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おや、これまた考えましたね。

 こんにちは、蓮華です。

 今はクーラーが効いた仕事場におります。


 いやー、シード・ザ・プラント、見つかりませんねぇ。


 私もですし、殺人鬼連合の方も躍起になって探してますが、影すら見えません。


「う~ん、これは困りました」


 椅子の上で体を伸ばします。


「うくく、そのわりにはレンレン、なんだか、嬉しそう、なの、だ」


 あら、顔に出てましたか。


 近くにいた円さんにそう指摘され、私も自覚します。


「不謹慎ですけど、まるで昔に戻ったようなんですよ」


 最近はどんな事件もすぐ解決してしまいます。

 それは些か退屈で。


「そう、ドールコレクターと鬼ごっこしていたあの頃に・・・・・・」


 お互い学生でした。


 連続少女失踪事件。


 あの時の私は我武者羅に犯人を追って。

 それでも、まるで見当たらない。


 手がかりを見つけたと思ったら、それは見当違いなもので。

 つかみかけると靄のように四散してしまう。


 私を含む全てをあざ笑うかのように。

 皆が彼女の手の平で踊っていたのです。


「まるで、手がかりなし、か?」


「そうですねぇ、手がかりはありませんが、一応、シード・ザ・プラントの正体はある程度予想はついてますよ」


 私もあの頃よりは多少成長してますからね。 

 

