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転生したら村人だったので、世界一の村を作ったら大都市になった  作者: レモンティー


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3/13

■第三話 村長になった俺、次々と問題を解決する

「ここまでやったら……もう普通の村じゃない」

老人の言葉に、俺は村を見渡した。

「そうかな?」

「そうだよ」

老人は呆れたように言った。

「昔のアルバ村を覚えているか?」

「もちろん」

人口三十七人。

家は少ない。

道は泥だらけ。

作物を育てても、収穫したものを保存する場所が足りない。

病気になれば、ただ祈るしかない。

それが。

今ではどうだ。

道は整っている。

倉庫には食料がある。

市場には商人が来る。

工房では鍛冶屋や木工職人が働いている。

水車が回り。

風車が動く。

学校では子供たちが文字を学んでいる。

診療所まである。

俺は頭を掻いた。

「……確かに、昔とは違うな」

「だろう?」

老人が笑う。

「村長、お前はいったい何を目指しているんだ?」

俺は少し考えた。

何を目指している?

最初はただ。

住みやすい村にしたかった。

病気になりにくく。

食べ物に困らず。

雨が降っても道を歩けて。

冬になっても食料がある。

それだけだった。

「……普通に暮らせる村かな」

「普通?」

「ああ」

俺は笑った。

「普通に飯が食えて、普通に働けて、普通に家族と暮らせる村」

老人は黙った。

そして「それを作るために、ここまでやったのか」

「結果的に」

老人は大きく息を吐いた。

「……恐ろしい村長だ」

「なんでだよ」

そんな会話をしていると。

村の入口から声が聞こえてきた。

「すみません!」

一人の男が走ってくる。

「村長!」

「どうした?」

「町から人が来ています!」

「商人か?」

「違います」

男は息を切らしながら答えた。

「この村に住みたいと言っています」

「……住みたい?」

「はい」

俺は村の入口へ向かった。

そこには。

数人の家族が立っていた。

荷物を抱えている。

子供もいる。

老人もいる。

一番前に立っていた男が、俺を見ると頭を下げた。

「ここがアルバ村ですか?」

「そうです」

「本当に、ここで暮らしてもいいのでしょうか?」

「理由を聞いても?」

男は少し迷った。

そして「故郷では、作物が取れなくなりました」

「……」

「雨が少なく、食料が足りません」

男は子供たちを見る。

「仕事もありません」

「それで?」

「この村には、仕事があると聞きました」

俺は周囲を見る。

確かに。

鍛冶屋がある。

木工所がある。

農地もある。

市場もある。

人手はいくらあっても足りない。

「何ができますか?」

「農業をしていました」

「なら、畑で働けます」

「……本当に?」

「ああ」

男の顔が明るくなった。

「ありがとうございます!」

その後ろから。

別の女性が口を開いた。

「私は縫い物ができます」

「それなら服を作ってもらえると助かる」

「子供の面倒を見ることもできます」

「学校の手伝いをお願いできる」

一人。

また一人。

村で働ける人間が増えていく。

俺は思った。

人が増える。

仕事が増える。

仕事が増えれば。

商品が増える。

商品が増えれば。

商人が増える。

商人が増えれば。

さらに人が来る。

これは。

良い循環なのかもしれない。

それから数日。

さらに人が来た。

また数日。

また人が来た。

村人たちは最初こそ驚いていた。

だが。

次第に慣れていった。

「新しい人が来たぞ」

「どこからだ?」

「南の村らしい」

「農業ができるなら畑を任せよう」

「鍛冶ができる人もいるらしいぞ」

「それなら工房だ」

アルバ村では。

人が来るたびに。

新しい仕事が生まれた。

そして人口は。

三十七人から五十人へ。

五十人から七十人へ。

七十人から百人へ。

百人を超えたころ。

俺はさすがに驚いた。

「……百人?」

人口表を見ながら呟く。

「はい」

村の記録を担当している青年が答えた。

「百人です」

「本当に?」

