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第332話 戦略的破壊

「えっ、今日は好きなだけ略奪していいのか!?」

「侯爵様から許可が出た。ただし、徹底的にやれとのことだ」

「う、ウソじゃないですよね!? 命令違反で死刑になるのは嫌ですよ!」

「遠慮するな、あれを見ろ。サミュエル様の直属部隊のお墨付きだ。監視付きとも言うがな」


 今まで略奪を固く禁じられてきた傭兵たちは、突然略奪を許可されたことで戸惑っていたが、サミュエルやヴィクトワーレたちの監視の下で許されるとわかると、彼らは俄然やる気になった。


 不幸にもターゲットになったのは、ブレヴァン侯爵領とフォントラル侯爵領の国境近くにある二つの町、ペサックおよびスノン。

 これらの町は主要街道からほど近い位置に存在しており、人の往来が多くそれなりに栄えているのに加え、町を盗賊から守るための簡易的な防壁も備えていた。

 また、100人前後の自警団がいるほか、魔獣や不定期に発生するダンジョンに対応するための冒険者を集めるギルドもあるため、伯爵規模の貴族の軍隊であれば自力で押し返せるだけの実力があり、これらが彼らを強気にしたのだが…………今回ばかりは相手が悪かったとしか言いようがなかった。


「まず相手の矢を撃たせて、それから反撃するわよ」


 ペサックの町を攻撃していたヴィクトワーレは、弓を射てくる守備兵の前にコンクレイユの重騎兵たちを前面に出して矢を弾くと、後ろに控えていた軽歩兵に合図を出して、城壁の上に一斉に槍を投げさせた。

 石垣より少し高い程度しかない城壁では、人間が投げる槍が簡単に届いてしまうため、数少ない自警団側の弓兵は反撃の投げ槍であっという間に一掃されてしまった。

 そして、城門もメイスなどの打撃武器を何度も叩きつけられたことで破壊され、そこからヴィクトワーレを先頭に重騎兵部隊が町の中に突入していった。

 その数はおよそ200騎。それよりも数が少なく、しかも正規兵のように訓練を積んでいるわけではない自警団では、突入を阻止することは不可能だった。


「まずは自警団を全滅させて、それ以外にも反撃してくる者がいたら皆殺しにしなさい。この町は徹底的に破壊するのよ」


 ヴィクトワーレ自身もあまり略奪などは好まない性格だが、今回は戦略的な破壊が目的なので、容赦なく徹底的に殺戮を命じるとともに、奪えるものは食器一本、布一枚まで奪い尽くすと、最後には町全体に火を放った。

 要求を拒んだ町長は一族もろとも皆殺しにされただけでなく、歯向かう自警団や冒険者までも一人残らず全滅させた。

 その上、住んでいた住民たちまでもそのほとんどを捕虜としてしまい、その場で金が払える者は解き放たれたが、身代金の支払いができない者は、アルトイリス軍の労働力として連れ去られることとなった。


 一方のサミュエルの方も、ヴィクトワーレに負けないほどの鮮やかな手際でスノンの町を攻撃した。


「略奪は許可するが、あくまでも秩序をもって行うのだ。油断して返り討ちに遭うことは許さぬ」


 こちらの町も、先程と同じようにある程度盗賊対策のための城壁があったが、やはり正規軍の攻撃に耐えられるものではなく、急いで編成した自警団もアルトイリス軍に傷一つ負わせられないまま全滅した。


「ひ、ひえぇぇっ! やめてくれ、降参だ! 降参するから許してくれぇっ!」

「今更降伏など、判断が遅い。この町と共に滅ぶがよい」


 アルトイリス軍がこれほど恐ろしい相手とは知らなかったスノンの町の町長は、恐怖のあまり、股間から小便を垂れ流しながら、サミュエル相手に許しを乞うたが、この期に及んで許されるわけがなかった。

 そして、こちらも同じように奪えるものは片っ端から奪い、住人を全員捕虜にすると、すべての建物に火をつけて、完全に破壊した。


 こうして、僅か1日でブレヴァン侯爵領から2つの町が地図から姿を消すことになる。

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