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聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第15章 西帝国内乱の終わりに
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第409話 露払い

『くすくす、効果覿面ですわね主様。つまらぬ人物は、相手を罵るとき、自分が一番言われたくない言葉を無意識に選ぶもの。ですから、相手から言われたことをそっくり返してしまえば、この通り、勝手に爆発しますわ』

(まさかここまで効くとはね、なんだかすっきりしたよ)


 予めエスペランサから吹き込まれていた通り、アヴァリスのことを逆に「落ちこぼれ」と罵ってやると、彼は面白いくらい激昂しはじめた。

 リクレールとしては、このままあと1ダースくらい同じ分量のダメ出しをしてやりたいところだったが、その前にアヴァリスは暴力で決着を付けようと、彼の仲間たちにリクレールの周囲を取り囲むよう命じた。


「落ちこぼれの分際で俺に舐めた口をきいたことを、地獄で永遠に後悔させてやる! お前ら「()()()」と同じように、この生意気な落ちこぼれを囲んで指導してやるぞ! 命の心配はしなくていい、むしろすぐに殺せ!!」

「あ、ああ……!」


 リクレールは囲まれないように立ち回ることもできたが、敢えてアヴァリスとその同級生たちに自分の周りを囲ませ、自らは微動だにしなかった。


「大丈夫かしら、リクレール君……さすがにあの人数で囲まれるのは……」

「先生、リクなら大丈夫ですよ。なんたって今のあいつは……あのドヴォルザークすら倒すほどの強さを持っているんですから、アヴァリス如きに負けるはずがありません」

「確かにそうだったわね。しかし、あの魔剣がリクレール君にそんな力を与えているなんて、今でも信じられないわね」


 観客たちは無邪気に喚声を上げているが、担任のウルスラ先生はリクレールがか弱いイメージがまだ抜けていないようで、魔剣の力で強くなっていることがわかってもなお、心配そうだった。

 一方で、親友のシャルンホルストたちを初め、同じ紫鴉学級の生徒や、青狼・橙鷹学級の生徒たちは、リクレールの勝利を疑っていない。

 何しろ、かつてのリクレールとはまるで別人のように、剣を構える姿に隙が一切なく、むしろ囲んでいるアヴァリスたちの方が、威圧されて及び腰になっているくらいだ、この時点で実力の上下は明らかだった。


 武器を振るおうにも、まるで全方位が見えていて、立っているだけで周囲に無言のプレッシャーを振りまくリクレールの前に、白竜学級の生徒たちは容易に近づけない。

 おそらく、今のままでは初めにとびかかった者が真っ先に殺されるだろうと、容易に理解できた。

 だが、それと同時に、自分たちがリクレール如きに威圧されているということが我慢ならず、とうとう、右後ろに回り込んでいた者が「うおーーっ!!」と、破れかぶれに叫びながら、背中を剣で切りつけようとするが―――――それよりも早く振り返ったリクレールが、目にもとまらぬ速さで魔剣を横に薙ぎ、斬りかかってきた男子生徒の両足をまとめてぶったぎった。


「あぁぁーーーっっ……!?」

「お、おのれぇっ!」

「し……しねぇっ!!」


 1人が動いたことで、他の者たちもなし崩し的にバラバラとリクレールに襲い掛かったが、エスペランサが憑依したリクレールには、まるでスローモーションのような緩慢な動きにしか見えず、一合も打ち合うことなく、返す刀で纏めて2人を惨殺し、血の海に沈める。

 間髪入れずに左右から2人襲い掛かってきたが、これもほとんど最低限の攻撃でかわすと、次の瞬間には二人は首の根元を綺麗に切断され、悲鳴を上げる間もなく地面に生首が二つ転がる。


「あ……あわわわ」


 あまりにも人間離れした強さを目の当たりにしたことで、アヴァリスを除く最後の一人はズボンの股間から盛大に液体を垂らしながら、這う這うの体で逃げようとするも、彼は背中から容赦なく切り裂かれ、身体が縦に真っ二つとなって息絶えた。


 そして最後に残ったのが…………


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