13話 名前を呼んでよ
大鳳の待機している場所に戻ると大鳳を除いたメンバーはすでに帰ってきていてなにやらテーブルを囲んで盛り上がっているようだった。出発前に「ひと眠り」とつぶやいてぶっ倒れた大鳳はいまだに車内で寝ていた。
「なんの話してるんじゃ?」
「あれ、おかえり~。遅かったね~。今ね、今武器の名前のこと話してたんだよ~」
全然遅くないはずなんだけど。漫画にしたら見開きで終わるくらいには短時間の戦闘だったぞ。こいつら先制ワンパンとかで帰ってきたのか?
「名前、っすか?」
「おん、なんか敵がでっかいロボットでさー。いちいち技名とか叫んでたんよね。なんかいいなーって思って。あ、うちじゃなくてお姉ちゃんがね?」
隣で自分の武器を抱えたまわるがこくこくとうなずく。どうやらほかのチームも今回は巨大ロボット戦だったらしい。
「今回どこも敵さんロボットだったんすね。うちはなんか主人公機?ってやつだったっぽいっすよ。おばあちゃんいわく」
もういちいちめんどいから私の二人称にはつっこまないことにした。私も学ぶんだよ。
「主人公機!? どんなんだったの!? うちたぶんライバルだとおもう!」
「私たちのところはなんかこう、こうすごかったんよ! うん。すごかったんよ」
こういうのが好きな十七夜がくいつき、それにつられたのかなんよが乗っかってきた。無理についてこなくていいのに。年長者なんだから。自分を持ってよなんよさん。
そんでここからめちゃくちゃ話が盛り上がった。
どれくらいかというと途中興奮した十七夜が実演とか言ってその辺更地にしたり、なんよがそれにびっくりして武器振り回したり、気づいたら双子が入れ替わっていてそのうえ妹、いや姉か。わかんないけどたぶん姉が誰かの下着を頭からかぶったりしてた。なんで?
聞いたところ十七夜組のところは赤い機体、なんよ組はうすい緑の機体だったらしい。どっちのグループも先制攻撃されたから名乗りを聞いた直後に全力で遠距離攻撃打って跡形もなく消したのだという。
ひっど。ひどすぎる。即堕ち2コマもいいところだ。先制ワンパンどころではなかった。相手にもし恋人がいたら……とかそういうことは考えなかったのか。人の心……ないんか?
「で、武器の名前は決まっとるんか?」
このままだと朝になりかねないので強制的に話を戻した。
「なんよちゃん以外はね~。私は武器ないし~」
そういうと各々自分の武器を手に持って紹介し始めた。
「ててーん。シュヴァルツキャノン~」
いつかの青狸のようにめぐるがハンドガンを掲げた。ハンドガンって言っても見た目がそうなだけで弾は魔力だし射程も威力も連射速度も、とういか残弾数という概念がないからそもそも銃と言っていいのかわからないのだが。
「ヴァ、ヴァイスショット……」
消え入るような声でそうつぶやくとさっきの会話中ずっと抱えていたボウガンをさらにぎゅっと抱き寄せた。どうやら名前を付けたことによってさらに愛着がわいたようだ。これもボウガンっていうのは見た目がそうなだけで……そっから先はもう言わなくてもわかるだろう。射出される魔力が矢の形になるくらいだ。
「ツインアビゲイルっす~」
佐鳥はさっきの戦闘中につけた名前を気に入っているらしい。両手で2本のナイフをくるくる回す。これは愛沢姉妹の武器とは違って魔力を発射するとかはできないが、その分サイズも小さく小回りが利くうえ魔力をこめれば刀身が実質倍にまで伸びる。それ以外に言うことは特になかった。
「ええっと……なにがいいとおもうんよ?」
ここまでテンポよくきていたがアンカーでこけた。なんよは130センチ代の体躯に見合わない五尺刀を両の手で頭の上に持ち上げたままフリーズしている。
「今候補に何が上がってるんすか?」
「なんよソード、ロングなんよカタナ、あと合法ロリ専用長千歳飴……くらいなんよ」
さいごとんでもない隠語が聞こえたような気がしたがきのせいだと思いたい。確かにどれもパッとしない気がする。というかそもそもその刀って結構有名な妖刀で『乱舞蘭菊』っていうめちゃくちゃかっこいい名前がついていたはずなのだが。
「もう今思いついた単語言ってけばいいんじゃないかの。潜在意識がなんたらーてきなかんじで」
「私ももう考えるの疲れたわー。お姉ちゃんもだよね?」
「ん」
「えっ、じゃあブレードカタナキャリバーにするんよ!」
鞘から刀を抜いて自信満々のなんよ。なんとも言えない表情の3人と爆笑する佐鳥。私も耐えることはできなかった。
今日『乱舞蘭菊』は『ブレードカタナキャリバー』へと生まれ変わりました。
この名前 いいねと君が 言ったなら ちゃんと呼んでよ カタナ記念日




