わわ、学校にテロリストだよっ!
この日、蓮華の元にとんでもない一報が届いた。
「聖フィリップスラヴクラフト女学院にテロリストがっ!?」
「なんだってぇぇっ!」
蓮華の声に円がすぐに反応する。
「なんで、そんな事に・・・・・・」
同じく近くにいた白頭巾も驚愕の表情。
しかしそれも束の間、三人はすぐに落ち着きを取り戻す。
「大変な事態ですが・・・・・・」
「そうなのだ、あそこには・・・・・・」
「そう、あの子がいるっ!」
へーい、紅子だよ。
勉強きらーい。人付き合いもメンドー。あぁ早く終わらないかなぁ。
今日は白雪ちゃんもお休みだし、本当につまらない。
こうなりゃ午後の授業はさぼろ・・・・・・。
今の授業も終わりにさしかかり、もうすぐ昼休みって時だった。
「おらぁああああ、動くなっ! 今からこの学園は我が、鉄槌の解放軍が占拠するっ!」
教室のドアから妙な男が銃を持って乗り込んできた。
「な、なんですか、貴方達・・・・・・っ」
教師が声を上げるが。
「黙れっ!」
男は銃を発砲、教師は頭を打ち抜かれ後方に吹っ飛んだ。
「きゃあああああああああああああああああああああ」
額に穴が開き、女教師はピクリとも動かない。
それを見て、私以外のクラスメイトが大声で叫んだ。
「うるせぇえええええええええええ」
男は銃を天に向け数発撃った。
「声を上げた奴は殺すっ、いいな、お前ら、一切動くな喋るな、妙な真似しやがったら即座に殺すっ!」
おーおー、やるじゃなーい。
これよ、これ。私が望んでいたのは、こういう状況。
つまらない日常が一変する出来事。
教室の中にいる賊は三人。
全員銃を持ってるとはいえ・・・・・・。
「・・・・・・やれやれ」
私は気怠く立ち上がる。
「っ! なんだお前、座れっ!」
「勝手に動くなっ! ぶっ殺すぞっ!」
男達の銃口がこっちに向くよりも早く。
私の手にはすでにシャーペンが数本。
メジャー級のフォームでそれを投げつける。
「うがぁああああ」「ひゃあ、目がっ、目がぁあああ」「ごぼぼっっっっっ」
それぞれ、額、目、喉に突き刺さる。
だけど、それだけじゃ不充分。
私は机を蹴ると、高い跳躍、男達に飛びかかる。
空中で自前のナイフを胸元から取り出し。
今度こそ喉に深く切り込んでいく。
血が噴き出し、それを浴びながらも手はとまらない。
完全に男達が動かなくなるまでそれを振るった。
返り血を浴びに浴びて真っ赤になった私はゆっくり立ち上がり。
「さて、残りも片づけますかぁ」
頬を伝う血を一舐めし、ナイフを改めて握り直した。
教室から出る。
敵は何人か。この馬鹿みたいに生徒がいるこの学園を占拠すると発言したのだ、それなりにはいるだろう。
隣のクラスを覗き込む。
うちの教室同様、テロリストの一人が銃を生徒達に構えていた。
「え~、一クラスに一人はいるって事?」
幸い、私の活躍は隣のクラスでも気付かれていない。
今いる校舎は中等部。
二階にある渡り廊下を隔てて高等部の校舎にいける。
「テロリストが占拠したのはここだけかな・・・・・・」
もし、そうなら高等部の校舎に抜ければどうにかなりそう。
私は腰を低くして渡り廊下を目指した。
校舎同士を結ぶ道を一気に駆けて、高等部へ。
校舎に入ると、一番身近の教室を覗く。
(・・・・・・やっぱ、いたかぁ)
他の教室と同じく、銃を生徒に向けて立っている男が。
となると、やはり中等部、高等部のクラス分にテロリストがいるって事か。
小等部とは繋がってないし、少し離れているからあっちは知らない。
「さて、どうしよう。もうこのまま帰ってもいいけど」
一気に面倒になった。
そうだよ、なにも助ける義理はないし、一人だけ逃げればいいか。
と、思ってたら。
なにやら、廊下の奥、階段付近から人影が。
それは両サイドから同時に来た。
挟まれた!?
