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第445話 アマンディの攻城戦 2

 野戦では負けなしだったアルトイリス軍だが、ウルスラは今の編成では正攻法で城を落とすことはほぼ無理と考えていた。

 というのも、アルトイリス軍の大半は徴募兵や元傭兵であり、厳しい訓練を積んだとはいえ、持っている武器の大半は剣や槍といった近接武器ばかりで、弓兵が非常に少ない。

 一応、クロスボウを装備している兵士もいるが、クロスボウは作るのに時間がかかるし、買うにしても比較的高価なので、数を用意することができなかった。

 なので、城壁の上の弓兵と撃ち合いをしつつ、歩兵で濠を埋めながら前進するという真っ当な方法では、多くの兵がスコーピオンの餌食になるだけなのは分かり切っている。


「それでウルスラ、実際どのように攻める?」

「アマンディの構造を調べてみたところ、あの城塞にはそれなりの弱点があるわ。おそらく、昔はあれでよかったかもしれないけど、そのころから設計が全く変わっていないせいね」

「先生、その弱点というのは?」

「うーん、たぶんスコーピオンの配置じゃないかな。一方が海になっている独特の構造だから、塔を3本にしたんだろうけど、一番南側から攻めれば、迎撃に使えるスコーピオンは一台だけしかなくなる」

「あら、よくわかったわねリクレール君。そう、まず一つ目の弱点は一点に戦力を集中すれば、スコーピオンは3台中1台しか有効活用できないの」


 リクレールは正攻法で城を落としたことはなかったが、やはり城の構造の知識はかなりあるようで、スコーピオンの死角となる部分があることを見抜いたのだ。

 ただ、それ以外の弱点についてはさすがの彼も分からなかったが、今度は車椅子の少女モンセーが負けじと挙手した。


「おそらく……あの城壁は、通常のものより脆い。あまり近くで見ることはできなかったが、他の城の城壁とだいぶ表面の色が違う。おそらく、潮風によって石材の風化が進んでいるのではないかと」

「まあ、よくわかったわね。モンセーさんの言うことも正解よ。彼らは半世紀以上攻撃に晒されることがなかったせいで、防衛を外側の広い濠に頼り切っていたみたい。そのせいで、最低限の補修はされているようだけど、城壁が劣化して脆くなってる。おまけに、城壁も昔の反乱の時に組み上げた急造のものだから、余程の工夫をしていない限り、容易に崩れてしまうわ」

「なるほどな、それは盲点だった。海岸の岩が削れるのと同様、海沿いの城壁は劣化しやすいのだな」

「それを踏まえて、私たちが取るべき作戦は…………南側から集中攻撃して、濠を一気に埋めて、塔を破城槌で崩す、これしかないわ」

「先生、それだったら僕にいい案があります」


 ここで、リクレールが再度挙手して意見を述べた。


「濠を埋める方法ですが、普通にスコップで埋め立てたら被害が大きすぎます。そこで、予め土嚢を作って、それを投げ込んでいけば、1000人くらいでも十分濠が埋まると思います。そして、濠を埋めるのは…………先の戦いで降伏したブレヴァン軍の降伏兵を使います」

「「なっ」」


 そう、リクレールは自分の兵の被害を最小限にするため、今は武器を取り上げて一時的な労働力として使っている元ブレヴァン軍の兵士たちを使うことを提案したのだった。

 リクレールの冷酷な意見に先生二人は唖然としたが、ここでローレルが反論した。


「いや確かに自分の家の兵を失うよりかはましだと思うが、そんなことしたらすぐに逃げ出すだろ」

「もちろん、その可能性はあります。けど、逆ん考えるんです。彼らが自ら進んでやるように仕向ければいいんです」

「リクお前……また何かえげつないこと考えているな?」


 果たしてリクレールが、降伏兵たちを無理やり作戦に従事させるために取った方法とは……?

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