↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
451/510

第451話 アマンディの攻城戦 8

「ディーチェ隊長! どうやら敵はすでにアマンディの城内に入り込んでいるようです!」

「くっ……遅かったか!? いや、むしろ敵が早すぎるのか!?」


 ディーチェと呼ばれた金髪の若い女性指揮官は、アマンディの街がすでに蹂躙されているのを見て、悔しそうに唇をかみしめる。

 彼女たちはこれでも急いで駆けつけてきた方なのだが、リクレールたちがあまりにも速く街を陥落させたことで、ぎりぎり間に合わなかったのだ。


「ど、どうしましょう隊長……」

「決まっているわ、今は一人でも多くの民間人を逃がさないと! 各部隊に伝達、味方の援護をするわよ!」


 使命感に駆られた若き隊長は、船をすべて港に入れると、自ら500人の兵を率いて、民衆を蹂躙しようとするアルトイリス軍に立ち向かっていった。


「船はあっちです! 敵が来る前に、早く乗って! 兵士たちは住民たちの誘導を優先して!」


 しかし…………彼女の決断は「最悪の手」だったというほかなかった。

 アマンディの市民たちは、味方の船が助けに来たことに歓声を上げて港に殺到したため、上陸していたディーチェの軍ともみくちゃになってしまう。

 そうしているうちに、シャルンホルスト率いるアルトイリス軍が、満足に戦闘隊形が整っていない都市同盟の増援に容赦なく襲い掛かった。


「こいつは願ってもいない好機だ! 奴らめ、わざわざ向こうからやられに来てくれたぞ!」


 シャルンホルストの言う通り、ディーチェたちは上陸すべきでなかった。

 大勢の敵兵が市街地に侵入している時点で、防衛側の優位はとうに失われており、その上逃げ惑う住人達を避難させながら敵と戦うなどできるはずもない。


「よく来たな交易都市同盟の卑怯者ども! そして、わざわざ俺たちに船を差し出してくれてありがとよ!」

「なに……っ! し、しまった! 帝国軍が私たちの船を奪おうとしている! そうはさせないぞ、残酷非道な帝国軍め!」


 ディーチェはレイピアを抜いて先頭に立ち、シャルンホルストたちを止めようとしたが、シャルンホルストは剣に得意の雷の魔術を纏わせ、都市同盟軍に電撃魔術を振りまいた。


「あっ、ああああぁぁぁっ!!??」


 雷魔術を防御できずにまともに喰らったディーチェは、絶叫と共に電撃で体を硬直させる。

 周囲の兵たちも同様に、身体が痺れて動きが鈍る。


「よし、もらったぁっ!」

「くはぁっ!? お……お母さん、おとう……さん、ごめん…………なさ」


 そして、シャルンホルスが馬上から振り下ろした剣で体を切り裂かれたディーチェは、石畳に体を横たえて、そのまま息絶えた。

 おそらくまだ成人して間もないだろう若い部隊長の、早すぎる死であった。

 シャルンホルストたちは、そのまま上陸してきた兵士たちを片っ端からなぎ倒すと、避難民の回収を優先したせいで港に停泊したままの商船を次々に制圧していった。

 こうして、アルトイリス軍が全軍城内に突入する頃には、アマンディの守備隊は全滅し、自警団も抵抗むなしく皆殺しにされ、さらに援軍に来た貴重な兵士たちも残らず撃破された。

 更にシャルンホルストの素早い動きで、敵の増援が乗って来た船を全部接収するという予想以上の成果を挙げたのだった。


「シャル! 敵の増援まで全部片づけてくれたんだって!? すごいじゃないか!」


 戦闘が落ち着いたころ、リクレールがシャルンホルストの様子を伺うために港にやってきた。


「ようリク、そっちも負傷兵の救出ご苦労さん。被害は?」

「まずまず……と言ったところかな。やっぱり城攻めはどうしても被害が出ちゃうね。被害の大半が元ブレヴァン軍の捕虜だとしても、ちょっと……」

「アマンディでこれなんだから、ハキナトリアの攻城戦とか考えたくねぇな。けどよリク、俺にいい案があるんだが、聞いてくれるか?」


 そう言ってシャルンホルストは、自身の背後に浮かぶ何十隻もの大型商船を指さすのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。