第七章 鎧パージ、血管の覚醒
国境の平原で、十万の完全武装した敵軍と、褌一丁の一万のマッスルエリートたちが対峙した。あまりにも不条理な戦場の光景に、敵の総大将は黄金の戦車の上で腹を抱えて嘲笑した。「ハハハ! 見ろ、あの狂人どもを! 武器も持たずに裸で突撃してくるぞ! 矢を放て! 一人残らず串刺しにしてやれ!」総大将の号令とともに、天を覆い尽くすほどの無数の鋭利な矢が、翠嶺国の英傑たちを目がけて降り注いだ。しかし、誰も逃げず、誰も盾を構えなかった。それどころか、最前線に立つ呂布奉先は、押し寄せる矢の雨を正面から見据え、狂気的な笑みを浮かべた。
「フン……。今日の俺は……血管の走りがすこぶる良いッ!!」
呂布が凄まじい雄叫びを上げると同時に、その全身の筋繊維が爆発的に膨張した。大腿四頭筋、大胸筋、そして広背筋が、まるで意思を持つ生き物のように一斉に隆起する。その圧倒的な筋肥大の圧力により、彼が身に纏っていたわずかな布切れや、飾り物の肩当てが、まるで爆弾が弾けたかのように粉々にパージした。極限まで張り詰めた皮膚の表面に、太く、青い血管がまるで無数の龍のごとく浮き上がる。これぞ、完璧なパンプアップによってもたらされた、鬼神の覚醒であった。
次の瞬間、信じられない光景が戦場を支配した。呂布の肉体に突き刺さるはずだった無数の矢が、彼の鍛え抜かれた大胸筋の収縮と鋼鉄の如き腹筋に触れた瞬間、パキパキと音を立てて弾け飛び、ただの木屑へと変わったのである。「ば、馬鹿な! 矢が肉体で弾かれただと!?」敵の弓兵たちが驚愕に目を見開く。呂布だけではない。関羽は飛んでくる槍を「上腕二頭筋のクランプ(挟み込み)」だけで受け止めてへし折り、張飛は「キレてるよ!」という曹操のマッスルコールを背中に受けながら、大腿四頭筋のバネだけで敵の放った巨大な岩石を蹴り返していた。「武器が無いからこそ身軽、鎧が無いからこそ無敵!これぞ筋肉の真理よ!」武器と鎧という贅肉を削ぎ落とした英傑たちは、ただ己の肉体という名の究極の兵器を研ぎ澄まし、十万の軍勢の中へと、弾丸のような速度でスリップインしていった。そこから、中原の歴史上、最も苛烈で繊細な近接打撃の幕が開かれようとしていた。




