第40話「要塞に『超巨大ホームシアター』を錬成して映画鑑賞。〜Aランク魔牛のバターで作った極上キャラメルポップコーンが止まらない〜」
迷宮都市のゴミ問題を『自動分別AIゴーレム』で解決し、莫大な特別報酬と高純度のリサイクル魔石を手に入れた俺たちは、意気揚々と空中要塞へ帰還した。
「ふぅ、やっぱり我が家が一番だな」
「はいっ! 今回もレン様の魔法、本当にすごかったです!」
リビングのフカフカなソファにダイブすると、クレアが淹れてくれた紅茶の良い香りが漂ってくる。
衣食住はすでに王侯貴族すら凌駕するレベルで満たされている。だが、スローライフにおいて「娯楽」の追求に終わりはない。
「よし。せっかく高純度の光と音の魔石が手に入ったんだ。今日はこの要塞に『最高の遊び場』を作ろう」
「遊び場、ですか? お兄ちゃん、何を作るの?」
シロが狐の耳をピコピコと動かしながら覗き込んでくる。
「映画館だよ。ガンダル、ちょっとリビングの壁をぶち抜いて部屋を拡張するぞ」
俺は【土魔法・構造拡張】を発動し、リビングの奥に窓のない広大な暗室を錬成した。
壁一面には、石英を極限まで滑らかに磨き上げた「200インチの巨大純白スクリーン」。
座席には、人間をダメにするレベルで深く沈み込むリクライニングソファを並べる。
そして天井と四隅には、音の魔石を組み込んだ「立体音響スピーカー」を設置した。
「あとは映写機だな」
高純度の光の魔石に、迷宮都市の露店で買っておいた『有名な劇団の演劇を録画した記録水晶』をセットする。俺の理系知識(レンズの屈折率と光の直進性)を応用し、映像を4K画質並みに鮮明にスクリーンへ投影する仕組みだ。
「よし、ハードは完成だ。だが、映画を見るなら絶対に欠かせない『相棒』がある」
「相棒、ですか……?」
首を傾げるクレアたちを前に、俺はキッチンへと向かった。
亜空間収納から取り出したのは、乾燥させたトウモロコシの粒。これを鉄鍋に入れ、蓋をして火魔法で加熱する。
ポンッ! ポポポポンッ!!
「ひゃうっ!? お、お鍋の中で何かが弾けてるよ!?」
シロがびっくりして俺の背中に隠れる。
「大丈夫だ。これが弾け終わったら、ここにAランク魔牛の極上バターと、砂糖を煮詰めたキャラメルソースを絡める。……よし、完成だ」
甘く香ばしい匂いが弾ける『特製・極上キャラメルポップコーン』と、氷の魔石でキンキンに冷やしたコーラ(似の炭酸果汁ジュース)を人数分用意し、俺たちはシアタールームのソファに深く腰を下ろした。
「それじゃあ、上映開始だ」
俺が指を鳴らして部屋の明かりを消すと、巨大なスクリーンに光が放たれた。
『おお、愛しき人よ! 我が剣にかけて、この国を守り抜こう!』
「きゃあっ!? か、壁の中に人間が! 剣を振っています!」
「す、すごいですレン様! 声が……声が部屋のあちこちから聞こえてきます!」
「なんという臨場感じゃ……! まるでワシらも戦場にいるみたいじゃわい!」
初めて見る「映画」という娯楽、そして腹の底に響くサラウンド音響に、三人とも完全に度肝を抜かれていた。
しかし、数分もすると映像の物語に引き込まれ、スクリーンから目が離せなくなっていく。
「サクサク……あむあむ……っ」
「シロちゃん、このお菓子、甘くてサクサクしてて……手が止まりませんね」
「うんっ! キャラメルの味がすっごく美味しくて、ジュースとぴったりだよぉ!」
シロとクレアは、ポップコーンを頬張りながら映画の世界に夢中になっていた。
シロのモフモフのシッポは、主人公がピンチになるとシュンと垂れ下がり、敵を倒すとブルンブルンと元気に揺れるので、見ているこっちまで楽しくなってくる。
「(……最高だな)」
俺はふかふかのソファに沈み込み、冷たい炭酸を喉に流し込んだ。
右には俺の手作りの服を着てはしゃぐ可愛い妹。左にはポップコーンを幸せそうに食べる美しい婚約者。
誰も俺を虐げない。誰も俺に無理な労働を強いない。
俺の土魔法(理系チート)が作り出したこの空中要塞は、間違いなく世界で一番楽しくて、最高に快適な天国だった。
お読みいただきありがとうございます!
「映画館がないなら、要塞に作ればいいじゃない」
というわけで、リサイクルで得た高純度素材を使って超巨大ホームシアターを作ってしまいました!
映画のお供はもちろん、Aランク魔牛のバターを贅沢に使ったキャラメルポップコーン。
サクサクとまらない無限のループです(笑)。
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引き続き、よろしくお願いいたします!
▼次回予告
空中要塞の生活もいよいよ夏本番!
暑さを吹き飛ばすために、レンが要塞の屋上に「超巨大な流れるプール(ウォーターパーク)」を錬成!?
クレアとシロちゃんの可愛い水着姿(2回目)と、冷たい絶品かき氷が登場する、真夏のリゾート回です!