「まず、私達、そして殺人鬼連合の双方をよく知ってるって事です」


 その時点で普通の一般人とはかけ離れます。


「そして私達に尻尾を見せない慎重で優秀な者」


 彼女に認められるにはそれ相応のスペックが求められるという事です。


「以上を踏まえて、絞り込んだ結果・・・・・・」


 この結論が一番しっくり来るんですよ。


「シード・ザ・プラントは、葵シスターズの一人です」


 だって、行動がとても彼女に似ているから。



「葵シスターズ・・・・・・まさか・・・・・・いや、たしかに」


 円さんも否定しようにも型にはまったのでしょう。


「円さん、ドールコレクター亡き後、シスターズ達はどうなりました?」


「姉御はそのまま私に譲って、円シスターズとして引き継がせた、のだ」


「それは全員ですか?」


「・・・・・・いや、何人か残り、何人か死に、何人か去った、のだ」


 それは戦国時代のようですね、今まで仕えていた者がいなくなった後に家臣はどうするか。 自分がその枠に収まろうとする者もいるでしょう。

 後継者を支えようとする者もいるでしょう。

 なにはともあれ、ドールコレクターという頭を失って今は分裂してるみたいですね。

 何人か死にっていうのは、もしかしたら後を追ったのかもしれません。


「引き継いだとはいえ、私はその全てを知らないの、だ。姉御はシスターズをひた隠しにしていた。それは身近にいた私にさえ、だ」


 円さんでも残った人以外の詳細は知らないと。


「とにかく、仮にシード・ザ・プラントが葵シスターズ一人だとしても、目的がよくわかりません」


 ドールコレクターの後継者は、現在円さんです。

 もし、自分が成り代わりたいなら、標的は円さんだけのはず。

 私や、果ては殺人鬼連合まで巻き込む意味があるのでしょうか。



 そんな中、新たな事件が起こりました。


 被害者は、ガーベラさんという外国人でした。


 他の事件同様、遺体は椅子に座らされており。

 でも、一つ異なるのは首が無かったこと。


 そして、頭の代わりにガーベラの花束が添えられていたことです。

 まるで首から生えたように。


花束にはメッセージカードが一つ。



「メッセージはこうです。〈蝶は花を見失う。見つけて、私はここにいる〉と」


 ご丁寧に居場所が書かれています。

 それも3カ所。


「この内の何処かにいるって、こと、か」


「そうみたいですねぇ。その3カ所は色分けされてますね。赤の場所、青の場所、黄色の場所と」


 ここで、狙ったかのように。

 私の携帯に着信が。


 番号は非通知。

 そもそも、この番号を知ってる人は限りなく少ないのですがね。


「・・・・・・はい。蓮華です」


「こんにちは、深緑深層のマーダーマーダー。メッセージは受け取ってもらえたかな」


 機械のような声。加工されてますね。


「始めまして、シード・ザ・・・・・・いや、天宮 種さんですね? メッセージ、今読んでいたところです」


「そうか。意図は読み取ってもらったと思う。その3カ所の内のどれかに今から私は向かう。滞在時間はそうだね、一時間といったところか」


 ほう、自分から捕まえられに来てくれると。


「どうせならどれが正解か教えてもらえませんかね?」


「ははは、それではゲームにならないじゃないか。そうだね、なら、一つ選ぶといい、そしたら残りの二つの内のハズレを教えよう」


 ははぁ、そうきましたか。


「では、私は黄色を選びましょう」


「そうか、では、残りの色のハズレを教えよう。ハズレは赤だ」 


「なるほど~、参考になりました」


「で、それを聞いた君はどうする、最初に選んだ黄色にするか? それとも変更するかね?」


「そうですねぇ、ここは変更したほうが良さそうです」


「ははは、なら私は正解の場所で待っているよ」


 そこで通話は途絶えました。


「レンレンどうする、青の場所に向かう、か?」


 これは確率論です。先ほどのやり取りでは、青の場所が一番確率が高くなります。


「ちょっと、待って、蓮華お姉ちゃん。さっきから聞いてたけど、三つの内、相手がハズレを教えたなら確率は二分の一で、青も黄色も同じ確率じゃないの?」


 円さんの隣にいた白頭巾が疑問を投げかけます。


「いえ、私が最初に当たりを選ぶ確率は三分の一ですよね、ですが、相手がハズレを教えてくれました、ですので変更することによって確率は三分の二になるんですよ」


「はぁ?」


 図を書いて説明すれば分かりやすいのですが、今は時間がありません。


「とにかく、私達は確率の高い青の場所に向かいますよっ」


 それでも当たりとは限りません。


 なので、確率を100%にしようと思います。



 私達三人が向かったのは、郊外にあるラベンダー畑。


 小高い丘にこれでもかと紫の花が咲き誇っていて。


「あぁ、蓮華さんですか、こっちは誰もいませんね、どうやらハズレだったようです」


「・・・・・・そうですかぁ、こっちはですねぇ。あれです。当たり、いや、ハズレでしょうか」


 残りの2カ所、私達と殺人鬼連合で別々に向かいました。

 これでどちらかは当たりを引くと。


 でも、どうやらすっぽかされたようですねぇ。


「んー、なになに、君達かな、うちのメンバーを殺ってくれたのは?」


 丘の天辺で、数十人の男女に囲まれた一人の人物。


 紫の中に別の色。


 見覚えのある制服、その上に青と黄色の外套を羽織った者。


 被害者の外人を軽く調べましたが詳細は得られませんでした。


 今、納得です。


 どうやら、私は腐抜けていたようですねぇ。

 好敵手を失い、その後継者を味方につけて。

 私自身、もう敵はいないって。


 時間制限を設けて準備をさせず、ゲームと称してこちらを挑発し、答えを二択に絞れば、私がこうすると予想し、そのどちらがここに来てもいいように。


 ガーベラさんはあの人達の仲間でしたか。


「すでに潜入していたのは知ってましたけど、まさか、こうして大っぴらに出てくるなんて思ってもいませんでしたよ。それも貴方自身がです」


 円さんも、白頭巾もすでに臨戦態勢。

 もうお互い存在は知ってますからね。


「ゾディアックファミリー、そのボス、ニルヴァーナ」




 ピンクの髪をなびかせて、少女はビルの屋上でケラケラ笑う。


「姉様は人を見下ろせる高い所が好きだった。そして、姉様は、とてもとーても・・・・・・」


お腹をかかえてケラケラ笑う。


「嘘つきだった」

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