表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
376/454

第376話 ラヴェルの戦い 12

「うおおおぉぉぉっっ!!!!」


 獅子の鬣のような赤い髪の毛に、怪物のような巨体の男が、身の丈ほどもある大剣を振るい、戦場全体に響くのではないかとすら思われる雄叫びを上げる。

 ブレヴァン侯爵軍随一の猛将ドヴォルザークが、大剣を叩きつけると、たちまちその場で血煙が上がり、一度に10人以上のアルトイリス兵が粉砕された。

 彼の攻撃はそれはそれはすさまじく、たった一人ですでに30人以上の敵を殺害し、自身の足元に血の池ができるほどだった。


「だ、ダメだ!強すぎる!」

「いくらなんでもこんな化け物相手は無理だ、退け退け!」

「やめて、助けて……うわぁぁっ!!??」


 地獄の訓練を積み、フォントラル侯爵領では見事な戦いぶりを見せたアルトイリス兵たちも、流石にこの怪物相手ではどうにもならず、とうとう式が崩壊して逃げ出すものが現れてしまった。

 だが、そんな彼らを庇うように、盾と剣を持った少女が駆けつける。


「そ……そこのあなたっ! このあたしが相手するわっ!!」

「ん?」


 血まみれ巨漢の眼が、ギョロリとアリシアの方をむくと、彼女は思わずたじろぐ。


「小娘が、随分と勇ましいものだな。どこぞの貴族の娘であれば、丁重に可愛がってやったものだが……平民とはこの俺様も嘗められたものだ。おとなしく村に帰って、凡夫の子でも産んでりゃいいものを」

「舐めているのはお前の方だっ!! レティシア援護して、ワディドは兵たちを一旦後方に集めて、体勢を立て直すのよ」

「気を付けてアリシア、こいつ凄く強いって聞いてるから!」

「ぜ……絶対に死んじゃだめですよアリシアさん! 死んだら私、一生泣きますからねっ!」


 親友の少女レティシアがアリシアを援護し、もう一人の親友で気弱な聖術士少女ワディドが、自ら部隊の旗を手に持って急いで後方に下がった。

 そして改めてドヴォルザークと対峙したアリシアは、その圧倒的な迫力と眼力に気圧されそうになるも、ふぅと静かに息を吐いて緊張を和らげると、自分の倍の大きさはありそうな相手に果敢に向かって行った。


「死に急ぐか小娘、ならば望み通り、死ねィ!」

「っ!」


 大ぶりな斬撃を鉄の盾で防いだが、その威力はすさまじく、左腕が痺れると同時に盾自体が変形してしまう。

 攻撃を正面から受け止めるのは危険だと判断したアリシアは、瞬時に盾を手放して剣を両手持ちにすると、横薙ぎの斬撃を横に転がって躱し、続いて彼女を叩き潰そうと振り下ろされる縦の一撃を斜め前に跳躍してしのいだ。

 大きな隙を晒すことになったドヴォルザークに、アリシアは牽制の一撃を入れる為、相手の左腕を狙ったが…………


「なるほど、動きはまずまずだが、所詮は小娘の力。これしき程度で、俺に傷をつけられると思ったか?」

「ちょっ!? ウソでしょ!?」


 何とドヴォルザークは、金属製の小手を装備しているとはいえ、素手でアリシアの剣を鷲掴みにしたのである。

 これにはアリシアもたまげるほかなかった。


「アリシア、危ないっ!!」


 今度はレティシアが、ドヴォルザークの顔目掛けて投げナイフを投擲する。

 ドヴォルザークは握っていた剣を手放したが、やはり腕の一振りで飛んできた数本のナイフをあっさり薙ぎ払った。


「あ、危なかった……けど、剣ももう駄目かも……どうしよう」


 剣を掴まれて、そのまま体ごと引き寄せられて粉砕される危機こそ免れたが、ドヴォルザークのバカ力で掴まれた鋼の剣は拉げて使い物にならなくなっていた。

 武器も盾もなく、絶体絶命の状態に陥ったアリシアだったが…………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