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21.5 花嫁候補はまず身内から

「はい、終了しました~ぁ。凛さん、私の回収おねがいしますね」


「わかったわ。今ヘリの高度を下げているところだからもう少しまってちょうだい」


「了解です」

返事をかえしてから耳横にある無線機のスイッチを切った。


高層ビルのてっぺんということもあってか風がつよい。夜の冷たい風が首筋を通り抜けていく。そして地表には光が輝いている。


「こんな景色、いくらみたってちっとも好きにはなれないわね。。。…。」


「はぁ、、」

私はため息まじりに息を吐いた。


「もう。私がもう、私じゃないから。ひさくんは私になんて興味ないのかな…。そんなことなら無理して生きなきゃよかった…。」


雨粒が一つ、空を見上げる私のおでこにポツンと弾けた。

天空は濃い雲に、覆われて。

……。

… … … …

… … … …

… … … …

… … … …

それから、土砂降りになったのは言うまでもなく。

「はぁ〜、最悪。せっかくのドレスが…。濡れちゃったじゃない」


雨はますます勢いが増してきた。

ビルの屋上の排水システムがあまり効いていないのか、あちこちに水溜りができてきた。


ふと、子供心がくすぐられた。視線の一点には今できたばかりの水たまりがあった。


私はその一つに寝転びたくなって、立った姿勢から思いっきり身を後ろ向きになげて水溜まりに浸かった。


「一階ぐらいやってみたい、と思ったいたけど。

案外つまらないものなのね…。」

雨水の冷たさはあまり身体を介して伝わってこない。それはいい多分かなボディの性能が良いからなのかもしれない。でも、今は元の、昔のときの感覚が少しでも残っていてほしいと、思った。


上空からヘリのローターの音がだんだんと近くなってきた。

「千夏、遅くなってすまん。この天気で少々降下に手間取ってしまった」


「いいえ、おかまいなく。少し一人でゆっくりできたので」

ヘリが真横に横付けされた。

「捕虜の護送を頼みます。」

私もそっと飛び乗った。


「この雨でかなり濡れてしまったようだな。ちょうどタオルを持ってきたからこれで拭いとけば?」

凛さんが気を利かせて私にタオルを差し出してくれた。

「髪が痛むだろ?」


「。…。ありがとう凛さん。でも私の頭皮はポリエチレン製の人工樹脂ですよ。わざわざ気にしなくてもいいです」


「…、ま。そうかもしれないけどさ。…。千夏は千夏だから。昔のままの」


「ありがと…。」

凛さんなら…そう言ってくれるのはわかりきっていたけど、なぜか、もどかしい。


「そんなに、うつむいて。何か悩み事か?」


その質問の解答は知っているはずなのに、。。

「凛さんもくどいですね。私の脳のデータは共有しているくせに、わざわざ私の口から言わせるなんて。」

思考は常に見張られている。

そして今も。凛さんの持っている端末からも確認できるはずだ。


「わかった。知っている程で話すわよ。まぁ、でもそんなものなくても伝わってくるけどね。」


「む、ぅ。」


「私、手っ取り早いのしか思いつかないから。今から本人に合わせてあげる」

凛さんはタブレットを片手に、もう片方の手でスマホを取り出す。


「え、ちょっt、!!!!!。それはダメ!!」

私はすぐにスマホを奪い取った。


凛さん…それはあまりにも…。

「え、?…んんん。….。?だめ?」


戸惑いながらこちらを見つめてくる目。多分なにもわかっていないときの凛さんだ。

「ダメです!これだからもう…」凛さんには頼めないんだよな。


「わかった。千夏が道久を隠し撮りした写真を片付けてくれるのなら。もっといい解決策をあげようかな」


「!!!!、それは。私そんなことしていませ…ん。」


「わかってるからな。枚数がかさばりすぎてもはや見つからないと思っていたのかと思うと、わらっちゃうぐらいだ」


まさかの凛さんに不意打ちをくらい、少したじろいてしまった。

「せえっかく集めたのに…。」


「まぁ、写真があると道久が困るからな…」


組織のためにもここは引くしかない…。でも。

「…わかりましたよ。もう捨てればいいんでしょ!そのかわりですけど。ちゃんとそれ相応、いや、それ以上の対価はもらえるんですよね?」


「ん?まぁ、まかせとけ」

 そう言って凛さんはスーツのポケットから何かをとりだす。


「・・・鍵?」

急激に私は落胆してその場にくずれる。


「いかにも残念してそうだな」


「そりゃそうですよ!!!!!!!!!!!!。せっかく覚悟をきめたというのに、対価はそれだけですか!!!!っていいたいんですよ!!」


「え、そうか?千夏にならと思って貸そうと思ったんだけど…。」


「鍵を?何かにつかったら、何か出てくるんですか?」


「うん、タイミングが良ければ道久がでてくる。」


「どうせ…?え?。御冗談を」


「それじゃあ、かえしてもらおうかな~~~~~」

凛さんの手が千夏の持っている鍵をつかむ。

「なかなか、手放さないんだね」

千夏はぎゅっと手を握りしめた。


「それはつまり、ひさくんのアパートの鍵?」


「そういうことになるね」

千夏の顔はみるからに嬉しそうだった。隠しているつもりだろうけど。

「これはこれは、気の強くてわがままな剣士様もお気に召されたようだ」


「ちなみに…どうしてお持ちで?」千夏はおそるおそる凛さん、いや凛様に尋ねた。


「う~ん、どうしてでしょう?」


「凛様~ぁぁぁぁ!!!1!!」


「しょうがないな。理由は単純明解、私が道久のお姉ちゃんだからだよ?」

千夏が瞳孔と口をがんびらいてフリーズしてしまった。

とくにバレたところで問題ない。知ったところで何ともないことなのだ。

でも千夏には少々刺激がつよすぎたみたいだ。


「私は弟の恋愛には口出ししないけど、これくらいならいいわよ」

まぁ、千夏ちゃんだしね。信頼はしているし。千夏のわがままがこれで抑えられるのならいいわ。

以前まではあったことはなかったこら向こうはしらないみたいだけど。

思ったよりおどろかせちゃったみたい。


「ありがとうございます…」

「お姉さま。と、これからは呼ばせていただきますね」


「ちょっ!!

そんなにかしこまられても!!やりずらいわよ!!」

千夏ちゃんって、案外そういうところきにするんだ…

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