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聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第15章 西帝国内乱の終わりに
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第398話 令嬢捜索

 その後、会議では具体的にどのように動くかの話し合いが続いた。

 フランシールの行方だが、この場で彼女の顔が分かる人はあまりいないため、捜索にはウルスラとローレルをはじめとした担任二人が主に指揮を執ることとなり、後はシャルンホルストとランツフートも過去に会ったことがあるので、捜索に加わることにした。

 また、闇雲に探すのは効率が悪いので、それぞれ地点を絞りながら、もし潜伏するならと考えられる場所を重点的に確認していくこととなった。


「明日から3日間は、捜索部隊の編成を行うことにする。先生方はすまないが、うちの領外の捜索は任せた」

「わかりました、一部の生徒と共に、国境付近の捜索に向かうわ。リクレール君、申し訳ないけど、兵士の一部を借りてもいいかしら」

「大丈夫です、先生。ジェニファーの部隊が消耗が少ないので、きっと役に立てると思います。その間に僕は、トワ姉と一緒に、捕虜となった貴族たちから情報が聞き出せないか試してみる」

「あとは、うちの秘密兵器にも連絡して、交易都市同盟に逃げ込んでいないか確かめた方がよさそうだな。…………もし、あそこに逃げ込んでいるようなら、相当厄介なことになりそうだが」


 シャルンホルストは「紫鴉学級の秘密兵器」ことダーレンにも連絡を取り、中立国にも逃げ込んでいないかを調べることにした。

 彼の言う通り、自由交易都市同盟がブレヴァン侯爵家の関係者を匿っていたとしたら、とんでもなく面倒なことになるが……都市同盟の商人たちは、今回の内戦の裏でいろいろと糸を引いている可能性が高い事が明らかになっており、予断は許さない状況だ。


「僕たちのアルトイリス軍の方は……アリシア、デルセルト。君たちはしばらく配下の兵を休ませたら、セダン城にいるサミュエルのところに行ってほしい。今は敗戦の衝撃で大人しくしているかもしれないけど、時間が経てば土着の貴族が反乱を起こすかもしれない。そうなったらサミュエルの手勢だけだと厳しいからね」

「わかりましたっ! 反乱軍でも山賊でも、逆らう奴らがいたらあっという間にボコボコにして見せます!」

「この機会だから、新しい支配者のやり方ってのを叩き込んできてやんよ」

「やる気があるのは結構……けど、やりすぎて恨みを買うような真似はしないように」


 こうして、アルトイリス軍本隊から、5000人いる兵のうち2000人がアリシアとデルセルト、そしてついでにサロメも含めてブレヴァン侯爵領に戻すことになり、反乱や盗賊の発生に備えることとなった。

 また、シャルンホルストが率いていた別働部隊のアルトイリス兵は、すでに兵力が当初の半分程度の1600人にまで減っていたが、彼らを本体に組み込む代わりに、ジェニファーとフルトヴェングラーがそれぞれ500人を預かってウルスラとローレルの指揮下に入り、行方が知れないフランシールの捜索に当たることになる。


 残りの兵とユルトラガルド侯爵軍は、この後控える帝都タイラスルス攻略を担う予定なのだが、両軍合わせても10000人に届かない兵力なので、未だに北方で戦い続けているコンクレイユ侯爵軍、および皇太子レオニスの軍団と合流する必要があるだろう。


「リクレール君、私らにも何かできることはあるか?」

「僕らもできる限り協力するよ」

「いや……レムリアとオスカー達には、帝都攻撃で主力を担ってもらう必要がある。戦いはまだ先だけど、今のうちに装備と訓練を充実させておいてほしい」

「まだ先、か……いつ頃になりそうなんだ?」

「今は中春(4月ごろ)だから、少なくとも攻撃開始は中夏ころになると思う」

「随分先だけど、それだと敵も勢いを回復してしまわないだろうか」

「いや、最後だからこそ、詰めを誤らないようにしっかり片を付けた方がいい。こちら側にはすでにレオニス様がいるし、ブレヴァン侯爵をはじめとした有力貴族は全員脱落したけど、追い詰めすぎると向こうも何をしてくるかわからない。今は準備を万全にするのと、敵側についている貴族を調略で切り崩して、なるべく被害を抑える方向にもっていった方がいいと思う」

「俺もその意見に賛成だ。帝都タイラスルスは、生半可な武力で落とせる城じゃねぇからな。少なくとも、攻城兵器をある程度用意せにゃ、無駄に血を流すだけだ」


 依然として準備不足なため、リクレールは時間をかけてでも万全の状態で挑むように提案し、ランツフートもその意見を支持したことで、レムリアとオスカーも納得して引き下がった。

 彼らの言う通り、現状の戦力で帝都を落とすのはほとんど不可能なのだが――――後に、それは思わぬ形で覆されることになろうとは、リクレールも、エスペランサでさえも、予想できなかった。

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