表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
381/449

第381話 ラヴェルの戦い 17

 絶叫と共に体中から大量の血を噴出させたドヴォルザークは、その場で意識を失って白目をむき、膝から力なくその場に崩れ落ちた。

 その巨体が地面に倒れる光景もまた凄まじいものがあり、土埃と血煙が両方上がって、地面が揺れ、轟音が響いた。

 もはや死んでいるのか生きているのかわからないほどの出血量だったが、意外にも息はしっかりあるようで、ただ白目をむいて仰向けで気絶しているだけ。

 それでも……ドヴォルザークが倒れてしばらくは、あまりにもすさまじい決着の仕方に、アルトイリス軍・ブレヴァン軍双方が唖然となってしまい、この周囲だけまるで時が止まったかのように静寂が支配したのだった。


「な……なんだ今のは」

「ドヴォルザーク将軍、まさか負けたのか……?」

「将軍が倒れたら、俺たちは一体どうすれば…………」


 未だに現実が受け入れられないと言った様子のブレヴァン侯爵軍の兵士たち。

 ショックで困惑する彼らの前で、ドヴォルザークを撃破した張本人が――――銀色の髪の半分以上を、返り血で赤く染めた、悪魔のような少年が、一歩ずつ、静かにこちらに向かってくる。

 勝利を叫ぶことも、力を誇示することもせず、ただ淡々と、無言で敵兵の方に歩み寄るリクレール。

 その姿を見たブレヴァン侯爵軍は、自分たちの意識とは無関係に、足が自然と後ろへ後ろへ下がっていき……ついに恐怖が軍全体に爆発的に広まった。


「ひっ!? こ、殺されるぅっ!!」

「ドヴォルザーク将軍がやられた! も、もう終わりだ! あんな化け物に勝てるわけがない!」


 一部の兵が悲鳴を上げながら逃げ惑い始めたことをきっかけに、ドヴォルザークの周りにいた兵士たちから一気に士気が崩壊していき、逃げ出し始めた。

 勿論アルトイリス軍がそれを見逃すはずがなく、同じく唖然としていたナナリーも、我に返って配下の兵たちにすぐさま全面攻撃を命じた。


「み、みんな! 侯爵様が目にもの見せてくれたわよ!! 私たちの手で、敵兵を刈り尽くしてやりましょう!!」

『おーーーっ!!!』


 金にがめついナナリーたちの部隊が、逃げ腰になる敵兵たちに真っ先に襲い掛かり、ものすごい勢いで血祭りにあげ始めたのと同時に、今までドヴォルザークの勢いに押されていたほかのアルトイリス兵たちも、あの獰猛な巨漢がいいなくなれば怖いものはないと、たちまちやる気を取り戻した。

 傾城はたちまち大逆転し、指揮官を失ったブレヴァン軍はたちまち後退を余儀なくされたが……彼らにはさらなる地獄が待っていた。


「アリシア! 見て、リクレール様があのデカブツを倒したみたい!」

「むむむ……このままじゃ、あたしは見せ場が全くなくなっちゃう! ここで挽回しなくちゃ、ね!」


 一騎打ちに負けて涙目で負けてリクレールの前に戻ってきてしまったアリシアは、このままでは終われないと、リクレールの指示通りに敵陣の乱れを突いて一気に背後に回り込むと、前衛が混乱して前に進めず完全に棒立ちになっている最後尾の敵目掛けて容赦なく突っ込んだ。


「どいういうことなの!? どうして敵が後ろから来るの!?」

「ま、まさか前衛が突破されたのか!? それじゃあ俺たちはもう……」

「前からも、後ろからも、敵が来るなんて!? このままじゃ全滅だ!」

「うわああぁぁぁ! く、くるなぁぁぁっ!」


 前衛が士気崩壊により潰走し始めたのと同じタイミングで、アリシアの部隊から背後を攻撃されたブレヴァン軍右翼部隊は、もはや完全に収拾がつかなくなり、完全に戦闘能力を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