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転生したら村人だったので、世界一の村を作ったら大都市になった  作者: レモンティー


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4/13

■第四話 村が大きくなるほど、必要なものも増えていく

アルバ村の発展は。

もう止まらなかった。

人が増える。

家が増える。

店が増える。

仕事が増える。

そして仕事が増えれば。

また新しい問題が生まれる。

「村長!」

朝。

俺が家を出た瞬間だった。

「今度は何だ?」

「市場の開店時間を決めてほしいんです」

「開店時間?」

「商人によって来る時間がバラバラで……」

なるほど。

人口が増えると。

今まで適当でも問題なかったことが問題になる。

「じゃあ、鐘を使おう」

村の中心に大きな鐘を設置する。

朝。

鐘が鳴る。

「仕事開始」

昼。

鐘が鳴る。

「昼休み」

夕方。

鐘が鳴る。

「市場終了」

夜。

鐘が鳴る。

「見回り開始」

「時間を決めるんですか?」

「ああ」

「でも、時計がありません」

「……」

そうだった。

この世界には正確な時計が少ない。

なら。

「作ろう」

俺は工房へ向かった。

歯車。

重り。

振り子。

いくつもの部品を組み合わせる。

最初は大きな時計だった。

動く。

止まる。

また調整する。

そしてカチ。

カチ。

カチ。

規則正しい音が鳴り始めた。

「動いてる……」

職人が目を丸くする。

「これで時間を測れる」

村の中央に時計を設置した。

アルバ村では。

時間が共有されるようになった。

「朝八時に市場を開く」

「正午に昼休み」

「夕方五時に市場を閉める」

「工房は六時まで」

仕事の効率が上がった。

そして時間が正確になると。

別の問題が出てきた。

「村長」

商人がやってきた。

「約束の時間に来たのに、荷物を受け取る人がいません」

「……」

俺は思った。

仕事が増えれば。

約束も増える。

口約束だけでは限界がある。

そこで契約書を使うようにした。

「何を、いつ、いくらで売るのか」

紙に書く。

双方が確認する。

名前を書く。

必要なら証人も立てる。

「これなら言った言わないが減る」

商人たちも喜んだ。

だが。

今度は別の問題が出た。

「村長、お金が足りません」

「商売の話か?」

「はい」

商人同士で取引するとき。

大量の商品を毎回現金で交換するのは面倒だった。

そこで俺は村の中で使える預かり証を作った。

「銀行みたいなものですか?」

「そんな感じだ」

村の倉庫に預けた小麦。

蜂蜜。

金属。

その他の商品。

それを記録する。

必要なら証明書を発行する。

「商品そのものを毎回運ばなくても、権利を移せる」

商人たちは驚いた。

「これは便利だ」

商取引が速くなった。

するとさらに商人が集まってきた。

俺は頭を抱えた。

「また人が増えるな……」

だが。

悪いことではなかった。

商人が増えれば。

商品が増える。

商品が増えれば。

職人が増える。

職人が増えれば。

村で作れるものが増える。

そんな循環が生まれていた。

そして農業でも新しい問題が出た。

「村長!」

農民が走ってくる。

「畑の一部で作物が育ちません!」

俺は畑を見る。

同じ土地で同じ作物を作り続けた結果。

土が痩せていた。

「輪作を徹底する」

麦。

豆。

根菜。

休ませる畑。

順番を変える。

さらに「土の状態を記録する」

畑ごとに帳簿を作った。

いつ何を植えたか。

どれくらい収穫したか。

どんな肥料を使ったか。

病気が出たか。

すべて記録する。

「農業も記録するんですか?」

「ああ」

「面倒ですよ」

「面倒だけど、次の年に役立つ」

数年後。

記録は大きな財産になった。

「この土地は豆がよく育つ」

「ここは麦向き」

「ここは水が多いから稲作に使える」

