ういうい、レンレンに話を聞くのだ。
ういうい、円なのだ。
今日は、レンレンの所に来ているのだ。
とはいえ、特に用事があるわけでもなく、ただ指令待ち。
レンレンは相変わらずモニターと睨めっこ。
白頭巾はこの時間は学校なので、暇な私はソファで横になってテレビを見てたのだ。
「先日起きたこの残忍な犯行は、依然なにも・・・・・・」
画面に映るワイドショーを眺める。
小学生の少女が連れ去られ、殺害された事件。
遺体は少女の自宅付近に遺棄されていた。
よく犯罪者は犯罪者を理解できるというが、この場合私はよく分からない。
なぜなら・・・・・・。
「レンレン、これの犯人どんなだと、思うの、だ?」
私は何気なく、近くにいたレンレンに問いかける。
レンレンは、多分、こういうの私よりは詳しいのだ。
「ん~? なんです。あぁ、この事件ですか」
レンレンが手を止めテレビに視線を移した。
「私の管轄じゃないので詳しくは分かりませんが、テレビの情報で見る限りこの犯人、無秩序型ですね。行き当たりばったりな犯行。犯人はとにかく頭が悪いです」
ふむ、そうなのだ、この事件、見るからに稚拙な犯行なのだ。だから、私には理解できない部分が多い。
「なら、この事件、レンレンの見解を聞かせて欲しいのだ」
深緑深層のマーダーマーダーがこの事件の犯人像をどう考えているか、少し興味があるのだ。
「う~ん、そうですねぇ。さっきも言いましたが私の管轄じゃないので情報が少なすぎます。なので、今報じられている情報だけで考えると・・・・・・」
なんか、事件後も不審者情報とか色々出てはいるのだ。
「まず連れ去った方法ですが、白い不審な車を見たという目撃情報がありました。ですが、いくら相手が小さい少女で人通りが少ないとはいえ、単独でそうすんなり車に押し込めますかね。その場合考えられるのは、まず顔見知りの犯行、これは無秩序型の行動にも収まります。そして、後は複数犯の可能性。これなら一人が運転しててもそのまま扉を開いてすぐに捕まえられるでしょう。ですが、これは可能性としては低そうです」
ふむふむ、たしかに顔見知りなら言葉巧みにうまく車に乗せるのは簡単そうなのだ。
「後は、犯人の自宅が連れ去った場所からとても近く、徒歩で連れ去った可能性。車なら基本的に免許を持ってる18歳以上から容疑者になりますが、徒歩ならその限りではない」
ほむほむ、車じゃないかもしれないのだ。たしかに、車があれば死体を遠くに遺棄する事もできたはず。
「不審者情報はどうなの、だ? なんか黒い服でどうたら・・・・・・」
「黒い帽子に黒い服、黒いサングラスでしたっけ。見るからに怪しいですね。これ幼児だけの証言なら全く信頼性はありませんが、大人も混じっています。でも、これ、ザ・怪しい人って感じすぎなんですよねぇ。普通、悪い人ほど怪しい格好しないんですよ。空き巣なんかがいい例で、その場所にいてもおかしくない、飛び込み営業風サラリーマンスーツ、工事などの作業服など、その場に溶け込もうとします。なので、もし実在してるならそれは本当に頭おかしい人です」
たしかに、私なんてどう見ても殺人鬼には見えないのだ。
「犯行時刻は午後三時。この時間に犯行ができる者は結構絞られると思うんですよ。定職に就いていないか、もしくは・・・・・・。そして殺人までいかなくとも統計上、子供に対する性犯罪は10代から30代が多く、配偶者か家族と同居しています。学生であったり定職についてる場合も多い。となると、私は案外この犯人、かなり若いような気がします」
イメージ的にはいかにも変態そうなおじさんてのが最初に頭に浮かぶものだが。
「死体を早い段階で、しかも近くに遺棄した。これも何らかの事情があったからでしょう。たとえば、誰かに見つかる可能性が高い、とか」
家族がいたらいつまでも死体を置いておけないのだ。
「でも、あれだ、このテレビに出てる犯罪心理に詳しい専門家は、30代前後の小児愛の男だろうって言ってるのだ」
「ん~、その人、首を絞めて殺害、その後車に轢かせるといった異常な手口って言ってますから、私との見解がそもそも違いますね。その人は殺害が目的で、車に轢かせたのもあえてやったものだと推定してます。遺体を部品化したいという欲求、それを持つのは30代前後だろうと。ですけど、この犯人、そこまで考えてませんよ。部品化するならもっと他の方法あるでしょうし、それを持っておきたいってなら分かりますけど、今回はそうじゃありませんしねぇ。単純に事故に見せかけたとか、死因や身元を隠したかったとかそんな短絡的な思考からでしょう。普通に考えれば無駄だと分かるんですが、ここも頭が悪いからこその発想でしょうかね」
私も部品化をいう考えには同意しかねるのだ。この専門家、猟奇的な知的犯罪者とかいってたが、そうは全く思えない。臆病な小物な印象だ。
「いづれにせよ、この犯人すぐに捕まりますよ。この国の警察はたまに大ポカしますけど、概ね優秀です。もう目星はついてるでしょう。それでも、逮捕が遅れる理由は二つです。決定的な証拠が不足しているか、もしくは犯人側に問題がある場合、これは言わなくてもわかるでしょう」
犯人側の問題、それはあれとあれの場合なのだ。
「てことで、私の思う犯人像は、無秩序型、知的水準は平均以下の若い男性、犯行現場の近くに住んでいる。車は所有してない、でしょうかね」
あくまで今ある情報の中からの推測で、他に有力な手がかりがあるが意図的に隠してる場合もあるのだ。
「ともあれ、今回痛ましい事件が起きてしまいました。こんな時代です、もっと子供達の安全を考慮した方がいいでしょう。人気の無い場所には監視カメラをつけるとか、スクールバスの導入とか、地域ぐるみの見回りなど、もうこんな犠牲者は出て欲しくないですね」
いつも無表情のレンレンに曇りが見えた。
「・・・・・・そろそろ白頭巾、学校が終わる頃なのだ。ちょっと迎えにいってくる、のだ」
「あの子ならたとえ変質者に襲われても返り討ちでしょうに」
レンレンのいう通りだが。
守る側は少し過保護なほうがいい、のだ。
日常と非日常は背中合わせ、いつ自分の周囲に起こっても不思議ではない。
なんか無理矢理更新したので、これ消すかもしれません。




