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転生したら村人だったので、世界一の村を作ったら大都市になった  作者: レモンティー


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7/13

■第七話 村の特産品が国境を越える

「我々は、あなた方と正式な交易を結びたい」

南の大国から来た商人は。

そう言って一枚の書状を差し出した。

俺は受け取る。

そこには。

アルバ村の商品名が並んでいた。

蜂蜜。

燻製肉。

塩漬け魚。

干し魚。

蝋燭。

革製品。

小麦粉。

乾燥果物。

「……こんなものまで知られているのか」

商人が笑った。

「アルバ村の商品は評判になっています」

「評判?」

「保存性が高く、品質が安定している」

俺は少し考えた。

品質。

これまでは。

村の中で食べるものを作っていた。

だが。

遠くへ売るとなると。

話が変わる。

「なら、品質を揃えないとな」

「品質?」

「ああ」

同じ商品なのに。

作る人によって味が違えば。

商売にならない。

そこで商品ごとに基準を作った。

燻製肉なら。

肉の厚さ。

塩の量。

燻製時間。

乾燥状態。

塩漬け魚なら。

魚の大きさ。

塩の量。

保存方法。

水分量。

蜂蜜なら。

異物が入っていないか。

保存容器は清潔か。

こうして。

アルバ村の商品には。

少しずつ「品質」という考え方が生まれていった。

さらに商品に印を付けることにした。

「アルバ村で作ったものだと分かるようにする」

木箱に。

アルバ村の印を押す。

樽にも押す。

布にも付ける。

「この印が付いていれば、アルバ村の商品だ」

商人が頷いた。

「なるほど」

そして交易が始まった。

南の大国へ。

燻製肉。

塩漬け魚。

蜂蜜。

蝋燭。

革。

乾燥果物。

帰りの船には。

アルバ村では作れない商品が積まれていた。

「何を買ったんです?」

村人が聞く。

「鉄だ」

「鉄?」

「ああ」

工具。

農具。

鍋。

刃物。

さらに「塩も大量に買おう」

海の近くではない地域にも。

塩を売ることができる。

塩は。

食料保存に必要だ。

つまり。

アルバ村の漁業と。

塩作りと。

交易が。

全部つながっている。

俺は思った。

「産業って、こういうことなのか」

一つの仕事だけで終わらない。

農業が。

食品加工につながる。

食品加工が。

商業につながる。

商業が。

運送につながる。

運送が。

造船につながる。

造船が。

鉄や木材の需要を生む。

一つ動けば。

別の仕事が動く。

そして新しい産業が始まった。

「布を作ろう」

「布?」

「羊毛がある」

羊を飼う。

毛を刈る。

洗う。

繊維を整える。

糸にする。

糸を織る。

最初は粗い布だった。

だが。

何度も改良する。

糸を細くする。

織り方を変える。

染料を使う。

すると服が作れるようになった。

「これなら町で売れる」

さらに服だけではない。

毛布。

袋。

作業着。

縄。

様々な商品が生まれた。

そして「革も加工しよう」

狩猟で得た皮。

家畜から得た皮。

なめす。

乾燥させる。

柔らかくする。

靴。

ベルト。

鞄。

手袋。

荷物を固定する革紐。

革職人が生まれた。

「狩猟で肉を取る」

「皮を革にする」

「骨も使う」

「脂も使う」

一頭の動物から。

ほとんど捨てるものがなくなった。

さらに陶器も作り始めた。

「保存容器が足りない」

木樽だけでは足りない。

魚。

肉。

塩。

蜂蜜。

油。

穀物。

保存するものが増えすぎた。

そこで粘土を焼く。

壺。

瓶。

皿。

鍋。

大きな保存容器。

陶器工房ができた。

「これなら食料を長く保存できる」

「割れたら?」

「また作ればいい」

そして陶器には。

容量の目盛りまで付けた。

「これで同じ量を入れられる」

商人たちは喜んだ。

取引で。

「この樽いっぱい」

ではなく。

「この容器十個分」