感覚だけだった農業が。

少しずつデータを使った農業へ変わっていった。

そして俺は農具にも改良を加えた。

「これを使ってみてくれ」

新しい道具。

手押し式の除草器。

畑の間を押して歩くと。

雑草だけを削っていく。

「これは楽だ!」

「腰が痛くならない!」

「作業時間も短くなる!」

さらに簡単な脱穀機を作った。

収穫した麦から。

効率よく穀物を取り出せる。

「これまで三人必要だった作業が一人でできるぞ!」

「なら、その二人は別の仕事ができる」

俺は頷いた。

道具が人の仕事を奪う。

そうではない。

人が。

もっと別の仕事をできるようになる。

それが俺の考えだった。

そして医療にも問題があった。

「診療所が混んでいます」

「患者が増えた?」

「はい」

人口が増えれば。

当然、患者も増える。

俺は診療所を拡張した。

診察する場所。

薬を置く場所。

休む場所。

それぞれを分ける。

さらに病気の記録を残す。

「いつから症状が出た?」

「どんな症状?」

「どこに住んでいる?」

「何を食べた?」

「同じ症状の人はいないか?」

病気が集団で発生していないか。

記録から確認する。

そして診療所の近くに手洗い場を増やした。

「病気を治すだけじゃない」

俺は村人たちに説明した。

「病気を広げないことも大切だ」

水。

石鹸。

清潔な道具。

換気。

汚れたものの処理。

少しずつ。

村の衛生環境が整っていった。

すると病気になる人が減った。

村人たちは驚いた。

「薬を増やしたわけでもないのに……」

「環境を変えたんだ」

病気になってから治す。

それだけではない。

病気になりにくい環境を作る。

それもまた。

村を発展させる方法だった。

そしてある日。

俺は村の外へ向かった。

道路を見る。

以前よりずっと広い。

荷車が何台も通っている。

だが。

「……まだ狭いな」

「え?」

隣にいた青年が驚く。

「これでも?」

「ああ」

俺は遠くを見る。

「人が増えれば、荷車も増える」

そこで道路をさらに整備した。

橋を丈夫にする。

道の表面を石で固める。

坂道には排水溝を作る。

急な場所は傾斜を緩くする。

そして距離を測るための標識を立てた。

「アルバ村まで十キロ」

「市場まで二キロ」

「次の宿場まで十五キロ」

村の外から来る人間にも分かりやすくした。

その結果。

商人がさらに増えた。

「アルバ村まで迷わなくなった」

「荷車が通りやすい」

「宿もある」

「食料も買える」

村の周囲に。

小さな宿や店まで生まれ始めた。

俺はそれを見て。

嫌な予感がした。

「……村の外まで発展してないか?」

老人が笑った。

「村長」

「なんだ?」

「もう諦めたらどうだ?」

「何を?」

老人は村を指差した。

「村だと言い張ることを」

俺は黙った。

確かに。

道路。

市場。

工房。

学校。

診療所。

倉庫。

水路。

時計。

商業区域。

住宅区域。

農地。

もう普通の村とは言いにくい。

だが。

「……まだ村だ」

「まだ言うか」

俺は笑った。

そのときだった。

遠くから鐘が鳴った。

カン。

カン。

カン。

俺は振り返る。

「何だ?」

村の入口が騒がしい。

「村長!」

若い男が走ってくる。

「大変です!」

「今度は何だ?」

「南から、大勢の人が来ています!」

「大勢?」

「はい!」

男は息を切らしている。

「百人以上いるかもしれません!」

俺は固まった。

「……百人?」

「はい」

「全員、何の用だ?」

男は答えた。

「アルバ村に住みたいそうです」

俺は空を見上げた。

人口百人。

それが。

一気に二百人になろうとしていた。

そして俺は。

初めて思った。

「……本当に、村のままで大丈夫なのか?」

アルバ村は。

次の段階へ進もうとしていた。

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