どうする、隠れる場所もない。
「・・・・・・いや」
よくよく見たら、近づいてくるのは高等部の制服を着ている女生徒。
一人はショートカットの小柄な少女。留学生か、髪がクリーム色、目が青い。
もう一人は、こちらも留学生。髪は黒いけど、この国の人種とはかけ離れた顔付き。切れ長の目はとても大きく、鼻も高い、とにかく美形。
二人は同時に私の元に辿り着く。
「おー、君、中等部の子? どうしてここに」
「おい、貴様、あっちも同じ状況か?」
二人とも流暢にこの国の言葉を発した。
「え、あ、はい。あっちも同じっす。テロリストが出ました」
まさか、テロリストが出ましたなんて言う日が来るとは。
私の盛大に浴びた返り血にもなに一つ反応してない。
ていうか、この二人の身体にもちらほら血がこびり付いている。
「えっと、もしかして、先輩達も教室のテロリストを?」
「ん・・・・・・そうだね。僕の教室にいきなり来てね。銃を向けられたから反射的にやっちゃった」
「私も同じだ。よりによって私に銃口を向けるとは・・・・・・」
ショートカットの人はまるで緊張感がないように。
黒髪の方は、表情が険しく、とても怒りに満ちている。
何はともあれ、この二人何者か。ただ者ではないのは確か。
「私は中等部2年。紅 紅子っす」
「僕は高等部2年、コーネリアス」
「・・・・・・高等部三年、ゾフィアベーゼだ」
とりあえず自己紹介。
コーネリアス先輩にゾフィアベーゼ先輩かぁ。
こんな人達相当目立つだろうに、校内で見た事も名前を聞いたことない。
つい最近、留学してきたのかな、こんな時期に・・・・・・。
「で、これからどうしましょう」
私はなにもないなら一人で逃げようと思ってるけど。
「そんなの決まってるじゃない、一人残らず殲滅するよ」
「そうだっ、私と敵対したのだ、ただでは済ませんぞっ」
逆に先輩達はやる気満々だった。
「いや、でも、いくらなんでも三人じゃ・・・・・・」
一クラス一人はいるなら最低でも60人位いるよ。
うちのクラスに三人来たから、本来はもっといそう。
「いや、大丈夫、相手はとんだ素人共、統制も取れてない、動きもバラバラ」
「うむ、私の敵ではない」
凄い自信。二人ともただの女子生徒じゃないの?
「まずは装備を整えようか」
「そうだな」
二人はそう言うと、同じ方向に歩きだした。
私は訳も分からず後を追うことに。
数分後、ついたのは共同のロッカールーム。
「僕のは・・・・・・」
「私のは・・・・・・」
二人とも自分が使用しているローカーを探し始め。
「あった。ここだ」
「こっちも見つけた」
鍵を開け、扉を開く。
その中には。
「よし、行こうか」
「これより武力介入を開始する」
なんかどっちも銃とか色々入ってるー。
「ん、それクリスヴェクターか、おいおい、なんだ、他国のじゃなく自分のとこの使えばよかろう」
「いやいや、これカッコイイじゃない。そっちは・・・・・・MP7?」
「そうだ、うちの銃は世界一ぃぃだからなっ!」
う~ん、二人が何言ってるか全くわからん。けど、普通の女子学生のロッカーに銃は入ってはいないっ。
「ほら、君もこれ持って」
そういい、コーネリアス先輩が私に銃を手渡す。
「え、え、いや、私は・・・・・・」
「それF-2000。殺傷力高いからっ!」
「いや、銃なんて持った事ないし・・・・・・」
「大丈夫、敵に向かってトリガー引けばいいからっ!」
こうして、銃を持った私達が行ったのは。
ただの殺戮でした。
上の階から順々に。
教室のドアを開け放つと。
「おりゃああああああああああああああああ」
「いけぇえええええええええええええ」
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇええええ」
三人で教室内へと銃弾を撃ちまくった。
え、それじゃ他の生徒も巻き込むだろうって?
