第44話「空中要塞に『ロウリュ式本格サウナ』と『カプセル型仮眠室』を錬成。〜極限まで『ととのった』後の特製フルーツ牛乳と爆睡が最高すぎる〜」
超高火力の魔力コンロで作った大衆中華を、家族全員で限界まで腹に詰め込んだ翌日。
美味しいものを満腹まで食べるのは最高の幸せだが、少しだけ胃と体が重い。
「よし。今日は体の中に溜まったものを全部出して、限界までリラックスする『ととのい』の一日にしよう」
「ととのい、ですか? また何か美味しいものを作るんですか?」
クレアが首を傾げる。
「いや、今日は食事じゃなくて『施設』だ。ちょっとテラスの端にサウナ小屋を建てるぞ」
俺は【土魔法・構造拡張】を発動し、テラスに窓のない頑丈な木組みの小屋を錬成した。木材には、香りの良いヒノキ(に似た香木)を使用している。
小屋の中には段差のあるベンチを作り、中央には耐火レンガで囲った炉を設置。そこに特大の『火の魔石』と、熱を蓄える性質を持つ『サウナストーン(黒曜石)』を山盛りに積み上げた。
「そして、この熱した石に水をかけると……」
ジュワァァァァァッ!!
石に水が触れた瞬間、爆発的な勢いで高温の水蒸気が発生し、小屋の中に充満する。
いわゆる『ロウリュ』だ。瞬く間に室内の温度は90度を超え、ヒノキの良い香りが広がる。
「おおおっ! なんじゃこの熱気は! 息をするだけで鼻の奥が熱いわい!」
「ガンダル、サウナはここからが本番だぞ」
俺とガンダル(男衆)は、腰にタオルを巻いた状態でサウナ室の上段に座り、ダラダラと滝のように汗を流した。毛穴という毛穴から、昨日のニンニクとラードの重さが抜けていく感覚がたまらない。
限界まで体が温まったところで小屋を出て、氷の魔石でキンキンに冷やした『水風呂』へと肩まで浸かる。
「ふぉぉぉっ!? 冷たいっ! だが……この温度差が不思議とクセになるのう!」
熱された体が急速に冷やされ、血管が引き締まる。
そして水風呂を出て、雲海を見下ろすテラスのデッキチェアに深々と腰を下ろした。
心臓の鼓動がドクドクと響き、視界の端がフワァッと白く滲む。血流が全身を巡り、脳内に強烈な快感が押し寄せてくる。
「……ととのったぁ……」
「ガハハッ! レン様、これはいかん! 体が羽のように軽くなって、空に溶けてしまいそうじゃわい!」
俺とガンダルは完全に脱力し、だらしなく天を仰いでいた。
◆ ◆ ◆
「お兄ちゃん、おじいちゃん……すっごく気持ちよさそうなお顔してるね」
「ふふっ、本当に。私たちもぬるめのお風呂でさっぱりしましたし、なんだか眠くなってきちゃいました」
そこへ、別室で軽く汗を流してきたシロとクレアが合流した。
「サウナの後は、やっぱりこれだな」
俺はあらかじめ冷蔵庫で冷やしておいた、Aランク魔獣アウム・カウのミルクに南国フルーツの果汁をたっぷり混ぜた『特製フルーツ牛乳』を取り出した。
全員で腰に手を当て、一気に喉に流し込む。
「んぐっ、んぐっ……ぷはぁぁぁっ! 甘くて冷たくて、すっごく美味しいーっ!」
シロのシッポがブルンブルンとご機嫌に揺れる。
「さて、体もリフレッシュしたし、最後は『完璧な昼寝』で締めるぞ。こっちに来てくれ」
俺が案内したのは、要塞の奥に新しく錬成した薄暗い部屋だ。
壁には、人間が一人すっぽりと入れるサイズの「長方形の穴」が上下二段になってズラリと並んでいる。
「わぁ……壁に小さな小部屋がいっぱいあるよ?」
「前世の『カプセルホテル』を再現してみた。要塞の広大な部屋もいいが、人間、たまにはこういう『狭くて暗い場所』の方が圧倒的に落ち着く時があるんだ」
カプセルの中は完全防音。マットレスにはスライムの弾力を応用した超低反発素材を敷き詰めている。
シロが興味津々でカプセルの中に潜り込むと、すぐに「……ふぁぁ……おやすみなさーい……」と、幸せそうな寝息が聞こえてきた。
「確かに……この適度な狭さと暗さ、お母様のお腹の中にいるみたいで、不思議と安心しますね……」
クレアも下の段のカプセルに入り、すぐに夢の中へと落ちていった。
俺も自分のカプセルに潜り込み、完璧な静寂と暗闇の中で目を閉じる。
究極のサウナからの、閉鎖空間での絶対的な昼寝。
何者にも邪魔されない俺たちのスローライフは、今日も最高に平和な時間を刻んでいくのだった。
お読みいただきありがとうございます!
「サウナでととのい、カプセルホテルで爆睡する」
今回は極限の癒やしとリラックス回でした!
広大な要塞に住んでいるのに、あえて狭くて暗いカプセル型の仮眠室を作る。この「わかってる感」がスローライフの醍醐味ですね(笑)。フルーツ牛乳も最高です。
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