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第459話 背後への一撃

 視点は再び、リクレールたちアルトイリス軍に戻る。


 事前準備とウルスラやリクレールの策略もあり、わずか1日で港湾都市アマンディを陥落させたアルトイリス軍は、降伏勧告を拒否したことを理由に、5万人近い人口を誇るアマンディの住人全員を捕虜とし、財産は攻城戦に参加した兵士たちの手によって、窓枠すら残らないほど徹底的に奪い尽くされた。

 リクレール的には、この土地に住んでいた住人達は独立心が強すぎるので、自分たちの領地に分割して強制移住させ、模範的帝国民の意識に染まるまで各地で働かせ、逆にほかの地域から余っている住人達をこの地に移住させて、帝国都市として再建するつもりのようだ。


 そして、次はいよいよ自由交易都市同盟の首都であるハキナトリアを攻略することになるが、ここでシャルンホルストから驚くべき提案があった。


「みんな、聞いてくれ。俺が港を制圧した際、ちょうどよく敵の増援軍がやってきて、奴らが乗っていた船を丸々手に入れることができた。これを使って、一部の部隊でハキナトリアを港側から上陸して占領するというのはどうだろう」

「それはなかなか思い切った案ね。けど、私は賛成だわ。ハキナトリアの城塞は陸側からの攻撃を大前提にしているから、海側からの攻撃は殆ど想定されていないわ。それに、今すぐに動けばまさか敵はもうアマンディが陥落しているとは思っていないでしょう」

「これはまさに天が授けた機会だ。多少のリスクを許容してでも大胆な一手を打つべきだろう」


 シャルンホルストが提案した策に、教師二人も賛同した。

 考えられるリスクとしては、敵が増援に見せかけてわざと船をアルトイリス軍に明け渡し、あえて上陸させてから包囲するということも考えられたが、ハキナトリア側としては普通に固く守っていれば余計な被害が出ずに済むので、わざわざ敵に貴重な船を差し出してまで誘い出すことはしないだろうと考えられた。

 そして何より、敵の増援に来たディーチェという武将は、シャルンホルストが船を奪取しようとした際にかなり焦っており、敵に船を渡すという考えは全くないとみてよい。


「それじゃあ、誰が危険な別働部隊を担当するか……本当なら僕が行きたいんだけど、今回ばかりは難しい。シャル、君に頼んでいいかな」

「勿論だ。俺が言い出しっぺだからな、リスクも俺自身が追うのが当然だ。その代わり、兵は1000人ほど欲しい」

「それくらいならお安い御用だよ。ちょうど明日、ブレヴァン侯爵領に兵を交代させに行ったデルセルトやアリシアが戻ってくるから、彼らから兵を受け取ったら、早速作戦に従事してもらおう」

「すまないな、それともう一つ、ダーレンを俺たちの方で借りたい。あいつは長い間ハキナトリアに潜伏していたから、ある程度どこに何があるか知っているはずだ」

「わかった、ダーレンがいれば心強いだろうからね。他にも、部隊長として志願する人たちがいたら、いくらでも連れていってほしい。何しろ、失敗したら二度と戻って来れないかもしれない危険な作戦だから、なるべく戦力は充実させたい」


 こうしてリクレールは、シャルンホルストに別働部隊を組織させ、次の日予定通りにアマンディに到着したアリシアやデルセルトたちの兵を指揮下に組み込んだ。


 また、諜報活動のためにハキナトリアに滞在経験のあるダーレンの他、いつも最前線を志願するゼークトや、最近攻城戦でめっきり出番がなかった騎兵突撃少女スーシェに加え、すっかり別行動作戦が大好きになったレムリアをはじめとする青狼学級の生徒たちが加わることになった。

 リクレールらもシャルンホルストたちの作戦がうまくいくよう援護するため、こちらも2000人の兵を率いて、急ぎ陸路でハキナトリアに向かうのだった。

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