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第六章 十倍の軍勢、贅肉の進軍

 暗殺計画が二度までも無惨に、かつシュールに失敗に終わったことを知り、隣国の肥満なる君主たちはついに正気を失った。「おのれ翠嶺国! 謀略が通じぬならば、文字通り力で踏み潰してくれよう! あの生意気な姫を生け捕りにし、我が国の贅肉の素晴らしさを思い知らせてやるのだ!」かくして、周辺の五つの敵国が同盟を結び、前代未聞の大軍勢が結成された。その数、実におおよそ十万。中原のいかなる大戦にも匹敵する、圧倒的な兵力であった。地平線を埋め尽くす敵の軍勢は、全身を何重もの頑丈な鉄の鎧で包み込み、鋭利な長槍や巨大な盾を構えていた。彼らの総大将は、贅肉で膨れ上がった腹を揺らしながら、黄金の戦車の上で傲然と笑っていた。「見よ! これぞ文明の利器、これぞ圧倒的な物量よ! 翠嶺国の筋肉バカどもめ、武器も持たずに裸同然で何ができるか!」十万の軍勢が発する地鳴りは、翠嶺国の国境へと急速に迫っていた。翠嶺国の全住民、すなわち中原から移住してきたマッチョたちの数は、全員合わせてもわずか一万に満たない。実に十倍以上の兵力差。しかも敵は完全武装、対する英傑たちは褌一丁である。客観的に見れば、翠嶺国の滅亡は火を見るより明らかであった。



 しかし、筋力広場にその報が届いたとき、誰一人として狼狽する者はいなかった。「おいおい、せっかくの午後のデッドリフトの時間が、騒がしい羽虫のせいで台無しだな」張飛が、己の太い首を左右に鳴らしながら不敵に笑う。「武器も、重々しい鎧も、我らにはもはや不要。麗蓮姫の御前で、己の肉体以外の不純物を身に纏うことこそが不敬よ」関羽が静かにプロテインシェイカーを置き、衣服を完全に引きちぎって、はち切れんばかりの大胸筋を露わにした。曹操は特設の審査員席から、押し寄せる十万の軍勢を一瞥し、冷酷な笑みを浮かべた。「贅肉まみれの愚者どもが、自らの重さで自滅しにやってきたか。諸君、これは戦いではない。我らが日頃の鍛錬の成果を、麗蓮姫に披露するための……ただの野外発表会だ」軍師・諸葛亮孔明が羽扇を優雅に一振りすると、マッチョたちのポージングに最も美しい陰影ライティングをもたらす完璧な逆光が戦場に差し込んだ。武器を捨て、鎧を脱ぎ捨て、ただ己のバルクのみを武器とした一万の英傑たちが、十倍の軍勢を迎え撃つべく、ゆっくりと、しかし確実な足取りで国境の平原へと進軍を始めた。その肉体から放たれる圧倒的な熱気は、近づく敵兵たちの顔を恐怖で歪ませるに十分であった。


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