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第34話「要塞の庭を拡張して『天空の牧場』を作った。〜Sランク魔牛の絞りたてミルクで極上チーズを作ったら、ほっぺたが落ちた〜」

王女が帰り、俺を追放したグランツ王国との因縁は完全に断ち切られた。

これでもう、俺のスローライフを邪魔する者は(精神的な意味でも)この世界のどこにもいない。


「さて、今日は何を作ろうか」


翌朝。俺がテラスで伸びをしていると、キッチンからクレアがひょっこりと顔を出した。


「レン様、おはようございます! あの……朝食のパンケーキなのですが、少しパサパサしてしまって……。元の王国で食べていた『バター』があれば、もっと美味しくなると思うのですが」

「バターか。確かに、今の俺たちの食生活に足りないのは『乳製品ミルク・バター・チーズ』だな」


いくら俺の土魔法でも、命そのものの産物であるミルクを無から錬成することはできない。

なら、どうするか。答えは簡単だ。


「よしクレア。要塞の庭に『牧場』を作ろう」

「ぼくじょう、ですか!?」


俺はテラスの端に立ち、眼下に広がる大地……ではなく、空中に浮かぶ要塞の岩盤に魔力を流し込んだ。


「【土魔法・構造拡張ビルド・アップ】」


ゴゴゴゴ……!

要塞の土台がさらに広がり、テラスの奥に東京ドーム一個分ほどの巨大な「平地」が形成される。さらに俺は、あらかじめ採取しておいた牧草の種を蒔き、【土壌改良】と【成長促進】の魔法で一気に青々とした大草原を作り上げた。周りには頑丈な石の柵も錬成しておく。


「うわぁぁっ……! お空の上に、緑いっぱいの草原ができました!」

「器は完成だ。あとは肝心の『牛』だが……ちょっと下(地上)で捕まえてくる」


俺はキャンピングカーに乗り込み、数十分ほど地上の平野を探索した。

そして見つけてきたのが、Aランク魔獣『豊穣の神牛アウム・カウ』だ。

体長は普通の牛の3倍。黄金の毛並みを持ち、その突進は城壁を粉砕すると言われる狂暴な魔獣である。


『モォォォォォォッ!!』


「よしよし、大人しくしろ」

俺はキャンピングカーから降りるなり、土魔法で錬成した「超重量のチタンの首輪」をアウム・カウにスポッとはめた。圧倒的な重量と磁力制御の前に、Aランク魔獣は一瞬で「キャンッ」と大人しい仔犬のようになった。


要塞の牧場エリアに神牛を放ち、さっそく乳搾りを行う。

魔獣とはいえ、構造は牛と同じだ。バケツいっぱいに絞られた黄金色のミルクは、ほんのりと甘い香りを漂わせている。


「よし、まずはバターだ。クレア、このミルクの入った容器を思いっきり振ってくれ。ガンダルの洗濯機(遠心分離)を使ってもいいぞ」

「はいっ! お任せください!」


クレアがミルクを分離させている間、俺は「チーズ」作りに取り掛かる。

チーズに必要なのは、ミルクを固める酵素レンネットと塩、そして発酵だ。酵素は先ほどアウム・カウの胃液(の一部)から抽出・精製済みである。


「土魔法の本質は、温度と環境のコントロールだ」


俺は石造りの「発酵室」を錬成し、内部の温度と湿度をチーズの発酵に最適な状態に固定した。さらに【時間加速】の概念(土中の微生物の活動サイクルを極限まで早める理系チート)を付与し、本来なら数ヶ月かかる熟成を数分で終わらせる。


「レン様! バター、できました!」

「こっちも極上のチーズが完成したぞ」


俺たちはテラスのテーブルに、焼き立てのパンケーキと、完成したばかりの黄金色のバターを乗せた。

さらに、ガンダルの打ったチタン製の鉄板で、先ほど作ったばかりのチーズをトロトロに溶かし、薄く伸ばしたパン生地ピザに乗せて焼き上げる。


「さあ、実食だ」


クレアがバターを塗ったパンケーキを一口かじり、直後、その大きな瞳からポロポロと涙をこぼした。


「〜〜〜っ! なんですかこれ!? まろやかで、コクがあって、王城で食べていた最高級バターの何十倍も美味しいですぅぅ!」

「Aランク魔獣のミルクだからな。栄養価も旨味も段違いだ。こっちの『神牛のクワトロチーズピザ』も食ってみろ」


熱々のピザを持ち上げると、トロトロのチーズがどこまでも伸びる。

口に入れると、濃厚なチーズの塩味と香りが爆発し、Sランク魔獣の肉にも引けを取らないほどの多幸感が脳を突き抜けた。


「ふはぁぁ……! チーズが、チーズがとろけますぅ! レン様、私、また一つ幸せの限界を突破してしまいました!」


美味しい食事に勝る平和はない。

牧場という新たな自給自足システムを手に入れた俺たちのスローライフは、もはや神の領域すら超えた「究極の快適さ」へと突入していくのだった。

お読みいただきありがとうございます!


「乳製品が足りない? なら牧場ごと作ればいいじゃない」

というわけで、要塞の庭に天空の牧場が完成しました!

Aランク魔獣の黄金ミルクで作ったバターとチーズ、想像しただけでお腹が空いてきますね(笑)。


【★読者の皆様へ特大のお願い★】

現在、本作は「小説家になろう」で開催中の大型コンテスト

『第2回BK小説大賞』および『第1回ブシロードワークス小説大賞』にエントリーしております!


「チーズとろとろで美味しそう!」「スローライフ最高!」と少しでも楽しんでいただけましたら、


どうか、ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけないでしょうか!

(あわせてブックマーク登録もしていただけると、コンテストを戦う最強の武器になります!)


皆様のポチッという応援が、本作を次のステージ(書籍化)へ押し上げる最大の力です。

引き続き、レンたちの快適すぎる日常を見守っていただければ幸いです!


▼次回予告

牧場が完成し、ついに「自給自足」の完全体を迎えた空中要塞。

しかし、神牛のミルクを狙って、空の彼方から「とんでもない客(モフモフ?)」が匂いにつられてやってきます。

次回、新ヒロイン(ペット枠?)登場です!

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