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第461話 ハキナトリア攻略戦 2

 翌日、今まであまり積極的な攻勢を仕掛けてこなかった、ランツフート率いるユルトラガルド侯爵軍と、ヴィクトワーレ率いるコンクレイユ騎士団は、ハキナトリアの南区画に向けて兵を重点的に集中させ、総攻撃を行う構えを見せた。

 ハキナトリア側からしてみれば、帝国軍が無謀な力攻めに出たとしか認識していなかったが、守備隊の数が少ないため、万が一突破されては困るということで、彼らも城壁側に大半の兵士を移動させた。

 だが、この動きが彼らに対して途轍もない大損害を強いることとなってしまうことに、この時点で気が付く者は誰一人としていなかった。


 城壁側の射程ギリギリで両軍がにらみ合い始めた頃、戦場の反対側……ハキナトリア南区画の大きな港に、銃交易都市同盟の旗を掲げた船が多数入港してきた。

 旗印から、アマンディに増援に向かった部隊であることが分かったが、なぜ彼らが戻ってきたのか……港を警備する者たちは首を傾げたが、何か事情があったのだろうと深く考えることなく、入港を許可してしまった。


「よっ、出迎えご苦労さん。と言うわけで、お前らはもう用済みだ」

「なっ……しまった、こいつらは敵兵だ!」

「味方じゃないのかよ、騙された!?」


 船から出て来たのは、なんとシャルンホルスト率いるアルトイリス軍別行動部隊だった。

 驚いた警備兵たちは、すぐさま臨戦態勢を取ろうとしたが、そのような暇を与えるわけもなく、シャルンホルストたちは次々と武器を取っていない兵士たちをその魔装剣で薙ぎ払い始める。

 また、シャルンホルストが先陣を切って上陸したのを皮切りに、ほかの船からはアリシアやデルセルト、ゼークトにスーシェ、そしてレムリアら青狼学級の生徒たちが率いる兵が次地祇と下船していく。


「アリシア、デルセルト! お前たちは城壁の確保に向え、親父たちを城内に引き入れるぞ!」

「わっかりましたぁっ! アリシア、気合入れていきますっ!」

「任せろっ、敵兵のケツを斬って斬って斬りまくってやるぜ」


 アルトイリス軍の二大ニューフェイスは、船酔いに苦しめられながらも、酔い止めの薬草を飲んだことでなんとか戦いの前には元気を取り戻したが、それでも慣れない船の上は相当不快だったらしく、丸で船から逃げ出すネズミのように飛び出すと、あっという間に準備を整えて城壁の方に進軍していった。


「ゼークト、スーシェ、お前たちの部隊は港を奪還しようとしてくる敵へのカウンターだ。あわてて駆けつけてくる間抜けどもを容赦なく蹂躙してやれ」

「おし任せろ! 間違っても港が奪われたら、俺たちは孤立無援だからな、しっかり守り切るからお前たちの方も頼んだぜ」

「じゃあたしはメインストリートから来る敵に突撃してくるわ!! いやっほおおおおぉぉぉーーーーー!!」


 ゼークトとスーシェも、それぞれ戦闘配置につくと、目論見通り突如現れたアルトリス軍を何とかしようと駆けつけた、自由交易都市同盟の守備隊を片っ端から蹴散らしてゆく。

 防壁の守りと傭兵に頼っている都市同盟の兵士は、猛訓練を積んだ精強なアルトイリス軍からしてみれば、白兵戦は弱すぎてお話にならないレベルであった。


 そして……肝心のシャルンホルストは、青狼学級の生徒と共に、紫鴉学級の秘密兵器ことダーレンの先導で、敵の少ない路地を駆け抜けてゆく。

 彼らが狙うのは、南区画の小高い場所に位置する特に立派な建物…………ハキナトリアの議事堂であった。

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