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今日の描かない君と踊らない僕  作者: 高名なすの
第2章 あの頃の描けない君と踊れない僕
11/17

11‐1話 覚醒

新章スタートです!

ルビミスってたらすいません

「むつきさーん」


 聞き覚えのある声で十七夜かなぎが私のことをよんでいる。


「むつきさんってばーおきてくださいよー」


 起きるわけないだろう。今朝の何時だと思ってるんだ。それに、こっちは昨日ずっ

と動き続けていた上に今こうやってトラックの荷台で気持ちよーくゆられてるんだから。起きようったってそう簡単に起きれるわけがないだろう。


「仕方ないっすよ。立待先輩~。おばあちゃんなんだから声聞こえてるわけないっすよ耳遠いんすから~」


 このうざったい声は佐鳥さとり二段階右折にだんかいうせつだ。鳥二段階()折で左右だからさゆさゆって呼ばれたり呼ばれてなかったり。なんでこんなふざけた名前のやつにバカにされなければいけないのか全く分からない。なんなんだ二段階右折って。どういう神経してたら娘にそんな名前つけようって思うんだよ。このまま寝たいのはやまやまだがこの自転車交通ルールに絡まれると後々めんどうだから起きることにした。


 実際、今だってなんか言ってるし。身長も低いっす~って聞こえた気がする。そこに関しては私とあんま変わらんだろおまえ。


「起きとるがのう。佐鳥、全部聞こえとったでの」


「おい、そこのあんた。やっと目が覚めたか。うぅ~一回言ってみたかったんだよねぇこれ。ナイスタイミングだよむつきさん!」


「なんすかそれ。いつの何のネタなんすかそれ」


 起きるや否や十七夜がめーーーちゃ昔に聞いたことあるようなゲームだったかアニメだったかのセリフを言いながらこっちに向けてグッジョブとでもいうかのように親指を立てた。そんな古いネタ私くらいしかわかる奴いないぞ。


「起きたか如月。まだ寝てるのが3人いるが、ここらでいったん車止めて朝食にでもするか。俺もちょっと疲れた」


 一人運転席でトラックに魔力を供給していた大鳳《大鳳》が車を止めた。ほんとにお疲れ様です。夜通しトラックに魔力を流し続けてたんだから。それにしても車を魔力で動かす時代が来るとは。ガスだ電気だいってた時代はいったいいずこへ。


「いやほんとお疲れ様っす大鳳隊長。うちらにはできないっすわ。ねぇ?立待先輩、旧時代燃料さん」


「おまえわしのこと嫌いじゃろ。それにその旧時代燃料に該当する奴もう一人おるでの」


「あはは~。そうだね~さゆさゆ~。隊長ありがとうね~」


「全然いいんだ。俺はお前らの足元にも及ばんからな。こういうところでサポートするのが俺の役目だ。だから気にするな。」

 

 トラックの荷台から各々机やら椅子やらをおろして設営を始めた。

 

 大鳳が椅子を私が机、十七夜が調理器具一式、佐鳥が手ぶら。なんでだよ。お前年少だろ。しかも寝てたんだから大鳳に持たせるなよ。


「で、何作るんすか?食べ物って何かありましたっけ」


「そうだな、如月見てくてくれるか」


 私は相槌を打ちトラックの2台の奥に積まれた冷蔵庫を開けた。いやほんと魔力っ

て便利だ、妖力とは全然違う。中には……卵が7個と…………以上。嘘だろ。これとは別にパンがあるとはいえ食材がこれだけって。支給されたよくわからんブロック状のぱさぱさは美味しくないっていってこないだ突発的花火大会をした時に燃料にしたし。明日からどうするんだ。なんて考えながら卵を手に取った。7個いっぺんに。


 床に転がってるねぼすけ共を起こさないように慎重に荷台から出ようとしたのだが、卵を一つ床に落としてしまった。と同時にピぃという声というかちっちゃい悲鳴というかが聞こえた。外に出てから荷台のほうに振り替えると低身長黒髪ロングのちんちくりん、千歳ちとせ菊千代きくちよが頭に割れた卵を殻ごとのせて寝ぼけまなこでこっちを見ていた。どうやら卵にはまだ気が付いていないようだった。


「おおお、おはよう」


「んん、おはよう、なんよ」


「いい目覚めじゃったか?」


「ぼちぼちなんよ~」


 菊千代は大きくあくびを一つすると荷台から降りて私と一緒に朝食の戦場に向かった。いや戦場にしたのは卵を一つ無駄にした私なのだが。100%争奪戦が始まる。すまん。


「みんなおはようなんよ~」


 パンを焼いたりコーヒーを入れたりしていた3人が同時に振り返り、そして同時に笑った。菊千代はなぜ笑っているのかわからないというような顔で私のことを見た。私が自分の頭を触ると彼女も自分の頭をさわり、やっと気が付いた。


「如月!なんで黙ってたんよ!っていうか落としたならまず謝るんよ全く!」


「いやほんとにすまん。なんとかなるかとおもったんじゃがなぁ。あぁ、あと大鳳すまん。こういうことで卵が6個になってしまった。」


 横で卵をとろうとわたわたしてる菊千代のことを指さすと大鳳はため息を一つついた。


「そういうときもあるさ。さっさと目玉焼きにしちまおう。立待、パンは焼けたか?佐鳥、お前もちょっとは働け。菊、あっちに川あったぞ」


 そんなんであっという間にトーストが7枚とコーヒーが7杯、目玉焼きが6個がテーブルに並んだ。私たち5人、なぜか髪の濡れた1人を含んだ5人もそれぞれの席に着いた。そして今、恒例イベントが始まろうとしていた。


「ではそろったところで。だれがあの双子を起こすか決めるためにじゃんけんを行う。負けたやつが起こしに行くこと。いいな。いくぞ!じゃんけん!」


 結果はあれかな卵の報いってやつかな。負けたよ。一発で。しかも双子は30分起きなかった。卵はどうなったかって?あいつらが3人で全部食べてたよ。これ以上なく最悪の1日の始まり方だった。

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