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第341話 トラウマ再び

 結論から言えば、白竜学級の生徒たちによるオキメイ村陣地の攻撃は大失敗に終わった。

 彼らはまだ、自分たちの方が実力的に相手より上であり、前回の戦いで打撃を与えたことで相手の戦闘力が落ちていると信じ、川の向こうの陣地に正面から攻撃を仕掛けていったのだが…………ブレヴァン侯爵軍が橋を渡ろうとしたその時、聞き覚えがある嫌な飛翔音と共に、大量の石の雨が彼らのすぐそばに着弾した。


「と、投石器だ!!」

「ロディ渓谷の投石器がこんなところにもあるのか!? も、もうだめだ、お終いだっ!」

「石に潰される石に潰されるのは嫌だのは嫌だ石に潰されるのは嫌だ、うわあぁぁぁっ!!」


 かのロディ渓谷で幾多の帝国兵を地面の染みに変えた、アルトイリス軍の新型投石機――――その姿は壁の向こうにあって見えないが、そのとてつもない威力は彼らのトラウマを強引に引きずり出し、たちまち大パニックに陥らせてしまった。


「お、落ち着けお前たち! 橋を渡って壁に取りつけば当たらないはずだ!」

「け……けど、もし橋を燃やされたら!!」

「そんなことあるわけ……」


 あるわけない、と言おうとしたところで、彼らが渡ろうとしていた端に対岸から火種壺がバンバン投げ込まれ、事前に油をしみこませていた木製の浮き橋は彼らの目の前で激しく燃え上がった。

 一応、橋がなくてもこのあたりの流れは緩やかで水底も浅いので、一気に渡ろうと思えばできたが、士気が極限まで低くなっている白竜学級の生徒たちは、もはや川を渡る勇気すら失いつつあった。

 だが、そんな彼らにダメ押しとばかりに、砦の上に車椅子に乗った少女モンセーが現れ、芝居がかった手ぶりと共に呪文を唱え始める。


「白竜学級のグズども、破壊魔術の使い手はそちらだけの専売特許だと思うなよ? 吹き飛べ、ギガントストーム!!」


 かのロザーヴィアが炎に特化した破壊魔術の使い手であったのに対し、モンセーは風に特化した破壊魔術の使い手であった。

 彼女の詠唱と共に、前面の広範囲にいくつもの竜巻と、それに伴う稲妻が無数に走り、周囲の気流が一気に荒れ狂う。


『うわあああぁぁぁぁぁぁっっ!!??』


 哀れブレヴァン侯爵軍の大部分は激しい暴風に巻き込まれてしまい、ある者は大きく吹き飛ばされ、ある者は電撃に撃たれ、またある者は真空波で体を無数に刻まれた。

 単体の威力自体はロザーヴィアの炎魔法に大きく劣るが、陣形を乱して相手の戦意を叩き折るには十分すぎる威力で……もはや誰もが、これ以上の攻撃は不可能だと考えた。

 しかも、背後では青狼学級の部隊が丘の上の陣地を取り返したという報告があり、彼らは順当に手詰まりとなっていった。

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