普通は駄目なんだけど、それだと難易度が跳ね上がるから無視しました。
「きゃああああああああああああああ」
「いやぁああああああああああああああ」
「ひぎゃあああああああああああ」
テロリスト、生徒、関係なく無差別に銃弾を撃ち込んでいく。
騒ぎを聞きつけた他のテロリストも廊下に出てくるも。
まぁ、まさかここの生徒が銃を装備して乱射してるなんて頭のどこにもないから。
「なっ!? ぎょえええええええええええええええええ」
「一体、ど、どぎゃあああああああああああああ」
顔を出した瞬間、勝手に体が踊り出すの。
ガラスは派手に割れ、人はもっと派手に肉片、血を飛び散らかす。
「オラオラオラオラオラオラオラっ!」
私も無我夢中で引き金を引いた。私の銃は前から薬莢が飛び出る。
先輩もフルオートで撃ちまくっていた。
「どうだっ! 毎分850発っ、反動も他の銃より全然安定するっ! これが我が国が誇る銃の性能だぁっ!」
阿鼻叫喚。
私も快感。
人が面白いように死んでいく。
ナイフで切るより容易く。
ナイフで刺すより効率良く。
「先輩っ! 最高っすっ!」
「そうだろう、そうだろうっ!」
「殺せ、殺せ、誰彼構わず、動く奴はみんな殺しちまえっ!」
こうして、私達は敵味方関係なしに殺しまくった。
あぁ、銃っていいね、だけど羨ましい反面、恐ろしい。
こんなのが身近に存在している国ってのは。
その気になればいつでも大量に人を殺せる。
誰が持ってるかわかりゃしない。
友達が、隣人が、通行人が。
外に出るにも覚悟がいるよ。
「やるからには誰一人残しちゃ駄目だよ」
「そうそう、これをやったのはテロリストだから」
あ、な~る。そうですよね、警察もまさか私達が銃を乱射してるなんて思わないでしょう。
てことで、まだまだ殺すぞー。
教室は血に染まった制服、穴ボコの体。
弾切れ、リロードの最中、それでもまだ動く生徒も僅かにいた。
「お、その子、まだ生きてる」
「ん、よし、なら褒美をやろう」
ゾフィアベーゼ先輩はそういい虫の息の生徒に近寄ると。
「あ・・・・・・あ・・・・・・助け・・・・・・痛いの・・・・・・」
腰から抜いた銃で涙を流す少女の顔目掛けて何発も撃ち込んだ。
「あ、そいつまだ息があるっすっ」
「じゃあ、窓から落としちゃおっ!」
コーネリアス先輩と私で生徒の手と足を持って、開けた窓から放り投げる。
女子生徒は頭から地面へと落ちていった。
「むむ、この子あれだっ! 中等部でも可愛いと評判の子だっ!」
お淑やかで笑顔が眩しい女の子。いつも友達に囲まれる人気者。
そうそう、いつかこうしたいと思ってたんだよね。
「お前は、私の従姉妹にしてあがる」
幸い、顔に傷はない。
その綺麗な顔頂きますね。
私はナイフを顔へと近づけて、切り込みを入れ始めた。
また別の教室では。
「あ、お前、影で私の悪口言ってたな、見逃してやってたけど、今は別だっ! そんな悪い口には色々詰めてやるっ!」
そして先輩達も。
「そろそろテロリストから情報聞き出そうよ、とりあえず人数は聞いとかないと」
「そうだな、何人か椅子に縛り付けて、端から尋問するか。どんどん進むに連れて全部吐くだろう」
1番最初は何も聞かずにいきなり殺した。
2番目は、人数だけ聞いたが、答えない、だから両耳を吹き飛ばした後に殺した。
3番目は女、質問にはすぐに答えたが、両方の目玉を打ち抜いて殺した。
4番目のテロリストは、聞く前にペラペラ喋り出した。聞いてない事まで話すのでうっとうしくて歯を打ち抜くように銃口を口に向けて殺した。