「本当です」

俺はもう一度数え直した。

百人。

三十七人だった村が。

百人になった。

「……増えすぎじゃないか?」

青年が笑う。

「村長が村を住みやすくしたからですよ」

「俺のせいか?」

「はい」

即答だった。

「……」

俺は何も言えなかった。

しかし百人になったことで、新しい問題も出てきた。

家が足りない。

畑が足りない。

倉庫も足りない。

道も狭い。

水場も混雑する。

そして俺は村の中央に立った。

周囲を見渡す。

「……そろそろ考えないとな」

「何をです?」

「村の形を」

「村の形?」

「ああ」

今までは。

必要になったものを、その場その場で作ってきた。

便所。

道路。

倉庫。

工房。

学校。

診療所。

市場。

だが。

人口が百人を超えた。

これからさらに人が増えるなら。

同じやり方では限界が来る。

俺は地面に棒で線を引いた。

「ここを住宅地」

次に。

「こっちは商業区域」

さらに「ここは工房」

そして「畑はこの外側」

最後に。

「倉庫は市場の近く」

村人たちが集まってくる。

「村長、何をしているんだ?」

「村の未来を考えている」

俺は地面に描いた線を見る。

今まで。

アルバ村は、ただ大きくなってきた。

これからは。

大きくなることを前提に作らなければならない。

俺は立ち上がった。

「家を建てる場所も決める」

「道も最初から広くする」

「水路も将来増やせるようにする」

村人たちが顔を見合わせる。

そして誰かが言った。

「……村長」

「なんだ?」

「それって……」

「?」

「町を作るってことじゃないのか?」

俺は黙った。

地面を見る。

住宅。

商業。

工房。

農地。

倉庫。

道路。

水路。

頭の中で。

一つの大きな街の形が浮かんだ。

「……いや」

俺は首を振った。

「まだ村だ」

村人たちが苦笑する。

だが。

誰も否定しなかった。

なぜなら。

アルバ村は今。

確実に。

次の段階へ進み始めていた。

そしてその直後だった。

「村長!」

遠くから、また声が飛んできた。

俺は振り返る。

「今度は何だ?」

走ってきたのは、農民だった。

「畑の水が足りません!」

「……」

俺は空を見上げた。

晴れている。

雨が降っていない。

人口が増えれば。

当然、畑も増える。

畑が増えれば。

必要な水も増える。

「分かった」

俺は地面に描いた村の図を見る。

「水路を増やそう」

「また作るんですか?」

「ああ」

だが。

今回は、今までとは違う。

ただ水路を一本増やすだけではない。

「将来のために、大きな水路を作る」

村人たちが集まってきた。

俺は地図を広げた。

川。

畑。

住宅。

工房。

市場。

すべてを線で結ぶ。

「川からここまで水を引く」

「ここで分岐させる」

「こっちは農業用」

「こっちは生活用」

「雨が多いときは、この水路から川へ戻す」

村人が目を丸くする。

「水を流すだけじゃなく、戻すのか?」

「そうだ」

「そんなことできるのか?」

「やってみる」

こうして。

アルバ村では大規模な水路工事が始まった。

土を掘る。

石を並べる。

木で水門を作る。

流れを調整する。

最初は何度も失敗した。

水が溢れた。

土手が崩れた。

水が思った方向に流れなかった。

「村長!」

「今度は何だ?」

「水が逆流しています!」

「……水門を閉めろ!」

慌てて調整する。

何度も修正する。

そしてようやく。

水が流れた。

川から引かれた水が。

ゆっくりと水路を進んでいく。

畑へ。

畑から別の水路へ。

そして余った水は川へ戻る。

「……流れた」

農民が呟いた。

「これで畑が増やせる」

「ああ」

俺は頷いた。

だが。

そのとき。

別の村人が叫んだ。

「村長!」

「今度は何だ?」

「水車が止まりました!」

「……」

俺は空を見上げた。

そして思わず笑った。

「次は水車か」

問題は。

一つ解決するとまた一つ現れる。

だが。

それでいい。

村が大きくなっている証拠だからだ。

「水車を改良する」

俺は工房へ向かった。

「もっと少ない水でも回せるようにする」

「そんなことが?」

「やるんだ」

水車の羽根を改良する。

