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第33話「国を救ってと泣きついてきた王女に、ドラゴンのステーキを食わせて帰した。〜あまりの格差に、王女も『うちの国終わってますね』と悟った件〜」

ドラム式洗濯乾燥機でフカフカになったシーツで爆睡していた翌日の昼下がり。

空中要塞の防犯システムが、来客を告げるアラームを鳴らした。


テラスに出てみると、ボロボロの飛竜ワイバーンに乗った一人の少女が、フラフラと不時着してくるところだった。

煤にまみれ、ドレスは破れ、髪もボサボサだが、その顔には見覚えがある。俺を追放したグランツ王国の、第一王女・エリーゼだ。彼女は王族の中で唯一、俺の土魔法を馬鹿にせず「無理をしないでね」と声をかけてくれた恩人でもあった。


「レン……! ああ、生きていたのね! 探したわ……っ!」

エリーゼ王女は俺の顔を見るなり、テラスにへたり込んでボロボロと泣き出した。


「どうしたんだ、そんな泥だらけで」

「国が、グランツ王国が滅びかけているの……! 城門の防壁は崩れ、魔物が市街地に溢れかえって……。お願い、お父様(国王)の非礼は私が土下座して謝るわ! だからあなたの規格外の土魔法で、もう一度防壁を直して――」


「まあまあ、立ち話もなんだし。お姫様がそんな泥だらけじゃ格好つかないだろ。とりあえず風呂に入ってきなよ」

「え? ふ、お風呂……?」


俺はクレアに指示して、エリーゼ王女を例の『絶景露天風呂』へと案内させた。


◆ ◆ ◆


一時間後。

要塞の冷暖房が効いた快適なリビングに、エリーゼ王女が呆然とした顔で座っていた。


「……信じられない。雲海を見下ろす岩風呂に、肌がスベスベになるお湯……。それにこの服、さっきまで泥だらけだった私のドレスなのに、なんでこんなにフカフカで、お日様のいい匂いがするの……?」


「うちのドワーフが作った『全自動洗濯乾燥機』のおかげだな。ほら、飯もできたぞ」


俺はテーブルに、昨日仕留めたAランク魔獣『フレア・ドラゴン』の厚切りステーキと、炊きたての白米、そしてキンキンに冷えたトロピカルジュースを並べた。チタン合金のグリルで焼いた肉からは、暴力的なまでに食欲をそそる香りが立ち上っている。


「ど、ドラゴン!? しかもこのお肉、口の中で溶けた!? 美味しい、美味しすぎるわ……っ! うぅぅっ……」


王女はステーキを頬張りながら、またポロポロと涙をこぼし始めた。

連日の魔物襲撃で、泥水のようなスープしか飲んでいなかったのだろう。


「で? 国が滅びそうなんだっけ」

食後のジュースを飲みながら俺が話を振ると、エリーゼ王女はハッとして姿勢を正した。


「そ、そうなの! 宮廷魔術師の土魔法ではオークの棍棒すら防げないし、勇者の剣も折れちゃって……! だから、あなたに帰ってきてもらわないと――」


「無理だな」

俺は即答した。


「えっ……」

「だって、帰る理由がない。ここにはエアコンも、温泉も、全自動洗濯機もある。飯はドラゴンのステーキや極上の海鮮丼だ。なんでわざわざ、この天国みたいな家を留守にして、俺を捨てたオッサンのために泥まみれで壁の修理をしに行かなきゃいけないんだ? 絶対に嫌だ。面倒くさい」


俺がはっきりと断ると、エリーゼ王女は言い返そうと口を開き――そして、ピタリと止まった。


王女は、ピカピカに掃除された部屋を見渡し、幸せそうに微笑むクレア(元公爵令嬢)を見て、最後に自分が平らげたドラゴンのステーキ皿を見つめた。


「…………確かに」

「だろ?」

「ええ。こんな極上の生活を捨てて、泥水と瓦礫だらけの国に戻るなんて、正気の沙汰じゃないわ。私だって絶対に嫌だもの」


あっさりと納得してしまった。

王女もまた、この空中要塞の圧倒的な『生活レベルの差』を前に、完全に心を折られてしまったらしい。


「あーあ……。お父様、本当に取り返しのつかないカードを捨てたのね。うちの国、もう完全に終わってるわ」

エリーゼ王女は憑き物が落ちたようにスッキリとした顔で笑い、立ち上がった。


「美味しいお肉と、最高のお風呂をありがとう。……王族として、最後まで国の滅びを見届けてくるわ」

「そうか。気をつけてな。ほら、これお土産」


俺は残っていたドラゴンのステーキをパンに挟んだ『特製カツサンド』を弁当箱に詰め、彼女に持たせた。


数時間後。

ボロボロの王城に帰還したエリーゼ王女は、泣き叫ぶ国王と勇者の前で、極上のドラゴンカツサンドを美味しそうに頬張りながらこう報告したという。


「あちらは神の国でした。我々はもうすぐ泥にまみれて死にますが、最後に美味しいお肉が食べられて私は幸せです。お父様、ざまぁみろですね」


こうして、俺を追放した愚かな王国は、王女にすら完全に見放され、物理的にも精神的にも完全な『滅亡』を迎えることになったのだった。

お読みいただきありがとうございます!


「国を救って!」「面倒くさいから嫌です」

圧倒的な生活レベルの差を見せつけられ、王女様もあっさりと納得して帰っていきました。

国王は娘にも見放され、ドラゴンカツサンドを見せつけられながら絶望のどん底へ……最高のギャグざまぁですね(笑)。


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引き続きよろしくお願いいたします!


▼次回予告

元の王国が滅び、過去のしがらみが完全に消え去ったレン。

ここからは正真正銘、100%のスローライフが始まります!

要塞の庭に「あの施設」を作って、自給自足レベルをさらに限界突破させます!

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