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第470話 強気の交渉

 考えがまとまって気分が軽くなったリクレールは、仲間たちと昼食を摂った後、改めて主要メンバー全員を集めた会議を議事堂内で開いた。


「僕も色々考えたんだけど、レオニス殿下が直接中止を言い渡してきた以上、それを無視して攻撃することはできないと思う」

「リクもそう思うか。俺もさすがにレオニス殿下に逆らってまで攻撃するのは得策じゃねぇと思う。クライペダが陥落しなきゃ、どのみちこれ以上攻撃したところで意味ないしな。先生たちはどう思う?」

「そうね……悔しいけど、敵の交渉力の方が一枚上手だったと認めるほかないわ」

「とはいえ、せっかくこの都市の半分を奪ったのだから、余程有利な講和条件でなければ諸将は納得せんぞ」


 講和内容自体はアゴスティーニから事前に聞いているが、ハキナトリアの半分を奪っている状態であることを考えると、もっと良い条件を引き出せないかと思うのも無理はない。

 そう言ったことを踏まえて、リクレールは強く主張はしなかったが、自然な形で今の段階で講和することにやや納得がいかないという雰囲気を作り出し、最終的に本当にこの条件で講和するのかレオニスに確認する必要があるという流れを作り出した。


「なるほどな……いったん停戦に合意するというのは、まあいいだろう。ヴィクトワーレ、すまないがリクとシャルを伴って、都市同盟と一時的にではあるが停戦を申し伝えてくれ。ただし、あまりこちらが講和を前提としている雰囲気を出さないようにな。俺はアゴスティーニを伴って、レオニス様に本気で講和するのか確認してくる。ことによっちゃ、周りに流されただけかもしれねぇから、戦いが再開する目もあるかもしれん」

「わかりました、私に任せてください」


 ランツフートは次の日改めて話し合った結果をアゴスティーニに伝え、念のため帝都にいるレオニスに確認しに行くことに同意した。

 アゴスティーニも特に嫌な顔をせず、北区画にいる都市同盟には一時的に停戦することと、停戦の使者は改めて寄こすことを申し伝えると、ランツフートらを伴って一旦帝都タイラスルスに戻っていった。


 アゴスティーニとしても、都市同盟の希望通り戦いが止まればそれで十分だったので、リクレールが裏で企んでいることも知らずに意気揚々と引き揚げていったのだった。

 そして、邪魔者がいなくなったのをいいことに、リクレールはヴィクトワーレとシャルンホルストと共に停戦交渉の打ち合わせと称して、別室で本当の目的を話した。


「ということで、この際彼らが事実上再起不能になるくらい、追加の賠償金支払いをさせるというのが僕の考えなんだ」

「……リクは相変わらず大胆なことを考えるわね。確かに捕虜交換の身代金という名目であれば、いくら払わせてもレオニス殿下に弁明する必要はないわ」


 話を聞いたヴィクトワーレは、またエスペランサの入れ知恵かと複雑な気持ちだったが、都市同盟が裏工作で西帝国の有力者を買収し、味方の足を引っ張りつつ、自分たちだけうまい汁を吸おうとしていることを思うと、このくらいはして当然だと納得した。


「俺の活躍がパーになるのは許せんからな、俺もリクの提案には賛成だ。しかし、奴らにどうやって脅しをかける? 相手は舌が何枚もある口達者な商人だ……ちょっとやそっとのことじゃ動じなそうだぞ」

「それについても考えがある。ランツフートさんが使う予定だった、オキメイ村から運んできた大型投石機……あれを北区画の方に向けて組み立てるんだ」

「……! そうか、向こうに伝えた停戦の条件は、お互いの陣地への立ち入り制限と攻撃の禁止……つまり、奴らが何を言おうと兵器を組み立てるだけなら反故にはならない! むしろ、向こうが破壊のために攻撃してくれば、攻撃の口実になるし、もっと強気の条件を飲ませられる!」


 こうして、3人は停戦交渉と言う名の追加賠償金請求をすべく、計画を練るのだった。

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