彼氏4
【 クッキー作った 】
彼女からこんなメッセージが送られてきた。ご丁寧にアヒルの形をした黄色いクッキーの写真が添付してある。
だからどうしたと言いたくなるこのような文を、彼女は時々送ってくる。とりあえず、
【くれるの?】
と送っておいた。
返信はいつもより速くて、
【 あたしが食べるの。】
と書いてあった。
ほらな、呟いて携帯をベッドの上に投げた。
彼女が謎のメッセージを送ってきた時、俺の返信はだいたい彼女の的を射ない。
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次の日、彼女と登校していると、唐突に袋を渡された。透明の袋の中には昨日見たものと同じクッキーが入っている。
「1人じゃ食べきれなくて余ったの。食べる?」
表情は少しだけ強張っているような。
「おう。」
俺はぶっきらぼうにその袋を受け取った。
「美味しすぎてほっぺた落ちるかも。」
俺の顔を見ずに彼女が言った。
俺は、落ちねーよ、って言いながらセロテープみたいな猫の柄のシールを剥がしてアヒルを食った。そして、一言。
「いつも通り。」
「え、それだけー?」
彼女が口を尖らす。
いつも通り美味いって意味なんだけどそれは言ってやらない。
「じゃあ今度は絶対ほっぺた落ちるくらい美味しいもの作るから」
へらーっと笑って彼女は言った。
結局俺のためになるじゃんよ。と思いながら俺は2つ目のアヒルを口に入れて、テープを貼り直して残りをポケットに入れた。




