームはそこそこやるの、だ。でも、このジャンルはよく知らない。


 二人がキャラクターを選ぶ。


 叶夜のは、なんか中性的なキャラで、見た目では男だか女だかわからんやつ。


 ポーンのは、なんか最初はいなかったのに、変なコマンドを入力したら出てきたやつ。


「まさか、卑怯とか言わないよね?」


「いや、強キャラ使ったからどうのこうのなんて言わないよ。どのキャラも使う人次第でどうにでもなる」 


キャラを決め言葉を交わすと、画面はいよいよカウントを数える。


 ラウンド1・・・・・・。


 ファイ。


 最初のラウンドが始まったの、だ。


 画面上。


 二人は動かない。


 お互い間合いを計ってるのか。

 それとも出方を見ているのか。


 その膠着もすぐにとけた。


 ポーンの方が動く。


 なんか出してきたのだ。


 あー、竜巻みたいなのがえらい出てきてる。


 画面いっぱいに相手の飛び道具が飛び交う。


 叶夜はなにも出来ず、防戦一方。


 と思ったら。


 叶夜のキャラが竜巻をさっと避けながら前進していく。


「これはあれだね。叶夜くんの使うロッテはスピード重視で癖が強い、なのですり抜けのタイミングも他のキャラよりシビア、でもうまくかわして距離をつめてる、近づけさえすれば・・・・・・」


 同時に、種による解説も始まったの、だ。

 こいつ、詳しいの?


 叶夜のキャラ、ロッテがうまく避けながら相手に接近、技の膠着を狙っての。


 コンボ、コンボ、コンボ、コンボ。


 ポーンのキャラは、地上から何撃が入れられ、画面端に追いやられ、そこからさらに空中にあげられ。


「これは、このまま・・・・・・」


「いや、見た目は派手だけど、補正がかかってダメージはそれほどでもない、それに・・・・・・」


 まだまだ続くと思われていたコンボだが、相手がなんかパンってやったの、だ。


「ブレイクシャイニー。ゲージを一本使う事によって、相手の攻撃中であっても吹っ飛ばせるができる」


 これによって、今度は叶夜の方に隙ができた。


 吹っ飛んだロッテを追いかけるように。


 今度はポーンのキャラが。


 コンボ、コンボ、コンボ、コンボ。


 そして、技の終わりに。


「暗黒を晴らす、汝に祝福を、居場所は隠され、命の雫は枯れ果てる、レイミアインパクトォォォォォォォっ!」


 ポーンが叫ぶ。まぢか、キャラと一緒にか。


 なんか大技っぽいのが炸裂したのだ。

 これにより、叶夜のキャラの体力が一気に減ってやられてしまった。


「レイミアインパクト・・・・・・。↗↓↘→↗↑↓→↘+B+C。あのタイミングで入れてくるなんて」


 種が驚いている。そうか、なんか凄い事したみたい、だ。


「ふ~ん、言うだけあるね。あそこから入れてくるなんて」


 あ、同じ事言ってるの、だ。


「ま~ね、これはやりこんでるから。お兄ちゃんも本気ださないと次で終わっちゃうよ?」


 そう、2ラウンド先取だから、次でも負けるともう終わりなの、だ。


 だが、叶夜に焦りはない。


「まぁまぁ、ここからだよ」


 次のラウンド。


 叶夜も相手の動きにじょじょに慣れてきたのか、なんとかギリギリで勝利を収めた。


「やるねぇ。ブレイク結構使っちゃったよ」


「次で決めるよ、覚悟はいいかい?」


 そして最終ラウンド。


「このラウンド、叶夜くんが不利だね。ただでさえキャラ性能が劣ってるにもかかわらず、さっきのラウンドで引っかけてた攻撃が最後のほうでは対策されていた。このラウンドではそれが通用しない。でも、叶夜くんのほうが・・・・・・」


 序盤からお互い、体力の削り合い。

 なるべく、隙を見せないように細かい攻撃で相手を牽制している。


 それでも少しずつ減っていく体力。

 

