↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
374/462

第374話 ラヴェルの戦い 10

「イログリア男爵家の7人兄弟は、このヴィクトワーレが全員討ち取ったわ! 次に相手になりたいのは誰かしら!」


 7人分の返り血を浴び、剣も槍も血に染めてなお、美しい容姿で高らかに叫ぶヴィクトワーレ。

 団長の人間離れした強さを目の当たりにしたコンクレイユ騎士団は大いに士気が上がり、逆にブレヴァン軍の兵士たちは屈強な男性騎士7人があっという間に打ち取られたことで、完全に戦意を喪失してしまった。


「アルトイリス軍があんなに強いだなんて、聞いてないよ! あんな強い奴に勝てるわけがない!」

「あ、あんなに強い相手と戦ったら命がいくらあっても足りないぞ! 殺される前に逃げるぞ!」

「もういやだぁっ! 傭兵やめるぅっ!!」


 ヴィクトワーレに続き、マティルダやベルサが率いる部隊が真正面から突入すると、ブレヴァン軍の最前衛は戦う前から逃げ出そうとしてしまい、後ろから前進してくる味方をも構わず押しのけようとして、あっという間に大混乱に陥った。

 トライゾンが弱い兵士を肉盾にしてアルトイリス軍の全身を押しとどめようとしたことは、完全に逆効果になってしまったのだ。


 そして……あっという間に6人の息子を失った、イログリア男爵ベルガルドは、この混乱を納めるどころかショックのあまり馬上で呆然としていた。


「我が……息子たちが、死んだ……。我が息子たちが、死んだ……おおぉ、神よ、こんなの嘘でしょう、なぜなのですか……」


 だが、ヴィクトワーレはそんな彼の隙を見逃さない。


「そこにいるのはベルガルド男爵ね! あなたの息子たちはみんな死んだわよ! さあ、あなたも息子たちと同じところに送ってあげる!!」

「し、しまっ……ぎゃぁっ!?」


 中途半端に前に出ていたのがアダとなり、周囲でパニックに陥る兵たちのせいで身動きが取れなくなっていたところに、ヴィクトワーレの槍が彼の鎧ごと胸を貫く。

 自らも帝国に名高い歴戦の騎士と謡われたベルガルドは、哀れ息子たちと同じように地面に崩れ落ち、すぐに息を引き取った。

 頼みの綱があっさり負けたことで、前衛を率いるボルツも大いに焦り、兵士たちを落ち着かせようとするも、全く効果がなかった。


「お、お前たち狼狽えるな! 落ち着くのだ! このままだと敵に一方的に殺されるだけだぞ! 落ち着けと言っているのだ!」


 普段の彼の手腕なら、ある程度兵の混乱も納められたかもしれないが、やはり兵の質の悪さが足かせになっている。

 ボルツが喉を嗄らしてまで叫び続けても、傭兵たちはひたすら自分たちが助かろうと必死に逃げ惑うだけだった。


 こうして、ブレヴァン軍の中央軍約10000人は、僅か1000人のコンクレイユ騎士団によって前進を止められるどころか、むしろ押し込まれる一方となってしまい、せっかくの大軍もまともに機能しなくなってしまったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。