と量を決められる。

取引が正確になる。

揉め事も減る。

次に。

俺は紙の生産を増やした。

「帳簿が足りない」

人口が増えれば。

記録も増える。

税。

商品。

人員。

土地。

家畜。

農作物。

全部記録する。

そこで紙を作る工房を大きくした。

さらに木版を作った。

文字を彫る。

インクを付ける。

紙を置く。

上から押す。

「……同じ紙が大量に作れる」

最初は。

村の規則を印刷した。

次に。

農業の手引きを作った。

「麦の育て方」

「野菜の保存方法」

「家畜の飼い方」

「病気の予防」

知識を。

一人の頭の中だけに置かない。

紙に残す。

そして村人たちに配る。

「これなら誰でも学べる」

学校でも使われるようになった。

さらに薬草を扱う人間も増えた。

森から。

薬草を採取する。

乾燥させる。

保存する。

種類ごとに分類する。

「これは傷に使う」

「これは腹痛に」

「これは熱が出たときに」

もちろん。

危険なものもある。

だから勝手に使わない。

知識を記録する。

専門家が確認する。

診療所と連携する。

少しずつ。

アルバ村の医療も整っていった。

そして衛生のための新しい商品も生まれた。

石鹸。

油と灰などを使い。

洗浄用の石鹸を作る。

「手を洗う」

「衣服を洗う」

「道具を洗う」

「食器を洗う」

石鹸を使う習慣が広がっていった。

「村長」

診療所の医師が言った。

「以前より病気が広がりにくくなっています」

「それならよかった」

「食料の保存も良くなっています」

「それも重要だ」

「そして……」

医師は村を見渡した。

「人口が増えています」

「……」

俺は黙った。

三十七人。

百人。

二百人。

三百人。

そして五百人。

「五百人……」

人口表を見ながら呟く。

「はい」

記録係が頷いた。

「アルバ村の人口は五百人です」

俺は椅子に座った。

「……増えたな」

老人が隣で笑う。

「最初は三十七人だった」

「ああ」

「お前が村長になったときは、誰もこんなことになるとは思わなかった」

「俺も思ってない」

「では、今後はどうする?」

俺は窓の外を見る。

五百人が暮らしている。

市場。

港。

工房。

学校。

診療所。

宿。

畑。

果樹園。

養蜂場。

塩田。

そして遠くまで伸びる道路。

俺は地図を広げた。

アルバ村の周囲には。

まだ空白がある。

「もっと道路を伸ばす」

「またか」

「港と市場をつなぐ」

「うん」

「農地と倉庫もつなぐ」

「うん」

「それから……」

俺は地図のさらに外を見る。

「新しい町を作る」

老人が固まった。

「……何?」

「人口が五百人を超えた」

「それが?」

「一か所に全部集める必要はない」

住宅。

農業。

工業。

港。

市場。

それぞれを道路でつなぐ。

小さな集落を作る。

そしてそれらをアルバ村の経済圏にする。

「村の外にも人が住む」

「それは……」

老人は遠くを見る。

「村が広がるということか?」

「そうだ」

俺は頷いた。

「アルバ村だけで全部やるんじゃない」

周囲の土地にも。

農村を作る。

漁村を作る。

鉱山の町を作る。

木材を生産する集落を作る。

それぞれが得意なものを作り。

アルバ村を中心に交易する。

俺は地図に線を引いた。

一本。

また一本。

道路が伸びる。

集落がつながる。

市場がつながる。

港がつながる。

そしてアルバ村を中心に。

少しずつ。

大きな経済圏ができ始めた。

老人が呟いた。

「村長……」

「なんだ?」

「それはもう……」

老人は言葉を止めた。

俺は嫌な予感がした。

「なんだよ」

老人は苦笑した。

「いや」

「?」

「何でもない」

そして小さく呟いた。

「……そのうち、王国でも作るんじゃないだろうな」

俺は笑った。

「まさか」

俺は。

ただ。

住みやすい村を作りたかっただけだ。

……本当に。

それだけだった。

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