第20話 ミスリルゴーレム
やらかしたのでダンジョンに進むことにしたプリシラ。魔物はリザード系からゴーレム系が多くなってきて殴り飛ばす機会が多くなった。
(結構硬い?)
(そろそろ身体強化が必要かもしれない)
(でも魔力込めるだけでまだまだいけそうだよ。それに聖拳も使ってないからまだ大丈夫でしょ~)
土のゴーレムから金属製のゴーレムになっていた。土のゴーレムのように木っ端微塵に頭部を吹き飛ばせるわけではないがまだまだ楽に倒せるゴーレムだった。
(さっきいた魔鉄ゴーレムじゃない限りは大丈夫そう)
(う~ん最下層ボスがこの感じだとミスリルっぽいんだよねぇ。ヒヒイロカネとかアダマンタイトじゃなければいいんだけどねぇ)
(あれは硬いからやだ)
(でも関節狙えばいいだけだからね?)
リザードとゴーレムを殴り飛ばしながら突き進むプリシラ。倒しながら進んでいると魔物が途切れた。
(もう全部出た後かな?)
(多分そうだね~。スタンピードが発生してから二時間以上経ってるはずだからそろそろ打ち止めだよ)
(向こうと同じかどうか)
スタンピードは開始してから約二時間から三時間で魔物が打ち止めとなることをプリシラとララベルは知っていた。だがこれは以前いた世界での知識である。地球ではどうなのかはわからなかった。以前いた世界と同じならば最下層ボスがダンジョン前にいるはずだ。
プリシラはダンジョンの場所を確認するために空に飛んだ。辺りを見渡し最下層ボスらしきものが出ていないかを探すと、20メートルはありそうな青いミスリルゴーレムを発見した。
(あれっぽいね~。後ろにでっかいダンジョンの入り口っぽいのも見えるし)
(さっそく倒しに行こう)
そのまま飛行し最下層ボスのミスリルゴーレムの元へと向かう。小高い丘の上に鎮座しているミスリルゴーレム。プリシラが近づくと気づいたのか動き出した。
(意外と速いよ~。油断しないでね~)
(問題ない)
ララベルの予想よりも動きが速いミスリルゴーレム。巨大なミスリルゴーレムの攻撃は当たればタダでは済まないだろうとわかる威力がある。だがプリシラからすれば止まっているも同然。飛行魔法から結界魔法で足場を作る戦いに切り替えるプリシラ。防御と足場を両立しさらに動きの制限も出来る。そして飛行魔法で動くよりこちらの方が速く動けるからだ。どんな武術も地に足を付いていることが前提でプリシラも例外ではない。
まずは試しと言わんばかりに右腕を振り下ろすミスリルゴーレムの右肩を高速移動から拳で殴った。ミスリルゴーレムは多少バランスを崩した。体は凹みはするものの砕くまではいかなった。
(さすがに硬いね)
(問題ない)
スキルの身体強化を発動するプリシラ。それなりに魔力を消費し続けるため燃費が良くない身体強化。そしてレベルが低いときはあまり恩恵がなく不遇とされることもあるスキルだ。だが、プリシラほどの高レベルとステータスになれば絶大な威力を発揮する。
身体強化はステータスの力と敏捷を強化するスキルだ。強化倍率はスキルレベルによって異なる。応用すれば両方のパラメータを上げるのではなく、どちらかに集中させることも可能だ。女性は少し力の数値が低い傾向にある。プリシラの男性Verがいればもっと力の数値が高かったことだろう。
プリシラは基本的に力に身体強化を集中させる。
プリシラ・プリミエール
年齢:24歳
性別:女
種族:エルフ
ジョブ:聖魔拳王
レベル:495
SP:3500/7000
MP:6200/6200(貯蓄分4000/1200)
力:SSS 身体強化にてアップ S→SSS
体力:A
敏捷:SSS
器用:S
魔力:SS
聖力:SSS
運:C
プリシラのステータスに表示されるのは数値ではないためわかりにくいが二段階上がっていた。
再び高速移動から攻撃を繰り出すプリシラ。ミスリルゴーレムはプリシラの速さにまったく対応出来ていないため攻撃を当てるのは容易かった。同じ右肩を殴り飛ばすと轟音が響きバランスを大きく崩し右肩はひしゃげていた。
(でっかいから関節を壊すまではいかなかったね~)
(次は壊す)
(頭攻撃した方が早くない?)
