表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第15章 西帝国内乱の終わりに
390/436

第390話 もうやりたくない

 ブレヴァン侯爵軍を完膚なきまで叩きのめしたアルトイリス軍は、戦いが終わった後、一度ラヴェルの町で休息をとると、翌日には街道を北上して、シャルンホルストたちが待つリヴォリ城に向けて行軍を開始した。

 だが、次の日にリクレールは思わぬ相手と再会することになる。


「おうリクレール! 話は聞いている、凄まじい勝利だったそうじゃないか、俺も参戦したかったぜ!」

「ゼークト! 本当に久しぶりだね、まさかこんなところまで来ていたなんて!」


 斥候から街道を南下してくる味方部隊がいると聞いたリクレールが、自ら部隊を訪問したところ、軍を率いていたのは同じ学級の友人ゼークトだった。

 聞くところによれば、リヴォリ城からブレヴァン軍が撤退する際に寝返ったロパルツと共に、逃げ遅れている後続の部隊を追撃し撃破したところで、あわよくばリクレールたちの戦いにも後ろから参戦しようかと目論んでいたらしいが、流石に間に合わなかったようだ。

 リクレールはゼークトの部隊をアルトイリス軍に合流させると、その日の野営でお互いの健闘を称えあった。


「改めてお礼を言わせてほしい、ありがとうゼークト。シャルが実家を救えたのも、君たちの活躍があったおかげだ。それに、作戦の都合とはいえ、ウソをついちゃってごめん」

「まぁ、俺も正直思うところはあるが……おかげであの大軍を粉砕できたんだから、文句は言えねぇよ。けど、次は俺のことももっと信用してくれよな!」

「勿論だよ。僕だって、味方まで騙すはもうやりたくない……」


 まっすぐな性格で正義感の強いゼークトにとって、仲間に嘘をついて囮にして、敵を引き付けている間に留守を狙うという作戦は受け入れがたいものだったが、彼とて軍人の卵であり、必要であればこのような手段を採らざるを得ないことは理解していた。

 リクレールも、ゼークトがこのような作戦を好まないことは重々承知しているため、改めて彼に負担をかけたことを謝罪するとともに、今後はあまり味方の信頼を損ないかねない作戦はしたくないと心から述べるのだった。


「それにしても、ニゼロール伯爵ロパルツさん、まさかあなたがこちら側についてくれるなんて思ってなかったよ」

「こちらこそ、ブレヴァン侯爵を見放して正解でした。譜代の将であっても散々に罵った挙句、このような無様な敗北を晒すような主君では、我がニゼロール伯爵家を任せることなどできません。それに、アルトイリス候はあの乱暴者のドヴォルザークに一騎打ちで勝ったと聞いております。その話を聞いた時、私も今までの鬱憤が晴れてスカッとした気持ちです」

「そ、そう? それはよかった、かな?」


 リクレールとの会話には、ゼークトだけでなく寝返ったばかりのロパルツも加わっていた。

 意識は取り戻したが、ズタボロのまま見世物のように護送馬車に閉じ込められてぐるぐる巻きにされているドヴォルザークを見て、ロパルツは思い切りざま見ろと指さしたのだった。

 リヴォリ城攻略戦では全くいいとこなしだったロパルツ将軍だったが、何だかんだで最後に彼が一番得したのだから、何が起こるかわからないものである。


「あと一つ気になったんだけど、ゼークトたちの部隊はずいぶんとたくさん物資を持っていたよね。あれは一体何なの?」

「あああれか、あれはシャルンホルストの家に返すものだ。あの強欲厚化粧女が、散々奪い尽くしたユルトラガルド侯爵領の人々の財産だ」


 ゼークトは、ここまで来るまでの道のりで起こった追撃戦の結果について語り始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