12話 主人公登場
で、結局今回は佐鳥と組むことになった。他のところは姉と十七夜、妹となんよ。大鳳は車と戦場から離れて待機。今は各グループごとに持ち場について敵が来るのを そこら辺に転がっていた車の中でコーヒーを飲みつつ待っているところだ。
「私の足引っ張んないでくださいね。おばあちゃん」
「のう。今二人しかいないから言うがわし十七夜と一緒で19じゃぜ?全然年取ってないんじゃが」
「しゃべり方っすよ。あとなんかよく意味わかんないこと言うし?」
それは十七夜だって同じだろ。確かに昔のことばっか知ってるが。この国ががれきばっかで高い建物がほとんどなくなった今だって大体の地理ならわかるし。たぶん秋葉原じゃないかここ。十七夜は飯田橋、なんよのところは亀戸とかじゃないかな。
「ていうか敵さんおそいっすね。もう来てもいいころだとは思うんすけどねぇ」
「渋滞にでも巻き込まれとるんじゃろ」
とかなんとか話していたら突然私たちのいるところに空から光線が雨のように降り注いできた。妖力により感覚の研ぎ澄まされている私は気が付いた瞬間車から飛び出た。すぐに車の方を振り返るとそこには土埃が舞っているだけで車は跡形もなかった。
「佐鳥!」
「生きてるっすよ!私のコーヒーカップ以外は!」
土埃が晴れ、反対側から佐鳥の姿が見えた。しぶといな。ていうか先制攻撃ってのはずるくないかな。ちゃんと真正面から来てほしいんだけどな。
見上げると空から太陽光をバックに巨大な物体が私と佐鳥の前にゆっくりとおりてきた。
現れたそれは10mを優に超える巨大な二足歩行ロボットだった。全体が白に塗られ間接に入る青のワンポイントと目にあたる黄色い部分が淡く発光している。手に銃などを持っていない感じさっきの光線は手首とかから出したのだろう。
「主人公機じゃねーかこれ。どっからどう見ても」
「しゅじんこうき?何言ってんすか。またおばあちゃんのアレっすか。」
ここにいるのが十七夜だったら多分この感動を共有できたのに。夢に見た巨大ロボットが目の前に立っていてしかも私たちにビームを撃ってきた。最高すぎて今死ねるぞ。いや死にたくはないが。
「お前たちが魔女か!これ以上俺の仲間は殺させない!俺とこのホワイトバトラーが終わらせる!いくぞ!」
ロボットの中から少年の勇ましい声が聞こえた。ホワイトバトラーって安直だがそれがまた味のある名前でとてもいいと思う。うん。オタクが出てしまっているな。
ホワイトバトラーが右手を振ると手の甲からこれまた青く光るブレードが出現した。
「なんか名前つけてるのかっこよくていいっすね。私もつけようかな」
「おわってからゆっくり考えればいいとおもうぜっ」
私は鉄の巨人に全速力でとびかかった。が、敵はそれを跳んでかわす。私のからぶった拳はそのまま地面を殴りクレーターを一つ作っただけだった。
「ホワイトセイバー!!!」
頭上から声が聞こえたかと思い上を見ると光の刃がもう目の前に迫っていた。
「なに興奮して一人で突っ込んでるんすか。やっぱ私が介護しなきゃダメっすね」
目を開けるとロボットから200mほど離れた場所で佐鳥に抱きかかえられていた。 さっき私がいた場所には大きな一文字に穴が開いていた。
「おばあちゃんはちょっと頭冷やしてるといいっす。ちょっと見てたっすけどあれより私のほうが早いっすからね。貸し1っすよ」
「次は外さない!フルパワーバトラービーム!」
機体の胸部分が開き出合い頭に放たれたのより明らかに強そうな光線が放たれた。
佐鳥はまだ気が付いていない。このままだと佐鳥に抱きかかえられてこいつの顔を見ながら死ぬことになってしまう。とっさに佐鳥を突き飛ばし妖力で私たちを包むようにシールドを展開した。間一髪、あと少し遅かったら二段階右折と天国まで直進するところだった。
「貸しゼロじゃのうこれで」
光線が消えるとここから敵までの地面がまっすぐきれいにえぐり取られていた。
「じゃ終わらせてくるっす。ツインアビゲイル!」
残念そうに舌打ちをすると武器である二本のサバイバルナイフのような短剣を背中につけたホルダーから取り出し目にも止まらない速さで突っ込んでいった。
さっそく名前つけているし。
動かずにシールドを張ったまま戦いを見守っているとどうやら佐鳥がその速度で圧倒しているようで、ホワイトバトラーは自身の強みを発揮できていないようだった。
そしてなんとかセイバーのついた右手、左手、右足と切り落とされついに動かなくなった。
「おつかれじゃぜ~」
頃合いを見てビームの削った跡の上を歩きながら佐鳥のもとへと向かう。佐鳥はナイフを振ってポーズをとっていた。
「どうでしたか私のツインアビゲイルは。必殺のアビゲイルスラッシュは!」
「叫んでたんだったら悪いんじゃが必殺技の名前は全く聞こえんかったぜ。」
あからさまに肩を落とした。こいつも思ったより興奮してたんだな。主にネーミングのほうに。
「で、これどうするっすか」
「とりあえず壊せばいいじゃろ。爆破!移動!爆破!がモットーじゃし~?」
「人乗ってるんすかねー」
「乗ってるじゃろうなー。一応探してみるかの」
搭乗口はすぐに見つかった。額の部分に明らかに開きそうな部分があった。無理やりこじ開けると中には16歳くらいの少年がコックピット的なところに座っていて気を失っているようだった。右の内壁にあるスピーカーからは女の子の声が聞こえる。少年のことを呼んでいるらしい。なに?リア充なん?
『ようすけ!ようすけ聞こえる!?』
「なんかイライラするっすねこういうの。勝ったのこっちなのに負けた気がするっす」
「こいつようすけっていうんか。主人公っぽい名前じゃの」
「あ、彼女さんっすか?人生は右折あり左折ありって言うっすよ。新しい恋、探してくださいね!」
さすがの煽りスキルだ。ほんとひどいと思う。
『え、誰の声?ちょっと!誰かいるんですか!?ようすけは!』
スピーカーから聞こえる声に耳を傾けずコックピットを後にし顔面部分から飛び降りた。
「なんかよ」
「はい」
「ヒーローっぽく終わりたいの」
「ごめんなさいそういう古臭いのわかんないっす」
イライラすんなまじでこいつはよ。私は歩きながら背後にあるロボットの残骸に向
けて光線を乱れ打ちした。やっぱりロボットものの最後は爆発で終わらせないとな。
爆音とともに私たちのすぐ後ろまであたり一面爆炎につつまれた。かっこよくポーズを決める私。急な爆発に驚く佐鳥。
さらばようすけ! さらばホワイトバトラー! がんばれ! 元ようすけの彼女!