角度を変える。

軸を強くする。

歯車を組み合わせる。

すると以前より少ない水でも。

水車が回り始めた。

「回った!」

「しかも前より速い!」

水車の回転は。

穀物を挽くだけではなくなった。

木材を加工する。

水を汲み上げる。

簡単な機械を動かす。

「水って便利だな」

村人が呟く。

「だから使えるものは全部使う」

俺は笑った。

そして今度は風車にも手を入れた。

風の弱い日でも回りやすいように羽根を改良する。

風車から動力を取り出す。

粉ひきに使う。

水を汲み上げる。

少しずつ。

アルバ村には。

人間の力だけに頼らない仕組みが増えていった。

だが。

発展には別の問題もある。

「村長!」

今度は商人だった。

「市場が狭すぎます!」

「……市場も?」

「商人が増えています!」

俺は市場を見る。

確かに。

店が増えている。

人も増えている。

荷車も増えている。

「なら市場を広げる」

市場を拡張する。

屋根を付ける。

雨の日でも商売できるようにする。

商品の種類ごとに場所を分ける。

食料。

布。

木製品。

金属製品。

日用品。

そして商人が増えると。

「道が混雑しています!」

今度は道路だった。

「荷車がぶつかりそうになります!」

「……」

俺は道路を見る。

確かに狭い。

そこで人が歩く道と。

荷車が通る道を分けることにした。

「この道は人用」

「こっちは荷車用」

「交差する場所には広い場所を作る」

さらに道幅を広げた。

「村長」

老人が道路を見ながら言う。

「この道……ずいぶん広くないか?」

「ああ」

「こんなに必要か?」

俺は答えた。

「今はな」

そして村の入口を見る。

「でも、百人が二百人になったら?」

老人が黙る。

「五百人になったら?」

さらに黙る。

俺は笑った。

「最初から作っておけばいい」

こうして。

アルバ村では。

未来の人口まで考えた道路が作られていった。

さらに雨が降ったときの排水も整備した。

道路の両側に側溝を作る。

低い土地には排水路を通す。

「これで大雨が降っても水が溜まりにくい」

そしてまた一つ。

村の問題が減った。

だが。

俺にはまだ気になることがあった。

ゴミだった。

人口が増えれば。

当然ゴミも増える。

「食べ物の残り」

「壊れた道具」

「木くず」

「灰」

村のあちこちに放置されれば。

臭い。

虫。

病気。

火事。

いろいろな問題につながる。

そこで俺はゴミを分別することにした。

燃やせるもの。

再利用できるもの。

堆肥にできるもの。

燃やしてはいけないもの。

「面倒じゃないか?」

「最初はな」

だが。

木くずは燃料になる。

生ゴミは堆肥になる。

金属は再利用できる。

壊れた道具も修理できる。

「捨てる前に、使い道を考える」

これが村の新しい習慣になった。

そしてアルバ村は。

また少しだけ綺麗になった。

ある日の夕方。

俺は村を歩いていた。

水路が流れている。

道には人がいる。

市場では商人が声を上げている。

工房からは金属を叩く音。

学校からは子供たちの声。

畑では農民が働いている。

風車が回っている。

水車も回っている。

そして村の入口には。

今日も新しい人間が立っていた。

「ここがアルバ村ですか?」

「そうです」

「仕事を探しているのですが……」

俺は苦笑した。

「何ができますか?」

男は答えた。

「大工です」

俺は村を見る。

建設中の家。

新しい倉庫。

拡張中の市場。

修理が必要な道路。

仕事はいくらでもあった。

「歓迎する」

男が頭を下げた。

「ありがとうございます!」

俺は歩きながら考えた。

三十七人だった。

それが百人になった。

そしてまだ増えている。

人が増える。

問題が増える。

問題が増えるたび。

新しい仕組みを作る。

新しい道具を作る。

新しい仕事が生まれる。

そしてまた人が集まる。

「……これ」

俺は足を止めた。

「もしかして、止まらないんじゃないか?」

アルバ村の発展は。

もう。

俺一人が止めようと思って止められるものではなくなっていた。

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