(壊したい)
(好きにしな~)
壊したくなったので右肩を壊すことにしたプリシラ。今度は聖拳術のスキルを使い確実に壊すために聖力を右手とガントレットに込める。そして再び高速移動から右肩を攻撃する。
「聖拳」
光属性の魔力を込めて攻撃するだけの単純なスキル。聖拳術のスキルのうちシンプルで一番使いやすいスキルだ。プリシラほどになるとその威力は絶大だ。
聖拳を受けたミスリルゴーレムの右肩は轟音を響かせ吹き飛んだ。
(満足)
(じゃ~早く倒しちゃおう!)
(わかった)
ミスリルゴーレムは右腕を吹き飛ばされて暴れまわるが高速で動くプリシラには当たらない。同じように今度は頭部を狙う。
「剛雷聖拳」
聖拳術のスキル『聖拳』と雷魔法スキル『ライトニング』を合成させたプリシラの得意技だ。
ミスリルゴーレムの核がどこにあるかわからないため聖拳にライトニングを乗せて一般的に頭にあると言われる制御系を攻撃し、さらにライトニングで内部へのダメージを狙った攻撃だ。
効果は絶大で頭部が吹き飛んだりはしなかったがミスリルゴーレムは挙動がおかしくなった。震えるようにガタガタと音を鳴らしている。しばらくするとミスリルゴーレムの動きがなくなり、前のめりに倒れ込み木々を薙ぎ倒していった。そして少しずつ光の粒子に変わっていった。
(これでスタンピードはお終い)
(まだ出てきたのを全部倒したわけじゃないからね~。といっても私たちはこれで終わりかなぁ。一応ダンジョンの中確認しておこうか)
(うん。何もないとは思うけど一応確認する)
地面に降りてダンジョンの入り口へ向かう。高ランクのダンジョンになるほど入り口は大きい。ここのダンジョンは縦横20メートルある。世界最難関と言われている新宿のダンジョンは縦横30メートルある。
(難易度の高いダンジョンほど入り口は大きいって言うけどね~)
(向こうと同じなら大体予想はつくけど……)
(まだわかんないね~)
ダンジョンの中に入り見渡した。ここは迷宮型で西洋の神殿風のダンジョンとなっていて中はかなり広い。見渡しても魔物がいる気配はないためスタンピードは終わりだろうと判断し外に出た。
外に出て目に入ったのはここのダンジョンを管理していたであろう建物の残骸や、ついさっきの戦闘の爪痕だった。この付近に生存者はいないと判断してプリシラは歩き出した。
(ねえララ。この世界のダンジョン踏破の報酬は覚えてる?)
(ん~? 確か程度によるけど願いを叶えてくれたりするってやつだよね?)
(そう。ミスリルゴーレムが最下層のボスだったとして、私は向こうの世界に帰れると思う?)
(無理だろうね。たかだかあの程度の魔物を倒して帰れるなら苦労しないよ。長く居ることになりそうだね)
プリシラの目的はダンジョンを踏破して報酬の願いで元の世界に帰ることだ。ダンジョンの情報を折笠から聞き研究所の資料で読みどの程度の願いが叶えられたかは知っていた。だがどのくらいの難易度のダンジョンでプリシラの願いが叶うかがわからない。もしかしたら叶わないかもしれない。それでもプリシラは母に会いたいという一心で一縷の望みに賭けることにしている。
(ここの難易度は上から3番目だったはず)
(3番目でこれかぁ。2番目と1番目がどの程度かわからないから一度行ってみないとね)
(それにダンジョンは一人では踏破できない)
(一人で連戦し続けるわけにもいかないしプリの戦闘力でも勝てない魔物がいるかもしれないもんね。じゃあなんとな~くの方向性は決まったね)
(うん。とりあえず遥と合流する)
(まずはいろいろと探したり調べたりするところからだね~)
目標を再確認し、プリシラは来た道を引き返した。




