11‐2話 覚醒
「やっぱりさぁ、7時間睡眠で、まともに動けるわけが、ないと、おもうん、だよね。ねぇ?お姉ちゃん」
トーストをかじりながら起きたばかりの愛沢めぐる、妹のほうが姉に話しかけている。それに対して姉のまわるはただうなずくばかり。3人が起き、そのあと1人が起きて、徹夜一人を含む5人でじゃんけんをして双子を起こしに行き、双子が愚痴る。
ここまでが私たちの朝のルーティーンと化していた。
「それじゃ、今日やることだが……」
のんびり食べてる二人をよそにいつの間にかサングラスを付けた大鳳が机に両肘をついて話し始めた。心なしかサングラスが白く光った気がしたけど多分ポーズに引っ張られただけだろう。
「移動!戦闘!移動!っすね」
「いど……俺に言わせろよ。それしか仕事ないんだからさ」
大鳳が言い終わる前に、というか言い始めるより先に佐鳥が口をはさんだ。実際やろことは毎日同じ。移動して敵をぶっ飛ばし、また移動してぶっ飛ばして休む。単純でわかりやすい。
「最初の場所は~?」
「ここからすぐだ。1時間くらいだな。武器の手入れはしっかりしておけよ。特に如月と菊。俺はお前らのやつを直せないからな。」
「わかってるんよ~」
「もちろんじゃぜ~」
食事を終えて食器類を片づけた者からまた各々物を持って荷台に戻る。まず佐鳥が手ぶら、十七夜が5人分の椅子、なんよが調理器具一式そして私が机。いまだにコーヒーをちびちび飲んでいる双子はマグカップを持ってのりこんだ。なんで佐鳥は真っ先に乗り込んだのに手ぶらなんだ。降りるときも何ももっていなかったぞあいつ。
「乗ったな。出発するぞ」
「安全バーを下げて必ず頭を座席の後ろにつけてくださーい。走行中は絶対に手や体
を乗り物の外に出さないでくださーい」
また十七夜が私以外わからないネタを言った。伝わるわけないだろっていうかそもそもお前も舞浜知らないだろちゃんと。みろよ佐鳥を。律儀に壁に頭つけてるせいでがくがくしちゃってるじゃないか。あああああってずっと言ってるし。
引いてるよ? なんよさんマジで引いてるよ?
ってかあれ空気よんで自分もやろうとしてない? ほら! バイブレーション魔法使いが2人に増えた。
「二人とも、別にこいつの言うことまともにきかんでいいぞ。6割位くらい聞きゃ何とかなるでの」
「そそそそそそそっすか。わかったっす。正直立待先輩に脳シェイクされて殺されるのかと思ったっす」
十七夜、爆笑するな。
「ななななななななななななんよ。なんよなんよ。」
菊千代がバグってしまったじゃないか。おい十七夜ツボりすぎだ。
「ねーかなぎ~この生活いつまで続くのかねー。しょーみ最初は楽しかったけどさー。飽きたくね? もう車40分乗ってるけどお尻いたくね? ねぇ、お姉ちゃん」
隣でまわるがうなずく。見た目髪留めの色以外全く一緒だから性格が真逆すぎて逆に助かっている。にしても姉の声聞いたことないかもしれない。言いたいことは全部妹通すし。こっちからのはちゃんと伝わってるし動いてもくれるからいいんだけどさ。
「さ~。敵ぜーーーんぶ倒したら終わるんじゃないかな~」
「いつだしそれって。うちもう7時間しか寝れない生活やだよ。お姉ちゃんもそうだよね」
「ん」
マジでこの双子やる気なさすぎるだろ。
「あ、そうだ。先輩方。今のうちに今回のグループ決めておかないっすか?また前みたいに私一人で大人数相手するの無理っすよ。まぁ私が最強だったからよかったっすけど?」
「は?最強なのはうちだけど。あのとき助けたの誰だったかなぁ?ねえお姉ちゃん」
「僕、あれ、僕」
しゃべった。唐突に。ここで。普段しゃべらないやつがしゃべるとびっくりするわ。
「え~あれやったの私なんだけどな~。一番先に助け入ったの私だったし~?正直私いなかったらいまさゆさゆここいなかったでしょ~」
やっぱ魔力使う人たちは血気盛んで嫌ですねなんよさん。私たち妖術組はこう、雅に生きましょうね。
「でも結局とどめ刺したのは私なんよ」
なんよさん!? はりあわないでなんよさん。
「ったく。わしはあんとき何もやってないから張り合わんぜ。最強なのはわしじゃが。何年生きてると思ってるんじゃ。」
「ははは。おばあちゃんが強いわけないじゃないっすか~。冗談言わないでほしいっす」
佐鳥なに笑ってんだてめぇおいお前表出ろやお前の体を二段階右折してやるからよ。なーにが舞浜だ手も体も乗り物からぶん投げてやる。
「俺さ!結構これ疲れるんだけどさ!静かに決めてくれないかなぁ!あともう」
大鳳の鶴、いや鳳凰の一声で一気に静かになった。さすが隊長。最強はあんただ。
「どうきめるっすか?二人×三っすか?」
「めんどいからそれでいいよもう考えんのめんどいし。お姉ちゃんもそれでいいよね」
「ん」
「じゃあ雑魚に保護者が付くって感じで……まずはおばあちゃんと私っすかね!」
まず降りたらこいつを呪い殺すことにした。




