彼氏3
最近、彼女は悩んでいる。
悩みの種は十中八九部活だろう。
俺に弱みをあまり見せようとしない彼女は、悩みを打ち明けてくれない。つまり、俺が察しないといけないわけだ。
部活終わりに彼女と並んで歩いていると、何か考え事をしているように俯いている。
どうすっかなぁと考えていると、突然彼女が口を開いた。
「ねえ、」
小さな声だ。
「ん?」
繋いでた手の力を少しだけ強くした。
「あたし、部活、辞めたい…の。」
まあまあ予想通りだ。
「いいんじゃねえの?」
「がっかりとか、しないの?」
彼女は不安そうな上目遣いで聞いてきた。
「なんで?」
質問に質問で返す。いつもなら、「ちゃんと質問に答えて」って笑われるのにな。
「だって、辞めるのは逃げだから。」
悔しそうに唇を噛み締めている。
「逃げてもいいと思うけど。お前さ、ずっと悩んでたじゃん。あんだけ悩んで決めたことは逃げって言葉1つで片付けられねぇだろ」
誰に言われたか知らねぇけど、と小さな声で言った。
誰かに言われた言葉じゃなかったら恥ずかしいけど、きっと部活の友達に言われたとかだろう。
彼女は強そうに見えて、人の言葉に左右されやすいからな。
「……うん。ありがと。」
彼女の右手が俺の左手を握る力が強くなった。柔らかくて小さな手は赤ん坊みたいだ。
「おう。」
「………好き」
唐突すぎる言葉に、頭がついていかなくて。
何十回も脳内再生した後にやっと理解して顔が熱くなった。
「……ちょっ、そいうのは反則っつうか…ったくもう、」
気づいたら彼女を抱きしめていて、頬にするはずのキスは軌道を間違えて首の上ら辺に。
慌てて俺は彼女から離れた。