 押してるのはポーンの方。


 同じ一撃でも与えるダメージが大きい。


 対して、叶夜のキャラの体力はもうミリ。


 もう弱攻撃の一発でも入れば、叶夜は倒れる。


 ここで、ポーンが止めを刺しにきた。


 ゲージを使っての必殺技。


 これはガードしても削られて体力が0になる。


 万事休すか。


 私は思わず、目を背けそうになったのだが。


 相手の連続攻撃。


 それを叶夜のキャラが何かしているのか、光と共に無効化している。


「ペインキャンセラー。相手の攻撃と全く同じタイミングで方向キーを逆に入力することでその攻撃を完全に無効化できるコマンド。叶夜くんは相手の必殺技のラッシュ攻撃をそれで全部防いでる」


 相手のキャラは必殺技というだけあって滅茶苦茶攻撃してるのだ、だが、それを全部キンキンキンキンキンキンキンしてる、だ。


「キンキンしてるの、だ」


「そう、そしてそのキンキンが終わった時、それは・・・・・・」


 ポーンの攻撃が終わる。

 大技、その直後の大きな隙。


 それを逃す叶夜ではなかったの、だ。


 叶夜のキャラが、一際大きく光りを放つ。


「ナイツオブ・ディレイ・ストライク」


 叶夜が小さく呟く。


 その着後、叶夜のキャラがなんか色々召喚し始めた。


 召喚によって出された剣士やら魔道士やらが一人ずつ攻撃していき。


 最後に一際でかい鎧のなんかが出てきて、剣を振り落とると・・・・・・。


 KO! 画面いっぱいに広がる文字。


 半分ほどあったポーンのゲージが一気に消え去った。


「ナイツオブ・ディレイ・ストライク。ゲージを三本、そして瀕死状態でしか出せない超必殺技。ここまでゲージを溜めていた叶夜くんの粘り勝ちだね」


 ふむ、そういう事なの、だ。


「・・・・・・僕が、負けた、嘘だ。え、だって、これは僕の得意なゲロ6で・・・・・・そんな・・・・・・そんな・・・・・・あぁああああああああああああああああああああああああああああ」


 ポーンが頭を押さえて大声で吠える。


「ああああああああああああああああああああああああああああ」


 まさに絶叫。そんなに悔しかったのか。


 しばらく絶叫は続き。


 それは急に大人しくなった。


「・・・・・・ポーンを倒したか。やるね。相当悔しかったのだろう、僕の中で激しく荒ぶってるよ。これは落ち着くまで当分かかるだろうね」


 ニルヴァーナに代わったか。


「次はどうする? 他にもいるんでしょ? 全部僕が倒してあげるよ」


 叶夜はさらにやる気を見せたが。


「いや、連続では勿体ない。それは次に遭遇した時ってことで。僕はもう少し適当に部屋を回ってくるよ」


 そういい、ニルヴァーナが背を向けた。


「ん~、貴方はお馬鹿さん? 私はいちいちそんなのに付き合わないかなー」


 その背中に、種がハサミを投げつける。


 あまり気に入らんが、私も種と同意見なのだ。


 ゾディアックファミリーはまだまだいる。ここで逃せば、また仲間を補充されてしまうのだ。


「時間です。施錠が外れます」


 アナウンス。


 すぐさまドアが開き、ハサミの軌道が変わる。


「それじゃ、またね」


 入れ替わりに入ってきたのは、またもゾディアックファミリーのメンバー。


 牛刀のような大きな刃物を持っていた。


 凹凸のない体のライン、なのに露出は多く、水着のような格好に青と黄色の外套を羽織っているだけ。


「あれれー、ボスがいたのに、生きてる、これはおかしいぞ、なんでだ、どうしてだ」


 牛刀には血がこびり付いてる。

 こいつ、ここに来るまで一体何人屠ってきたのか。


 さっき、ちらりと見えた隣の部屋。


 ここと同じように赤一色だった。


 こいつはニルヴァーナがあらかじめ待機させていたのか。

 それも単体、多分、幹部。


「そうか、私のためにボスが残していてくれたのだ、そうだ、きっとそうなんだ」


 牛刀女は勝手に納得して私達を見据える。


「・・・・・・円ちゃん、この子可愛いねー。見ていいかな? 見ていいよね? 外も中も、骨は白くて、綺麗に詰まってるのは黄色も黒、赤もきっとあるね」


 種が新たなハサミを取り出して。


 二人の見合う顔。見定めるように、お互い眼球がグルグル動く。


 これは。


 どちらもとても、気持ち悪い。

 これは思ったより長くなるかも。。関係ないけどスピラ・スピカのスタートダッシュって曲超お気に入り。

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