御託はいいから建て直そう③
「さっき、俺も盆国に行っていたって聞いたと思うんだけど、実は・・・色々困っていてさ」
クインルはそう言って、依頼の詳細をイヴァルノンに見せた。
「旧友の酒断ちを手伝って欲しい?」
クインルは頷いた。
「この程度でギルドに依頼するのか?依頼するにも金かかるし、報酬だって別枠で取られるってのに?裕福な悩みなこったぜ」
「うちのギルド、お察しの通りジリ貧でね・・・報酬が安かろうが出来ることは何でも引き受けているんだよ。
ただ、今回の依頼はその内容に見合わない程、難しいんだよ・・・。」
取り敢えずクインルの話を聞くことにした。
「その旧友って人、年老いた鬼人なんだけど・・・かつて盆国で一、二を争う強さで有名な兵士で、町中誰でも名前を知っているような有名人だったんだ」
「その人が、酒に溺れた・・・」
「結局、戦争は皇国が勝ったから・・・そのショックで酒に頼るしかなかったって事なんだろうけど・・・問題がね」
言い辛そうにクインルはぼやいた。
「飲むと・・・暴れるタイプみたいで」
「うわ」
「俺以外にも盆国のギルドが対処しようとしていたみたいなんだけど、悉く店の外まで吹っ飛ばされて・・・俺に至っては、魔性道具がみんな酒に濡れちゃって・・・相性が悪すぎてさ、断念して帰ってきちゃったんだよね・・・不甲斐ないけど」
「そうか、大変だったな・・・。
ところで、魔性道具ってなんだ?」
「知らないのかい?
俺はてっきり君の主人も同じタイプだと思っていたんだけど」
オセットは目を丸めて主人の方を見たが、イヴァルノンは「残念。私の魔性はこの杖が主体じゃない」と言って首を振った。
「魔性は基本的に『個性』だから、自分自身が主体となる事が多いんだ。
だけど、自分以外を対象にする派生もある。
その派生系は大きく二つあって、直接相手に干渉するタイプと、手元の道具などに魔力を送り込んで『武器』にするタイプがある。このときの道具を魔性道具って呼ぶんだ。」
「ん?イノン、お前もその杖を変形させたりするだろ?その杖は魔性道具にならないのか?」
「私はこの『武器』を利用しているだけだもの。これを『武器』に加工したのは別の人。その人から貰ったものだから、厳密には違うわ。」
「・・・お前の派生って、細かいところが気になっちまうタイプだろ」
「失礼な」
「まあまあ、俺も何となく言いたいことは分かるよ。
俺が魔性道具を武器に換えたものを、君が使っているってことだろう?」
「ザッツライト」
「それってそんなに気にする所なのか?」
「うーん、作り手と使い手をごっちゃにされると気持ち悪いって感覚は、確かにあるけどね」
話が脱線したので、クインルは咳払いをして話を戻した。
「話を戻すけど、結局のところ、未だに何処のギルドも完遂できていないんだ。
酒に溺れた年老いた鬼人の酒断ちを。
君の魔性の内容次第になるかもしれないけど、どうかな・・・うちの馬鹿なギルド長を探すついでに、やってきてくれないかな?」
「・・・・・・。
ちなみに、成功報酬って何割貰えるの?」
「うっ・・・・・・・、本当に申し訳ないんだけど、入ってくれた直後で申し訳ないんだけど、ね、ほら、その、ギルドが、さ、あの様なんで、その・・・ごめんよ・・・一割で」
「もう御託はいいからギルドを建て直しといてくれる!?!?行ってくるから!!
三割以上は譲れませんけどッ!!!」
その後数分間、交渉し続け・・・・。
イヴァルノンは時価(要相談)での仮契約(ギルド長不在のため)となった。