5番目は、声が震えて何言ってるか分からない、だから殺した。
6番目は、殺さないでくれ、殺さないでくれ、ととても五月蝿いから殺した。
結局、全部殺した。
この中にリーダーはいたかもしれない、でももうどうでもいい。
数時間後、学園に私達以外誰もいなくなった。
「じゃ、そろそろ僕帰るよ」
「そうだな、私も帰るとしよう」
先輩達も流石に疲れたのか、銃を下ろした。
全ての教室は血で染まった。私のクラスも同様。結局戻って全員殺した。
適当に肉片となったテロリストらしい者の近くに銃を投げ捨てる。
「じゃあこうする? 途中でテロリスト同士が仲間割れをした。僕達は最初からたまたま教室にはいなかった。騒ぎが収まったので隠れていた場所から出てきたらこの有様だった、と」
「いや、いっそ、今日は私達は学校に来ていない、これが一番都合がいいだろう」
「そうっすね。わっかりましたーっ!」
私達は、裏庭から抜けて、森へと出た。
テロリストの当初の要求が通っていたのか、表面上の包囲は無く、うまく脱出に成功。
大通りに出ると、まるで来るのが分かっていたかのように二台の車が私達の前で急停止。
「お疲れ様でした」
「とんだ災難でしたね」
それぞれの車から女が出てきた。
コーネリアス先輩の方には、青と黄色の瞳、オッドアイの女。
ゾフィアベーゼ先輩の方には、金髪の女。
「お迎えご苦労さん」
「シュッミット、服が血で汚れた、代わりの服を」
先輩達が声をかけると女達は深々と頭を下げた。どちらの女も先輩達に恭しく接している。
「ふん、やっと分かったぞ、貴様の正体」
「僕もだよ。てっきり5人組だと思ってたけど」
先輩達がお互いを見つめうっすら笑みをこぼしている。
「それにしても貴様、車は自分のとこのに乗るのだな。アストンマーティンone‐77、いい車だ。しかし、うちには負けるな。そっちは77台、こっちは75台限定だ」
「君のはSLR スターリングモスだね。たしかにそちらの方が生産数は少ないけど、値段はこっちの方が高いよ、それに、そのスターリングモスってのは、うちの国のドライバーの名だ」
私にとっては、どっちも凄い車に見えるけど。
しばらく、お互い、うちの方がサッカーが強いとか、うちの方が紅茶が美味いとか、言い争った後、帰って行きました。
さて、私も帰ろう。
足を一歩踏み出す。
が、力が入らない。
まるで、世界が反応を失ったかのように。
なにもかもが手応えを無視し始める。
あれ・・・・・・なんだか、急に世界が陽炎のように・・・・・・。
「紅子ちゃんっ! 紅子ちゃんっ!」
「ん・・・・・・」
体が揺さぶられる。
あれ、ここは。
「おらぁぁっ! 紅子っ! テメー、オネニー様が話してるのに居眠りたぁ、いい度胸だなぁ、あぁああ?」
え、あれ。タシイさん? いや、他にも殺人鬼連合のみんなが。なんでここに。
「まぁ、いいよ、タシイ。大事な事だから、もう一度言おう、どうもゾディアックファミリー、そしてかの有名なミドガルドシュランゲのメンバー達が最近この国に潜伏したらしい。どこにいるかまではまだ分かってないけど、みんな、とにかく気をつけて欲しい」
まだ頭が呆然。そんな中で一生懸命考える。
ゾディアックファミリーってこの前派手にやり合った奴らじゃないですか。
あそこのボスは遠目で見たけど、人の皮を貼り合わせて造った妙な仮面を被ってた奴。
ミドガルドシュランゲっての方は私は全然わからない。後で詳しく聞いてみよう。
それにしても、あれは夢だったのか。
なんだかとても心地が良かった。
まさかの夢オチ。




